絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

大正ロマン レトロな夏模様1 ~夢二の夏~

2008-06-20 13:01:12 | 大正ロマン
ついに連載も十回目を迎えました!
更新の遅い、細々としたブログですが、
これからもよろしくご愛読お願いいたします……



季節はすっかり初夏の空気が漂っています。
今回は一足早い、
夏の雰囲気を感じさせる絵葉書を紹介いたします。


 
花火
竹久夢二



紹介します絵葉書は、竹久夢二の作品「花火」です。
大正時代に活躍したイラストレーターの一人であり、
 「挿絵が載らない雑誌はない」
 と言われるほどの人気作家でした。


彼は主に柳のようにしなやかな女性を描きました。
簡略化された華奢な体からは、ふっと力が抜けた気だるさと、
着物姿ならではの大人の女の魅力が醸し出されてます。


「花火」は絵と詩を収めた『三味線草』の挿絵を絵葉書にしたものです。

華やかな夏の夜と一瞬で散っていく花火の儚さが、
背を向けて立つ、女性の艶やかさと哀愁と重なり、
過ぎ行く時間の美しさと寂しさを感じさせます。



『三味線草』の刊行から数ヵ月後、
作品の重要なモデルの一人であり、
夢二最愛の人とも言われている笠井彦乃と結ばれています。




今年も夏に、各地で様々な花火大会が行われるでしょう。
賑やかな祭りとともに、絵葉書のような花火の美と
儚さを味わうのもいいかもしれません。




次回も引き続き
少し季節を先取りした絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!






*週一回のペースで連載して参りましたが、
多忙のため、次回より2週間に一回の更新にさせていただきます。
せっかく楽しみにして頂いてる方々には大変申しなく思ってます。
これからも精進してまいりますので、どうぞよろしくお願い致します






次回は7月4日の予定です


華麗な絵葉書4~お姫様ドレスいかほど?~

2008-06-13 12:03:23 | 外国絵葉書
梅雨時期の蒸し暑さはかないませんね。
古い絵葉書も湿気でダメになてしまうことがあるので、
管理にも気を使います。



さて、お姫様ファッション特集してまいりましたが、
貴族のファッションはオートクチュールが当たり前でした。
デザイナーを直接邸宅に招き、デザインや採寸をその場で行います。
ミシンもなかった時代なのでドレス一着でも、
今の何倍もの人手と手間がかかりました。

そうやって出来上がった見事な衣装は
当然とんでもない値段がついております。
今回は彼女たちのドレスが一体いくらぐらいしたのか、調べていこうと思います。


 
Rie CRAMER
Nail Care Hairdo
Lady old 1910





マリー・アントワネットがこよなく愛したドレスは、
ローズ・ベルタンという女性デザイナーに任されていました。

彼女は特別に謁見が許されており、
時には半日以上も王妃の部屋で衣装の相談をしました。

  
完成した衣装はいかにも王妃好みの派手で豪華なものばかりでした。
しかし、その分常識では考えられないようなお金がかかりました。

王妃専用の完全オーダードレスはなんと……一着約6千万円。
しかも何着も仕立てるので、衣装代だけでも年間約10億円かかったそうです。




Art dECO HP
Child Girl Children 1920




またロココ時代のドレスの形は、それほどヴァリエーションがなく、
個人差をつけるために、自分流にレースやリボンなどをカスタムしていくのが主流でした。
ドレスに華を添えるレースは、フランス製が一番高級で人気がありました。

全て手作業で紡がれた繊細な模様はたしかに美しいのですが…
芸術品なみに恐ろしく値段が高いものでした。

極細のレースは1.2メートルで480万円もしたのです。
   

ご存知の通り、ドレスには何十にもレースを重ねます。
もちろん1メートルちょっとでは、何も飾れないでしょう。
そう考えると立ちくらみがおきそうです……


余談ですが、遊び好きなマリー・アントワネットは
衣装以外に様々な浪費をし、国家予算を無視した贅沢を続けました。

フランス王家が革命で倒れたのも頷けるような気がします。





今回でお姫様特集も最終回。
次回から初夏にぴったりな特集をします。
お楽しみに!




次回は6月20日の予定です


華麗な絵葉書3~お姫様のファッションアイテム~

2008-06-06 16:15:37 | 外国絵葉書
上野の東京美術館にて30万人以上を動員したルーブル美術館展、
神戸でも人気があるようなので、どのくらい来館者が来られるのか楽しみです。


展覧会でも、王族たちの愛用品のほかにアクセサリーも多数出展されています。
贅沢品の極みであるそれらの装飾品は
とても庶民では思いつかないような、ゴージャスなものばかりです。




 

Silhouette Lady Getting
Dressed with Maid Steen




素敵なドレスをさらに魅力的にするのに、
アクセサリーはとても大切でした。

例えばルイ14世の時代から、
扇子は貴婦人のおしゃれに必要不可欠でした。


 しかしその隆盛を極めたのは、 ルイ15世の時代と言われてます。


もともと東洋から輸入されてきた扇をヒントに、
骨組みに見事な彫刻をほどこし、
扇面にはそれこそと匠の技とも言える緻密な絵を描きました。


また、マリー・アントワネットが活躍していた頃は、
イギリス風庭園の散歩がブームになったことにより、
日傘やステッキが外出用のおしゃれアイテムとなりました。



 
Eviter ce signe a cause des frais


ちなみに扇は社交界の持ち物として、
後の時代まで受け継がれております。
20世紀初頭に発行されたこちらの絵葉書では、
扇の持ち方の違いによる、
御婦人からのメッセージを解説しております。

(上 "愛してます” "また明日” "お手紙を下さいませ”)
(下 "お断りします” "私は一人です” "おしまいだわ” "よろしいですわ”)
*全て左から訳してます


こんな細やかな仕草で駆け引きをする姿は
何とも優雅で、エスプリの香りがしますね。




次回もお姫様特集です!
お楽しみに!



次回は6月13日の予定です