毎年各省庁は夏の終わりごろから次年度の予算の概算要求を出します。これは各省庁が審議会などを通じて検討されてきた項目を次年度の予算に盛り込むための概略を示します。最終的にその年の暮れまでにまとめて予算要求を出して年明けの国会で議論され予算が国会で成立すれば翌年の4月には予算が執行されるわけですが、この各省庁の概算要求はこれからの暮らしがどのように変わっていくか見る上で大変大切です。特に国民生活に直結する医療や社会保障関係は厚生労働省から出され、厚生労働省の概算要求を見るとこれから医療体制や社会保障がどのようになっていくのか見ることができます。私は薬害問題に関わってきたので毎年、厚生労働省の概算要求から医薬品に関する施策やエイズ・肝炎といった対策の予算がどうなっているのか見ています。たとえば薬害肝炎問題をきっかけに厚生労働省は薬害被害者など関係者を委員に入れて薬害肝炎検証会議を設けてそこで出された提言をもとに厚生科学審議会の中に医薬品等制度改正検討部会を立ち上げ今、医薬品の制度改正の検討を行っていますが、そこで行われている検討項目は24年度の概算要求に盛り込まれてきています。厚生労働省の24年度概算要求には他にもエイズや肝炎の対策予算やB型肝炎問題の予算も入ってきています。
また、医療分野でも産業振興に関わるところは経済産業省が予算を出してくるのでライフイノベーションといったこれからの再生医療などは経済産業省の概算要求に盛り込まれてきます。また経済産業省は福島原発問題ではじまった原子力政策も所管しているので原子力予算や再生可能エネルギーの予算についても盛り込まれてきます。いずれにしても各省庁の概算要求を国民の目から見ていくことは大変大切なことだと思います。
昨日、発表された各省庁の概算要求の内容は各省庁のホームページで見ることが出来ます。