大正時代は不安定な時代でもありました。
生活文化が豊かになる一方、
様々な社会運動が世間を騒がしました。
関東大震災で打撃を受け、
復興と共に新たな戦争の気配が燻り臭う激動の時代。
そんな時代を生きる子どもたちに、
夢と希望を与えたのが雑誌であり、
挿絵画家が描く主人公たちだったのです。
花の精 薔薇
加藤まさをは静岡県で生まれ、13歳で両親と共に上京しました。
高校時代に美術教師の影響から様々な画集に触れます。
その時、イギリスの挿絵画家エドマンド・デュラックと出会ったのです。
エドマンド・デュラックは多くいた挿絵画家の中で、
批評家たちからも高い評価を得ていた画家の一人でした。
花の精 スイートピー
繊細なタッチや色彩で描かれた妖精やお伽話の挿絵は、
それまでの日本になかった魅惑的な異世界。
初めてみた加藤少年の心に衝撃が走ったことでしょう。
この出会いは彼の画風に多大な影響を与え、
挿絵画家としての運命を決定づけました。
大学に通う傍ら、彼は美術学校にも通い、
熱心に絵の勉強を始めます。
そして独自の抒情画を生み出しました。
灯影 手紙
彼の詩と絵が融合した世界観は多くの少女たちに支持され、
長く第一線で活躍したのです。
次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!
次回は5月9日の予定です