みなさん、こんにちは!
記念すべき連載第一回目は、
「アール・ヌーヴォーとアール・デコ 表現の違い」です。
ここ数年いろんな美術館にて19世紀末を中心とした企画展が開催されているので、
アートファンの方々は聞き覚えがあると思います。
でも具体的に二つの美術の違いを、言うとなると結構難しいですよね。
そこで今回は当館の企画展にも深いかかわりのある、
時代も近くて名前も似ている、二つの芸術表現の違いを絵葉書を使って比べていきます。
まずご紹介するのは、
アール・ヌーヴォーの絵葉書です。
19世紀末を代表するこの様式は、
写実的に描かれた植物と曲線と曲線が重なり合い、
様々な装飾が画面を
埋め尽くすデザインが特徴です。
当時のセレブたちは
貴族風の手の込んだアイテムを欲しがりました。
アール・ヌーヴォーのデザインは優雅で繊細。
いかにも貴族風のリッチな雰囲気があり、
セレブたちのセンスとマッチしたのです。
セレブに人気がでれば当然庶民の関心も高まり、
アール・ヌーヴォーの一大ブームが起こりました。
何だか今のブランド・ブームに似てると思いませんか?
自然をモチーフにしながらも、パターン化した人工美を併せ持つデザインは、
のちのモダンアートの到来を予感させます。
さて時代が下り、アール・デコという新しい表現が登場しました。
アール・ヌーヴォーとの表現の比較で、
曲線と直線の使い方の違いがよく挙げられますが、
もう少し詳くに言うと写実からデフォルメ(単純化)
への変化が最大の特徴です。
大量生産、大量消費社会が本格的に到来し、
あらゆる生活用品の新作発表と展示会が
頻繁に行われました。
そしてスピーディーに
変化する生活様式に合わせて、
芸術も急ぐ人々にも一瞬でインパクトを与える、
記号的なデザイン求められるようになりました。
一目見た瞬間にパッと情報を伝え、さらに印象がしっかり残るアール・デコ独特のデザインは絵葉書でも積極的に取り上げられました。
こちらの絵葉書も特徴だけで細かいところは省略されていますが、
見ただけで“花”だとわかりますよね。
アール・ヌーヴォーとアール・デコのどちらにも違った魅力があります。
繊細・優美からシンプル・シャープな表現へとほんの数十年の間に変化したことは大変興味深いことです。
この両極端なアートを見比べて、どちらが自分好みか考えるのも楽しいですね。
紹介した2点以外にも、たくさんの絵葉書が展示しております。
是非資料館にいらして、二つのアートデザイン絵葉書を見比べてください!
次回は 日本のアール・デコ
5月2日に掲載する予定です。お楽しみに!!