エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

ひたすら林道歩き、クオベツ山(506m)

2020年12月18日 | 山紀行 (増毛・夕張・芦別)
99%は林道歩き クオベツ山(506m)
■ 山 行 日     2020年12月15日(火) 日帰り
■ ル ー ト     クオーベツ林道~タモの沢林道~クオベツ山 往復
■ メ ン バ ー      夫婦登山 №38
■ 登 山 形 態      林道歩き(スパイク長靴)
■ 地 形 図     1/25000地形図 「川端」
■ 三角点・点名    二等三角点 点名「九尾別山 クオベツヤマ」
■ コースタイム    登り 2時間55分  下り 2時間25分
<登り>
08:10         クオーベツ林道出合 出発 (標高約130m)
09:53~10:00   タモの沢林道出合(出発から約7.4㎞) (標高約210m) 休憩
11:05         クオベツ山(506m)(出発から約10.7㎞) 頂上

<下り>
11:20         下山開始
12:00~05      クオーベツ林道出合
13:45         登山口


★ 冬山訓練第2弾か?・・・
「山は天気の良い時に・・・」これがようやく叶った今日この頃・・・。
とは言え、まだ1000m超峰シリーズ挑戦には寒さを怖がるジジィの気力が湧かないのも今日この頃である。
「お父さん、年取ったね・・!」と活を入れてくるのは妻チーヤン。返す言葉も無いが、正直ちょっと悔しか
った。前日の天気予報を見ながら「明日はどこへ行く」といつもの夫婦協議にはなるが、年取ったねと言われ
た私に山の提案は無かった。だから「明日はチーヤンがリーダーで山を決めてくれ!」と言い放つ。
天気が良いのは太平洋側だけ。すると先月登り損ねていた「クオベツ山はどう?」とリーダーの発言があった。
「出発は何時っ?」とか「また於兎牛山にも登るのかっ?」なんてぶっきらぼうにため口を言う私だが、返事
が無いまま何となくクオベツ山に決まったという流れである。
  
この山へのアプローチを考える時、地形図を見ると幾つものルートが選択出来るようだ。
距離的に短いのは、夕張市滝ノ上付近から繋がっている林道を利用すると片道7㎞ほど、安平町瑞穂ダムから
延びる林道もクオベツ山まで繋がっているが、分岐も多く距離も13~4㎞はありそうだ。更に厚真町側から
も長い林道を辿るが繋がっていた。そして、今回私たちが利用したクオーベツ林道で先に於兎牛山を経由する
ルートとクオーベツ貯水池経由の2ルートもあるから、少なくとも5ルートとなる。
506mの低山で登山として登行意欲が湧くほど魅力がある山とは思えないが、地形図に山名が記載され地元
近くの山であるが故、気になる山になれば仕方ないと言うものだろう(笑)

リーダーチーヤンのお命により、登山口8時出発を目途に行動を開始する事になった。
寒さに慣れない引きこもりのオヤジにとって、この日はこの冬一番の寒さとなるなんて、なんと皮肉なものだ
った。自宅前で-11℃、現地に着くと-13℃だった。そして、片道10㎞に及ぶ林道歩きとなれば寒さ訓
練と足腰の訓練にはなるが、前回の萩の山スノーハイクとは別物の厳しさがありそうだ・・・。



今回の登山口となる「クオーベツ林道」ゲート手前に駐車する・・注意書きを確認


ゲートの鎖が解除されていて、新しい車のトレースが残っていたが、私たちは徒歩を選ぶ・・

★ 極寒のスタート・・・
風も無く快晴に近い天候も山の中は完全に凍り付き、凛とした世界がここにあった。
着いた時は-13℃だったが、林道を歩き始めて日陰に来ると一段と寒さが増し、一瞬でも素手になれば冷え
た手がなかなか温まらなかった。一応、着ている装備は完全冬用で足元だけスパイク長靴である。積雪はスタ
ート時1㎝ほど、頂上付近で5㎝程度だったので長靴が正解だった。

今日の山行は、途中から未知の世界も事前の情報もあり林道は片道10㎞、時間は3時間を予定していた。
最初から長い歩きを予定しているからのんびりと林道歩きを楽しむ事にして、夫婦の何気な会話をしながら少
しずつ距離を稼いでいった。
林道右手に見えてくるクオーベツ貯水池にはまったく水が無く、底が剥き出し状態だった。山奥で工事をして
いた事はゲート前にも表示があったが、貯水池の冠水に関係があるかは不明のままだ。
途中で工事関係者らしき車とすれ違い、ゲートを開けたのはこの人か?なんて想像しながらも確か工期はもう
終わっているはずで、何があるんだろう?と不思議だった・・。
7㎞ほど歩いた頃、後ろから車が走って来て私たちの横で止まった。窓を開けて「登山かい?」「ハンターか
と思ったよ」「クオベツかい?」などと一方的に話すが、一見ハンターのようだったので尋ねると「そうだよ
!」と言うので、「失礼ながら狩猟期間は来年1月1日からでは?」と言うと「いや、12月1日からでしょ」
と答えた。
たまたまゲート前の案内板で撮った写真があったのでハンターに見せると、「あれホントだぁ~」と言ってあ
っさり引き返して行ったが、こんな間違いってあるんだろうか・・・?山行中に銃声でも聞こえたら自分たち
も的にされる可能性があり、堪ったものではなかった。
取り敢えず帰ってくれたので安堵して登行を続けたが、この時期登山以外にも注意すべき点がある事を知った
場面である・・・。



眩しいほどの朝陽に向かって歩く・・・木々の樹氷がキラキラ輝きとても奇麗だった。

★ タモの沢林道へ・・・
自分たち自身でもいいペースで歩いているな!と思いつつ1時間半を過ぎた頃、前方に林道の分岐と出合い始
めてGPSで現在地を確認した。距離は約7.4㎞歩いていて直進側に「タモの沢林道」の表示、右側に「ク
オーベツ支線林道」の表示があったが、地形図では三股になっているはずなのにもう一本の林道が見つけられ
なかった。そのため進む方向に迷い躊躇する場面もあったが、タモの沢林道側に少し歩くとすぐ左手にヘアピ
ンカーブの林道が出て来てホッとする。進路はタモの沢林道と確信し、歩き始めるが林道はこれまでと違い斜
度が増して来て高度を稼ぐ感じになって来た。



地形図上、頂上付近の459標高点の手前林道でビューポイント 樽前山と恵庭岳を遠望する眺望だった

★ 歩けば踏めるピーク・・・
計算通りの登行に自分でもびっくり!
頂上は、林道から数十メートル離れた笹原の奥にあった。その起点にはピンテがあり、笹原に踏み跡もあって
分かり易かった。奥にもピンテが誘導してくれたし、GPSを見るまでも無く三角点の標識が目に飛び込んで
来た。そこは低い笹の広場と言うイメージで山のてっぺんとは思えない場所だった。地形図を見る限り周辺で
は一番高いところに居る事だけは認識出来るが、登ったぞぅ~という感動と達成感は無かった。

三角点標識の下にあったという山頂標識は、風に飛ばされたのか見つからなかった。
山頂からの眺望は西側だけで樽前山、風不死岳、恵庭岳などを望み、手前の恵庭市かと思える市街地も良く見
えていた。北側には滝ノ上の小さな市街地や国道274号線、JR石勝線なども近くにあるのだが、木々が邪
魔してはっきり見る事は出来なかった。

片道10㎞、長いと思えば長いかも知れないが、一歩一歩前に歩けば目的地は確実に近づき、そしてピークに
達するもので、これまでにも何百回と経験して来てるのに、初ピークと言うものは新鮮な思いで踏む場所だと
改めて感じた。

なのに、滞在は15分。寒いので写真だけ撮って下山とする。・・・それが登山。
別ルートでグルッと周れば循環縦走にもなるが、リスクのない往路を戻る事にする。それがエバ風・・。



林道からいよいよ頂上へ・・ピンテと踏み跡が誘導してくれた


ようやく辿り着いたクオベツ山頂上・・・なかなか広い


雪を払って見つけた二等三角点「点名 九尾別山」にタッチ


2020年12月15日 初登頂「クオベツ山(506m)」



★ 安心の復路・・・
クオベツ山への登路を含め周辺の地形は複雑である。北に夕張川が蛇行しながら東から西へ流れている。
その夕張川に注ぐ支流に於兎牛沢川やクオーベツ川があり、すぐ西側に流れる安平川だけは太平洋に流れ出て
いるのが不思議だった。クオベツ川の源頭部はクオベツ山、安平川の源頭部は、三等三角点の「支安平奥」と
いう364mの山があった。しかし、於兎牛沢川の源頭部は於兎牛山ではなくクオベツ山から東に延びる40
0m級の稜線下で終わり、山名の由来は川ではなく地名からなのではと推測出来る。

地形図を見ていると、ここはどうしてこんな地形になったのだろうとつい知りたくなるのはどうしてだろう。
南北に延びた複雑な稜線があり、その稜線を中心に東西には無数の沢地形で形成されている。その沢が流れる
本流はクオーベツ川だったり、於兎牛沢川だったりで、そこに林道が巧く作られているのが見事だった。
一つ一つの小沢には砂防ダムが作られているし、樹林の多くは人工林だった。間伐もされて整備されている事
を考えると林業界に於ける必要とされている山々なのだろうと思った。

復路をどうするか・・・別の林道を利用するのも冒険があり楽しそうなのだが、変に時間を要したり、迷う事
も無いとは限らず、いつも安全策を取るエバ夫婦にとってここは安心の往路をそのまま復路と選んだ。

話は少し飛ぶかも知れないが、安平町瑞穂ダム周辺の林道にはその昔オフロードバイクの練習場として走り回
っていた所で、熊にも遭遇した事もある道だった。クオベツ山の存在はこの時知る由も無かったが、ふと思い
出したので記する事にした。

一度歩いた道なら気持ちにも余裕が出来て、ずっと下り道と分かっているのも安心の一つである。
途中で見つけた季節外れの「山ブドウ」落下事件は、偶然頭の上から降って来て驚いたが、見上げると大木の
枝にブドウのツルが巻き付き、房がいくつも引っかかっていて二度の驚きだった。落ちたブドウは、大粒で熟
した食べごろ?・・・一粒頬張ると甘く美味しかった。

あーだ、こーだ言いながら2時間半・・・
ようやくゴールのゲートが見えて、今日の山行を終了する。



帰路の林道で偶然上から降って来た山ブドウにびっくり! 大きく熟したブドウ・・美味しかったけど


往復21㎞に及ぶ林道歩きもようやく終了・・・さすがに堪えた一日だった