後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔723〕「機」(藤原書店)は小さいけど読みでのある冊子です。

2024年09月06日 | 図書案内

 皆さんは藤原書店が月刊で発行する「機」という宣伝誌をご存じでしょうか。32ページの小冊子ですが、内容はずっしりと重いものがあります。知的な好奇心を刺激するには十分の読み物です。
 ちなみに2024年8月号は上掲の通りです。
 巻頭の永田浩三さんの四國五郎『戦争詩』(四國光編)推薦文が読ませます。四國五郎と言えば児童読み物『おこりじぞう』の挿絵を描いた人として私は知るだけでしたが、このような戦争詩を書いていたことは知りませんでした。
  永田さんは広島出身で、『ヒロシマを伝える-詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』の著者でもあります。現在武蔵大学教授で、福田緑の写真展「祈りの彫刻」でも様々助言をいただきました。四國五郎のご子息、四國光さんとともにギャラリー古籐でお会いしたことがあります。

 さて8月号の「機」ですが、山口昌子さんの特別寄稿「フランスの『極右』は『極右』!」と連載「パリの街角から、パリ五輪狂騒曲」が実におもしろかったです。パリ在住者にしか書けないエッセイでした。
 本日2024年9月6日の朝日新聞「多和田葉子のベルリン通信」「スポーツの酔い 国の幻想」も秀逸でした。一人深く頷きながら読みました。


 ◆虚構の六ケ所村再処理工場
                                    鎌田 慧(ルポライター)

 8月下旬、日本原燃は使用済み核燃料の再処理工場完成について「約
2年半延期して2026年度中の完成を目指す」と発表した。延期は27回目
だから、誰も驚かない。2年前も完成します、と言いながら「できま
せんでした」という記者会見。これまで27回もやってきたのだから、ま
るで狼少年の類いだ。
 しかしイソップの寓話(ぐうわ)の最後には実際に狼が現れる。
 それも悲劇だが、もはや完成を信じる人はほとんどいない。再処理工
場の着工は1993年。31年たっても未完成。それでいて黒字経営。
 全国の電力会社が資金を負担しているからであり、その原資は各家庭
の電気料金でまかなわれている。
 稼働しなくても、先延ばし平気な親方日の丸会社。

 増田尚宏社長は「見通しが甘かった。今後は延びないで済む」(朝日
新聞)、「審査に対する私の認識が甘かった。(今後は)地に足が着い
た目標を示せるようにしたい」(東京新聞)。
 どこか人ごと、地に足が着いていない漂流経営。

 筆者は90年代から「再処理工場の黄昏」(『六ケ所村の記録』)と書
いてきたが、電事連が構想を発表した当時(84年)の建設費は7千億円
だった。いま事業費は15兆1千億円と算定される。
 各原発は危険とはいえ自分の敷地内に使用済み燃料を貯蔵する準備を
始めた。「もんじゅ」1兆円に続く、巨額の無駄遣いだ。
         (9月3日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)


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