エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

十勝連峰・・・旭 岳 (1334.9m)

2014年02月15日 | 山紀行 (十勝・大雪)
十勝連峰・・・旭 岳 (1334.9m)
侮れない厳冬の旭岳に再考・・・
■ 山 行 日    2014年2月14日(金)   日帰り
■ ル ー ト     ベベルイ林道~西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №6
■ 登 山 形 態      山スキー
■ 地 形 図     1/25000地形図  「本 幸」
■ 三角点・点名   三等三角点・点名「旭岳 アサヒダケ」
■ コースタイム    登り 4時間45分  下り 2時間58分
<登り>
08:10    登山口(西布礼別)
08:40    原始ヶ原林道入口
10:05    秋雲橋付近(ベベルイ林道出合)
11:30    C733西尾根出合
13:55    頂上直下(1300m付近)登行断念

<下り>
14:00    下山開始
14:45    C733
15:38    ベベルイ林道出口(秋雲橋付近)
16:28 原始ヶ原林道入口
16:58    登山口(西布礼別)




★ 敢えて厳冬に・・・
「旭岳」と言うと北海道最高峰大雪山系の「旭岳2290m」をイメージされる方が多いと思う。
北海道には同姓同名の「旭岳」は、今回の旭岳1335mと富良野市平沢地区に標高529m、
芽室岳・久山岳の北東約6キロ円山牧場の山とされる標高483mの4座がある。
本峰と言える大雪山の旭岳を除き、他の3座は登る対象とする愛好家は少ないだろう。
そんな中で2000m級の山々を連ねる十勝連峰の南端に位置するこの山は標高1335mと比較的
低いが端正な山容で登行意欲に駆られる山である。
とは言えこの山への登行にはアプローチの長さをクリアする必要があり残雪期の春を選ぶのが一般的
だろう。その登山口となる「秋雲橋」までの長い林道は通常春先まで除雪されておらず、少しでも短い
アプローチの選択はやはり春4月5月になる。

敢えて厳冬のこの時期に行こうと思ったのは決して登頂を目的とした訳では無い。
登山口の偵察、周辺の除雪状況、秋雲橋までの林道とベベルイ林道の状況を知りたいと思っての
計画だった。前泊する一泊山行はちともったいないと思い今回は日帰りで行く事にした・・・が。



「旭岳1335m」この写真はHP「地図がガイドの山歩き」saijoさんの投稿記事からお借りしました。

★ オリンピックを見てから・・・
偵察と言っても日帰りでこの山に取付くためには早朝の出発が絶対条件だ。
4時出発と決めて前日の就寝は早い。
3時に起床して準備をするも気になっているオリンピックのLIVE中継と重なる。
ついついテレビに集中してしまい出発が45分も遅れてしまった。
でも男子フィギュアスケート・ショートプログラムで羽生結弦が史上最高の101点超えを出し1位の結果
を見る事が出来、金メダルを楽しみに出発出来たので良しとする。


★ 駐車地を間違える・・・
最低でも「原始が原」への林道入口までは除雪されているだろうと期待しての出発だった。
出合までのルート(道順)は幾つもあったが、最初のルートが除雪されていなかったので「麓郷」から
回り込む事にした。そして北布礼別地区で「原始が原」入口林道から延長上交差点に着いたがここも
除雪されていなかったため仕方なく車を止めて歩く事にする。

原始が原林道入口まで約1.5キロ。更に登山口と考えていた「秋雲橋」までは3キロ近くある。

歩き始めてすぐに違和感を感じて地形図を見直すと道路を一本間違えていたようだ。
歩く距離に違いは無かったが、いつもながら安易な決定は私らしい。(苦笑)



1本間違えた駐車地は、西布礼別地区西2号線だったようだ・・・

★ 砂防ダム工事・・・
車から除雪されていない道路を山スキーで歩き始める。
しかし、10分程歩くと異変に気が付く。先の道路が除雪されていたのだ。
そして、30分程で原始が原林道入口に着くとそこには「砂防ダム工事中」の看板が立てられきれいに
除雪されていた。
砂防ダムは「秋雲橋」の600mほど手前にあり、少なくてもここまでは除雪されていると分かる。
入口には一般車両の通行を規制する文言は無く、車まで戻って出直すことも考えたがどの道を使えば
ここまで入れるのか判らなかったので仕方なく歩く事に決めた。



原始が原林道入口に建てられた看板


登山口「秋雲橋」までの林道は完璧に除雪されていた・・・

★ ベベルイ林道も4キロ以上・・・
覚悟しての偵察ではあったが、はやり長いアプローチの歩くアルバイトは初老には堪える。

車から原始が原林道入口まで1.5キロ
秋雲橋まで約3キロ
旭岳西尾根取付きまでベベルイ林道は4キロ以上あり合計8.5キロを超える。

砂防ダムまでの除雪れた林道は重機車両や工事関係車両が通るために滑り止めの砂がびっしりと
散布されていて山スキーでの通行には障害となった。
道端のきれいなところを選ぶか道路傍の樹林帯の中を選んで歩いた。
砂防ダムの工事現場には直接行かず道路北側の樹林帯に入って「秋雲橋」とベベルイ林道を目指した。

ちょっと苦労しながら秋雲橋付近のベベルイ林道に着いたのは、10:05だった。
約2時間のアルバイトを考えると、登行時期を除雪が終了する4月以降はうなずける選択だ。

敢えて厳冬期に訪れ、わざわざラッセルを覚悟して2時間も3時間も歩く必要はないのかも知れない。
しかしながら厳冬期ならではの白銀の世界は、日差しの強い雪解け混じりの白銀とは違い
サラサラの粉雪が降りわたり何もかも真っ白に化粧して凛とした静けさにウサギたちが駆け回る世界は
行って見なければ味わえない感動がそこにある。
また1000mを越えてから狭い尾根上にはシュカブラが異常に発達した波打つ階段状の硬い雪溜まり
が連続し、スキーのエッジも利かなくて難儀したのもこの時期ならではの環境だと思う。



ベベルイ林道は終始広い道路で高低差の少ない600~700m付近で尾根まで続く


ほとんどラッセルは無く新雪の粉雪でスキーが良く滑る・・・青空が見えて来た

★ 偵察~登頂へ・・・
秋雲橋付近のベベルイ林道出発 10:05
この林道に辿り着くまで少しだけ迷って樹林帯を彷徨った。
林道に出合った時は正直ホッとして「もうここでいいや・・・」と思ったが、取り敢えず尾根の取付きまで
歩いて見ない?と言う無言の意思疎通で歩き始める。林道に人の歩いた痕跡は無くウサギの足跡が
やたらと多かった。
標高600m付近から約4キロ先の尾根取付き733mまで、高低差を感じない林道歩きを開始した。

最初から頂上付近は雪雲に覆われていて姿を見る事は無かったが、下界には時々青空も見え温かさ
え感じる陽気だった。
順調に歩を進め地形図と高度を確認しながら間もなく尾根取付き点と思った時、林道の立て看板が
目に入った。この先は、自衛隊の駐屯地や演習場があり立入禁止区域と理解する。
そしてここが地形図上のC733 西尾根への取付き点と確信する。
西尾根取付き点 11:30



尾根取付き地点にあった「立入禁止」の立て看板

★ 吹雪とタイムアウトの決断・・・
ここまで来たら・・・と欲が出たのか時間を決めて尾根に取付く事にした。
取付きは広い尾根上で最初は濃い樹林帯の中を縫うように登って行く。
当初のイメージは、疎林帯の尾根でここからは簡単に頂上まで登れると思っていたが大違いだった。

それでも少し登ると松とダケカンバの樹林帯となりルートを上手く選べば疎林帯もあった。
上部は相変わらず雲の中で吹雪が想像出来たが、高度を上げて1000mを越えて行くとそれが現実と
なって来る。
尾根は顕著に狭くなり斜度も増して来る。一番の難関は凸凹の階段状になったシュカブラの化け物だ。
硬い雪面の上に新雪が積もっていてスキーのエッジも利かなかった。ズルズルと滑りなかなか登れず
苦労した。

最初は13時と決めて登り始めるも高度が上がるに連れ「初登頂」の三文字を意識する。
30分延ばし1時間延ばして14時を最大登行時間と決める。



1000m付近の尾根上・・・シュカブラが異常に発達して尾根上が階段のように波打っていた

★ あと30m? 勇気をもって登頂断念・・・
登頂断念 13:55
二人の高度計は1300mに達していた。
あと30mで頂上と言うところまで登って来たが、吹雪は増々激しさを増して大粒の雪が横殴りで
容赦ない。雪面も固く1m登るのも時間を要する場所だった。
仮に時間を延長し登頂するとしても僅か30mに30分以上は掛かると予想した。
猛吹雪の登頂も劇的であるが、安全な下山の事を考えると無理は禁物なのである。

ここまで頑張った証の写真だけ撮って登頂はまた次の機会に・・を合言葉に下山を決めた。

下山開始 14:00


私たちの旭岳? 1300m付近にて登頂断念の記念写真・・・

★ 別世界・・・
硬い雪面が気になってシールを付けたまま下山に入る。
登りとは違って凸凹の階段状も横滑りで難なくクリアー、少し疎林帯のパウダー斜面はシールを付けた
ままでも良く滑った。そんな場所が何度もあって結構楽しい下山になり200mほど高度を下げるとあの
吹雪とは別世界の青空が広がっていた。

尾根取付きから2時間半も掛かった登りも下りは45分で降りてしまった。
こうなると安全下山を心配して登行を諦めた事を少し後悔もするが、「これていいのだ」と納得して
早々に帰路の長い林道を歩き始めた。

尾根の途中から富良野の街並みを望みながら、次は前富良野岳を含めた縦走も視野に入れて再来を
誓った。

何と言っても下りのスキーは早い。
ほぼ平坦な林道とは言え登りのトレースを利用しての下りはスキーを滑らせ秋雲橋付近まで1時間と
掛からなかった。

車を止めた登山口には17:00前にようやく到着。
着かえて出発の時にはもう薄暗くなってしまったので、あの下山の判断に間違えは無かったと納得する。

新しい発見と感動も多い山行だったが、再来はやはり残雪の春がいいかもと思案する。

久しぶりにパンチの利いた山行で疲労感は隠せないが、富良野の温泉でゆっくりと体を温めて
21時に無事帰宅した時はホッと安堵した。





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