絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

大正と宝船~縁起物でご挨拶~

2010-01-08 14:00:18 | 季節物・冬

あけましておめでとうございます。
おかげさまで2年目の正月を迎えました。
これからも絵葉書をより多くの方々に知っていただくために、
より一層努力していこうと思います。
宜しくお願い致します。




山村耕花 寅


絵葉書が大ブームだった時代、
実にたくさんの絵葉書が発行されました。
その中でも年賀状は新年の挨拶ということもあり、
大変凝ったものが多いです。
干支や人気のキャラクター、
芸術的な作品なども数多くあります。




布袋の書初め


その中の一つに、宝船をモチーフにした年賀状があります。
宝船は七福神が宝物を積んだ船に乗った図のことで、
正月飾りなどでもよく登場する縁起物ものの一つです。
枕の下に宝船の絵を敷いて寝ると、
良い夢が見られるということで大変流行しましたが、
次第に廃れていき、一時期完全に忘れされました。


しかし大正時代に雑誌で取り上げられたことから関心が高まり、
絵葉書ブームと重なったことからデザインされるようになったのです。




キューピーの七福神


宝船といっても千差万別。
普通のデザインから凝りに凝った一品まで、
様々な絵葉書が作られました。
中には今見てもあっと驚くような素晴らしい絵葉書もあります。



きっとめでたい絵葉書は、新年を祝い、
良い年になることを一緒に祈る思いが込められているのかもしれません。






次回も素敵な絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!



次回は2月5日の予定です


クリスマス特集~クリスマスツリーの素敵で美味しい話~

2009-12-04 13:00:51 | 季節物・冬


年末を飾る華やかな行事、クリスマスの時期になりました。
クリスマスのシンボルの一つとして、クリスマスツリーがあります。
この頃はどこへ行ってもサンタとセットでありますね。



絵葉書でもサンタと同じくらいクリスマスツリーは登場します。
そんな誰もが当たり前に知っているクリスマスツリーですが、
ヨーロッパ中で庶民の間にまで広がったのは、
20世紀初頭からと言われております。




美しい天使とツリー



クリスマスツリーの起源は古代、冬至に魔除けとして
常緑樹を家に飾ったことからとされております。
そこからドイツの富裕層を中心に、
モミの木などにに飾り付けをする習慣が生まれました。
その後、ヴィクトリア朝時代にイギリスへ渡り、
少しずつヨーロッパへ広まったそうです。
飾り付けは大人たちが中心で行い、
工夫を凝らして飾りを散りばめました。
いよいよ披露する時は星とキリストの光を象徴する、
ろうそくに火を灯して、ツリーを煌びやかに照らしました。




スノーマンと子供たちのクリスマス



飾りの一つとしてガラスの玉が登場したのは、
ガラスの生産が安定しだした19世紀半ばに入ってからです。
ドイツで生まれたキラキラと輝くガラス玉や他の飾りも、
欧米諸国にてツリーが普及し、徐々に需要が増えていきました。
モミの木と飾りはドイツの重要な輸出産業になったそうです。



楽しいクリスマス!


ツリーといえば人形や作り物のお菓子を想像しますが、
昔は本物のパンや砂糖菓子を吊るしていたそうです。
飾りに使われたお菓子は、子どもが自由に取って
食べてよいことになっておりました。
今ほど甘いものがなかった時代、
子どもたちにとってこれほど楽しみはなかったでしょう。




プレゼントを準備するサンタ


クリスマスを題材にした物語などにもツリーの吊るされた、
美しい飾りと甘いお菓子を見て感動する子どもたちが登場します。



クリスマスツリーやサンタの絵葉書は、
子どもたちの憧れを凝縮した姿なのかもしれません。



さて次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!!




次回は1月8日の予定です


開運 縁起物絵葉書 ~明治・大正時代の縁起担ぎ~

2009-01-23 13:00:56 | 季節物・冬
2009年も始まりましたが、
年明け早々厳しさを伝えるニュースが多いですね。

そんな世の中ですが、参拝客が増えた神社もあるとか。
何でも不景気の時こそ神頼みされる方が多いそうですね。



そこで今回は、縁起の良い絵葉書を紹介致します。
ご利益満点の絵葉書で、
不景気の波を乗り切りましょう!




 縁起物とは民間信仰から
 発展した文化で、
 商売繁盛や家内安全といった
 願いを込めたお祭りや
 飾りが世界各地にあります。
 日本でも古くからさまざまな
 縁起物が数多く存在します。
 めでたいもので
 互いの幸せを願う
 意味も込められたのでしょう。
 絵葉書でも縁起物が
 登場しました。
 だるまや七福神、
 宝船といったモチーフは、
 特に何度も描かれ、
 賑やかに絵葉書を彩りました。


    七尾銭吉 達磨宝船




そんな中で明治末期にアメリカから輸入され、
絵葉書とほぼ同時期に流行した縁起物があります。






 尖った頭に細い目、大きな足。
 通天閣の守護神として、
 お馴染みのビリケンさん。
 何でもアメリカのとある
 彫刻家の枕元に立ち、
 自分の像を作って
 足の裏を撫でたら、
 願い事が叶うとお告げした
 のが始まりだそうです。
 彫刻が発表されると
 たちまち話題になり、
 たくさんのビリケングッズ
 が発売されました。
 一世ブームを起こした
 ビリケンは日本にも
 輸入されました。

    勝利の秘訣は笑顔
        (Billican)







 特に大阪では、
 外国の福の神で
 あることから
 商標に使う会社が
 出現するほど
 人気を得ました。
 そして大阪の
 シンボルとして、
 通天閣に安置されました。
 通天閣が焼けた際に
 一緒に焼失したあと、
 通天閣再建後も
 忘れられておりました。
 しかし昭和54年に再現され、
 みごと復活したのです。


   ビリケンからのアドバイス



大変な時代ですが、
ビリケンさんのように復活できるよう頑張りたいですね!




さて次回はかわいくて素敵な絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!




次回は2月9日の予定です


昔の年賀状~大正時代の新年ご挨拶~

2009-01-09 13:00:27 | 季節物・冬
あけましておめでとうございます!
昨年はありがとうございました。
少しでも絵葉書のことを知って頂こうと始めたブログも、
無事に年越すことができました。
これからもより一層努力してまいりたいと思います。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします!



さてお正月はどうのようにすごされましたか?
初詣、おぞうに、お年玉…
その合間に年賀状を家族で見比べるのも、
お正月の楽しみの一つですね。
新春第1回目の特集は、年賀状を紹介いたします。






 年賀状のはじまりは、
 平安時代に
 年始のご挨拶として
 詩歌を送った
 風習からきたそうです。
 はがきが一般にも
 広がることにより、
 イラスト入りの絵はがきで
 時候の挨拶をする、
 新たな習慣がうまれました。
 年賀葉書もその一つで、
 カラフルな年賀状は
 特に人気があり、
 年賀状を交換する人が
 毎年どんどん増えていきました。


      1913年の丑年






 知識人や粋人の
 たしなみだった年賀は、
 新年の挨拶を送る
 年賀状として
 親しまれるように
 なったのです。
 きれいで、
 時には楽しい
 年賀葉書は、
 元旦を華やかに
 演出した
 ことでしょう。


         壁に干支を描くキューピッド






 イラストの種類も豊富で、
 干支にちなんだものは
 もちろんのこと、
 当時人気のあった
 キャラクターものや、
 雑誌の付録用に、
 漫画家やイラストレーターによる
 書き下ろしなどもありました。
 
 現代でも年末の忙しい
 合間を縫って投函され
 元旦に各家庭に
 送られる年賀状は、
 国民的行事
 といってもいでしょう。


      すご六遊び






ちなみに年賀状のモチーフとして代表される十二支ですが、
日本で初めて私製絵葉書で印刷され、
販売されたのが明治34年の丑年でした。
牛がモチーフのせいか他と比べ、
デザインもおとなしめのものが多いような気がします。


おっとりとした牛を見てると落ち着いた気持ちになり、
新たに迎えた年をしっかり過ごそうという気になりますね。


次回は世の中の不景気に対抗する、
縁起物絵葉書を特集いたします。
お楽しみに!




次回は1月23日の予定です


クリマス特集3~大正ロマンとクリスマス~

2008-12-19 12:45:22 | 季節物・冬

クリスマスが終わるとすぐお正月の準備で慌しいですね。
イベントの多さも師走の忙しさに拍車をかけているように思えます。



さてすっかり馴染み深いクリスマスですが、
幕末は出島などの一部の地域のみのお祝いでした。





 明治に入って
 文明開化をきっかけに、
 裕福な家庭を中心に
 クリスマスを
 行うようになりました。
 お祭りや行事に
 熱心な日本人にとって、
 クリスマスは特に
 親しみやすかったのでしょう。
 大正時代にはキリスト教に
 関係なく、庶民にも
 広まっていきました。
 子どもたちも
 サンタクロースから
 プレゼントがもらえるので
 大歓迎だったそうです。


     イヴの夜







 子どもたちに
 人気があったクリスマスと
 サンタクロースですが、
 実はプレゼントは
 クリスマスにではなく、
 なんと大晦日の晩に
 配られていたのです。
 お正月に神様が家々をまわり、
 幸福をもたらすという
 言い伝えがありました。
 そこから子どもたちへ
 お年玉を送る
 風習が生まれました。
 お年玉を贈る神様と
 サンタクロースが
 混同されたのでしょう。


   サンタとキューピー




大晦日にプレゼントを配り歩くサンタが登場したのです。






 また当時の
 便利グッズとして
 「子ども福袋」
 というものが
 ありました。
 これは前もって
 買っておいた
 プレゼントを
 袋の中に隠しておき、
 寝静まった頃に
 枕もとに
 そっと置きます。

          サンタとお正月



翌朝目覚めると枕もとにあるプレゼントに驚き、大喜びしたそうです。






今ではクリスマスもすっかり定着し、
プレゼントも24日の夜から25日の朝に配られるのが常識になりました。
様々な過程を経て変わっていったイベントの姿を知ると、
習慣の違いと文化の奥深さをあらためて感じてしまいます。



さて次回は年明けの連載です。
おめでたい話満載の絵葉書を紹介いたします。
お楽しみに!





次回は1月9日の予定です