後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔521〕後期ゴシック彫刻を歩く⑥ 28体のブロンズ像にただただ圧倒されました。(インスブルック、宮廷教会)

2022年11月10日 | 美術館・博物館鑑賞
 インスブルック(オーストリア)の宮廷教会に、等身大以上の28体のブロンズ像があることを認識したのはつい最近のことです。
 我々の後期ゴシック彫刻の旅はリーメンシュナイダーから始まって同時代の彫刻家の作品に向かっていきました。そのほとんどが木彫と石像でした。ブロンズ像が意識にのぼってきたのはペーター・フィシャーに出合ってからです。ニュルンベルクのゼバルドゥス教会のブロンズの墓に魅せられ、写真集でも紹介することになってしまいました。(緑写真集Ⅳ巻所収)

 10月13日(木)、ザルツブルクからインスブルックに移動してきたのですが、どうも身体が重いのです。この旅行中初めての発熱でした。すぐに検査キットで確認したのですが、ありがたいことに陰性でした。
 翌日の午前中、大事をとっていたのですが、どうやら動けそうなので、宮廷教会に足を運ぶことにしました。教会はホテルから徒歩30分ぐらいに位置していました。

 教会内に足を踏み入れたとたん、ブロンズ像に圧倒され続けました。息が苦しいという感覚に到ったのは微熱のせいではありませんでした。教会内には2,3人のグループがいるだけで、ほぼ貸し切り状態でした。まさに彫像と対峙する沈黙の世界。





  鉄細工に囲まれた巨大な空(から)の墓石を取り囲むように屹立するブロンズ像の一体一体を前から後ろから丁寧にカメラに収めていきました。皇帝マクシミリアンⅠ世は自分の霊廟にと定めていましたが、意に反してヴィーナー・ノイシュタットに埋葬されたということです。
 実は緑はこの時、一眼レフで撮影していてました。その重量もあってか、私に1日遅れで熱を出すことになってしまったのです。こちらも陰性でほっと安堵しましたが。

 私が一番待望していたのはラインベルガーの像でしたが、もらったパンフによるとなんとフィッシャーは二体、シュトースも一体造っているのでした。驚くことにラインベルガーとフィッシャーはデューラーとの共同製作であったようなのです。





  パンフやガイドブックには優雅な女性像が掲載されることが多いのですが、私にとって最も刺激的な像はラインベルガー・デューラー組です。飛び抜けて動的で個性的です。バランスよく優雅なのはフィッシャー・デューラー組でしょうか。シュトースのそれも丸みがあり優しい感じが好きです。どの作品が誰の作品か当ててください。









 そうそう、1つ書き忘れていました。この宮廷教会に来たかったわけです。グレゴール・エーアハルトの作品があるということだったのです。写真集第Ⅴ巻に掲載したグレゴールのカタログのなかにそれがあったのです。しかしながら、教会のパンフにはその記載がありませんでした。謎が1つ残りました。



 まあ、いずれにしてもこの空間に身を置かないことにはその荘厳さは実感できないでしょう。インスブルックに来られた際には是非足を運ばれることを勧めします。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。

最新の画像もっと見る