絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

愛くるしい友だち~テディ・ベアと絵葉書~

2008-11-07 12:35:56 | 外国絵葉書
本格的に寒くなりました。
夏の名残を振り落とすように、木々も色鮮やかに紅葉してます。
寒いと何故かご飯が美味しく感じられるから不思議ですね。
この時期、つい食べ過ぎてしまうので、太らないよう注意してます。




 つぶらな瞳に丸い耳、
 足を投げ出してちょこんと座る姿。
 今回の主役は、
 皆さんもお馴染みのテディ・ベアです。
 この愛らしい小熊のヌイグルミの
 誕生には様々諸説がありますが、
 一番有名なのは20世紀初頭の、
 アメリカ大統領のエピソードです。
 ハンティングが大好きなルーズベルト大統領は、
 ある日熊狩りにでかけましたが、
 一頭も狩れませんでした。
 代わりにと同伴者が
 小熊を捕まえて木に縛りつけたのです。


      My Friends



その小熊を銃で撃つよう進められましたが、
かわいそうに思った大統領が小熊を離しました。




 この出来事が新聞に載り、
 感動したおもちゃ屋の夫婦が
 手縫いの小熊のヌイグルミを
 大統領のニックネームであった、
 テディの名を付けて
 売り出したのが始まりだそうです。
 大統領もそんな人気になるとは
 思ってなかったので、
 自分の名前を使うことを
 気軽に許可したということです。

 欧米で大変な人気を博した
 テディ・ベアはすぐに絵葉書にもなりました。


     少女とテディ・ベア



当時新聞についで影響力のあった絵葉書は、
現代のテレビコマーシャルに匹敵する宣伝力がありました。
おもちゃの広告も兼ねて、おもちゃで遊ぶ子どもの絵葉書が
たくさん印刷されたそうです。



可愛らしい絵葉書で目を楽しませながら、売ることも意識してるなんて、
なんだかとてもしっかりしてると思いませんか?



シルエット絵葉書紹介~妖精たちのカーニバル~


前回紹介いたしましたシルエット・ロマン絵葉書展。
開催期間中の特別企画として、
約200点以上ある展示物の中から
一品を紹介していきたいと思います!




 今回の主人公は
 妖精です。
 妖精というと、
 ピーターパンに登場する
 ティンカーベルのように、
 羽の生えた小さな少女を
 イメージしますよね。
 実際は数え切れないほど
 たくさんの種族がおり、
 それぞれ独自の
 習慣を持っています。


               フェアリーパレード
            (With Music and Dance)




日本でも有名な虫の羽が生えた妖精は、ピクシーと呼ばれるものです。
彼らの姿は人間には見えず、歌や踊りが大好きで、
ときどき困ったいたずらもします。


しかし彼らは人間を見極める力があり、怠け者や嘘つきには容赦ない罰を、
反対に働き者や正直者にはご褒美に素敵なことを教えました。

だからこそ絵葉書でもとても可愛らしい姿で描かれたのでしょうね。




さて、次回は素敵な冬を過ごすためにピッタリな
絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!




次回は11月21日の予定です

華麗な絵葉書4~お姫様ドレスいかほど?~

2008-06-13 12:03:23 | 外国絵葉書
梅雨時期の蒸し暑さはかないませんね。
古い絵葉書も湿気でダメになてしまうことがあるので、
管理にも気を使います。



さて、お姫様ファッション特集してまいりましたが、
貴族のファッションはオートクチュールが当たり前でした。
デザイナーを直接邸宅に招き、デザインや採寸をその場で行います。
ミシンもなかった時代なのでドレス一着でも、
今の何倍もの人手と手間がかかりました。

そうやって出来上がった見事な衣装は
当然とんでもない値段がついております。
今回は彼女たちのドレスが一体いくらぐらいしたのか、調べていこうと思います。


 
Rie CRAMER
Nail Care Hairdo
Lady old 1910





マリー・アントワネットがこよなく愛したドレスは、
ローズ・ベルタンという女性デザイナーに任されていました。

彼女は特別に謁見が許されており、
時には半日以上も王妃の部屋で衣装の相談をしました。

  
完成した衣装はいかにも王妃好みの派手で豪華なものばかりでした。
しかし、その分常識では考えられないようなお金がかかりました。

王妃専用の完全オーダードレスはなんと……一着約6千万円。
しかも何着も仕立てるので、衣装代だけでも年間約10億円かかったそうです。




Art dECO HP
Child Girl Children 1920




またロココ時代のドレスの形は、それほどヴァリエーションがなく、
個人差をつけるために、自分流にレースやリボンなどをカスタムしていくのが主流でした。
ドレスに華を添えるレースは、フランス製が一番高級で人気がありました。

全て手作業で紡がれた繊細な模様はたしかに美しいのですが…
芸術品なみに恐ろしく値段が高いものでした。

極細のレースは1.2メートルで480万円もしたのです。
   

ご存知の通り、ドレスには何十にもレースを重ねます。
もちろん1メートルちょっとでは、何も飾れないでしょう。
そう考えると立ちくらみがおきそうです……


余談ですが、遊び好きなマリー・アントワネットは
衣装以外に様々な浪費をし、国家予算を無視した贅沢を続けました。

フランス王家が革命で倒れたのも頷けるような気がします。





今回でお姫様特集も最終回。
次回から初夏にぴったりな特集をします。
お楽しみに!




次回は6月20日の予定です


華麗な絵葉書3~お姫様のファッションアイテム~

2008-06-06 16:15:37 | 外国絵葉書
上野の東京美術館にて30万人以上を動員したルーブル美術館展、
神戸でも人気があるようなので、どのくらい来館者が来られるのか楽しみです。


展覧会でも、王族たちの愛用品のほかにアクセサリーも多数出展されています。
贅沢品の極みであるそれらの装飾品は
とても庶民では思いつかないような、ゴージャスなものばかりです。




 

Silhouette Lady Getting
Dressed with Maid Steen




素敵なドレスをさらに魅力的にするのに、
アクセサリーはとても大切でした。

例えばルイ14世の時代から、
扇子は貴婦人のおしゃれに必要不可欠でした。


 しかしその隆盛を極めたのは、 ルイ15世の時代と言われてます。


もともと東洋から輸入されてきた扇をヒントに、
骨組みに見事な彫刻をほどこし、
扇面にはそれこそと匠の技とも言える緻密な絵を描きました。


また、マリー・アントワネットが活躍していた頃は、
イギリス風庭園の散歩がブームになったことにより、
日傘やステッキが外出用のおしゃれアイテムとなりました。



 
Eviter ce signe a cause des frais


ちなみに扇は社交界の持ち物として、
後の時代まで受け継がれております。
20世紀初頭に発行されたこちらの絵葉書では、
扇の持ち方の違いによる、
御婦人からのメッセージを解説しております。

(上 "愛してます” "また明日” "お手紙を下さいませ”)
(下 "お断りします” "私は一人です” "おしまいだわ” "よろしいですわ”)
*全て左から訳してます


こんな細やかな仕草で駆け引きをする姿は
何とも優雅で、エスプリの香りがしますね。




次回もお姫様特集です!
お楽しみに!



次回は6月13日の予定です


華麗な絵葉書2~お姫様ヘアースタイル~

2008-05-30 12:09:38 | 外国絵葉書
本格的に梅雨入りし、
空気もなんだかどんより重たいですね。
湿っぽい毎日が続くと外出しにくいですが、
こういう時こそ美術館に行くことをお勧めいたします。
涼しくて快適な美術館で一日のんびり過ごすと気分もリフレッシュしますよ!


前回に引き続いてお姫様ファッション特集。
ドレスよりも個性的だったヘアースタイルを紹介いたします。


フランスの女王、マリー・アントワネットが贅沢な毎日を送っている頃、
ヘアースタイルはドレス以上に重要なおしゃれポイントでした。

 
Silhouette Deco
Couple on Couch Steen

 


カリスマ美容師は礼服に身を包み、
馬車でお宅まで訪問します。
ご婦人の髪を前にじっくりイメージを膨らませて、
おもむろに櫛を取り出し……

髪にパッドを仕込んでつけ毛をたっぷり使い、
芸術品ともいえる奇怪な建築物を作り上げるのでした。

              
なかでも豊富なヴァリエーションで人気があったのが
「オセンチ・プフ」と呼ばれるヘアースタイルです。



依頼主の心を表現するために、
蝶の舞う庭園やドールハウス、牧場、生の果物や花など、
あらゆるものを頭に乗せ、さらに羽で飾り立てたのでした。


他では類を見ないあまりにも奇抜なヘアースタイルは、
貴族を批判する風刺の標的になり、
巨大な髪型のせいで馬車の天井を突き抜けるという、
コミカルな風刺画が描かれるようになりました。


ちなみに18世紀は貴族でも
何日もお風呂に入らないのが当たり前だったため、
相当痒かったそうです。


ファッションが時として、美しく見せることより目立つことに先走ってしまう、
いい例ではないでしょうか?


絵葉書資料館では、企画展の絵葉書以外に、常設でたくさんのコレクションを展示しております!可愛い絵葉書もたくさんありますよ!!



次回はお姫様のファッションをひきたてた小道具を紹介いたします。
お楽しみに!




次回は6月6日の予定です


華麗な絵葉書1~お姫様ドレス~

2008-05-23 12:06:39 | 外国絵葉書


いよいよ絵葉書資料館の貴重なコレクションから
毎週一枚、素敵な絵葉書を紹介します。

今回テーマは“お姫様”です!

ただ今神戸市立博物館にて開催中のルーブル美術館展。
企画展では究極のセレブと呼ばれた、
18世紀フランス王家や貴族たちの日常を見ることができます。
私もつい先日お邪魔しまして、その豪華さに思わずため息をつきました。
特にご婦人方の衣装の豪華さには目をみはるばかりです。


そこで今回は感銘を受けた記念に、
絵葉書で描かれた彼女たちのファッションについて連載していきたいと思います。

絵葉書が流行したのは近代に入ってからですが、
隆盛を極めた貴族文化の代表として、脳裏に残っていたのでしょう。
美しいドレスに身を包んだ貴婦人のイラストを度々目にします。


 
Carl Bring God Jul 



革命から100年以上経っても、華麗な貴族趣味といえば、
18世紀に栄華を誇った王宮風俗でした。
現代でもファンタジーや絵本などで見られるお姫様のイメージも、
やはり当時の雰囲気が土台にあるように思えます。

さて、そんなきらびやかなロココファッションで有名といえば、
大きく膨らんだドレスではないでしょうか?
    

18世紀前半から登場したゴージャスなドレスは、
硬い素材の輪を何十にも重ねた、パニエと呼ばれる下着を着けました。

パニエはたっぷりとした布とフリルを広げ、
造花やレースで飾られたスカートを美しく見せました。
パステルカラーであつらえられた衣装は、
まるでデコレーションケーキのような甘くて綺麗なドレスになりました。



しかしパニエはだんだん装飾を演出するよりも、
スカートを大きく広げることが目的になりました。
その結果、横幅2メートルまで広げるパニエが登場しました。



次回は引き続き、お姫様のファッションを紹介いたします。
他の時代では見られない、
元祖セレブたちの個性に触れていきたいです!
お楽しみに!!





次回は5月30日の予定です