アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

㉕ アチャコのアキレス腱断絶日誌  株屋の独白

2017-04-17 08:40:14 | 日記

㉕ アキレス腱切った

 

・ダマテンのツワモノ

 

当日の朝は、沐浴潔斎してそのお客への訪問に備えた。担当者である部下は相変わらずマイペース。彼には十分に秘策について説明してあるが、まずは真剣に、お詫びから始め出来れば許しを請う事にしていた。

 

・しかし訪問した瞬間にその安易な考えは吹っ飛んだ。

 

機械工具の卸を営んでいるお客は、我々を小さな作業部屋に通した。窓もなく扉も硬く閉ざされ裸電球一つの小部屋は、我々の声が反響して不気味なムードを醸し出した。まさに独房に通された感じだ。お客の手元には、鉄製のバール、トンカチ、その他鋭利な刃物のついた工具類が散乱していた。その一つを手に取ったお客は、「さあ、話聞こうか。今日は何の話だ?」「んん?」すでに、お客はすべてを理解していたのだ、なんとその上で当該取引も含めて全取引の損失の補てんの要求をして来たのだ。

・絶対絶命だ。

交渉の冒頭、お客が手に持ったバールで机の上を全力で叩いて来た。狭い部屋に反響したその音は、我々を恐怖のどん底におとしめるには十分だった。無断売買の弱みがある当方に全損失の補てんを押し付ける。実に巧妙でうまいやり方だ。しかも状況は、死の恐怖すら襲う。お客の顔が、たった一つの裸電球に対して逆光で、まさに阿修羅の形相に見えた。

・一かバチかの手を使うか。

思う間もなく第2撃が眼前の机の上に叩き落とされた。すでに反響音も耳に届かないくらい緊張していた。・・・・。沈黙数分の後、勇気をもって打ち合わせ通り、吾輩は自らの拳を高々と打ち上げた・・・・・・・。「もはやアキレス腱どころではない。」

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番外  アチャコのアキレス腱断絶日誌  京都訪問

2017-04-16 18:01:59 | 日記

本日は4月16日日曜日 陽気が良いので、車に乗せてもらって京都六角堂に出向く。

桜の満開からはやや過ぎて、葉桜気味の中で、太子堂の前の枝垂れ桜は、まだまだ花びらも多く

春の名残を味わいました。家にこもった毎日を強いられていたので、やや気分が晴れました。

今年は、開花が早く、長く花見を楽しめたのではないでしょうか。

平野神社や岡崎公園など、観光名所はさぞ賑わった事でしょう。

来年は、しっかり自分の足で訪れたいと思います。

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㉔ アチャコのアキレス腱断絶日誌 株屋の独白

2017-04-16 17:44:49 | 日記

㉔ アキレス腱切った

 

・ダマテンのツワモノ

前回の③のケース。吾輩の部下で本当にそんな手合いがいた。とにかくお客には、何も言わない。これはなかなか勇気のいる事だ。お客には会社から営業マンを経由せず売買報告書が自宅に郵送される。しかしこれも「何かの間違いです。」としらを切る。しかしある時に信用取引でこれをやった。(信用取引とは、一定の担保金を積めば証券会社で買い付け金額を融資する売買方法。)信用取引は一定の期間が来ると清算しなければならない。これを期日という。その期日が迫って来てから吾輩に報告してきた。(泣きついてきたのだ)聞けば、何も言ってない。ええっ?何もか?ハイ。んでどうする?さあ!ざっとこんな調子だ。んで、清算すればどれだけの損なのか?〇〇〇万円です。・・・・・。(絶句)

 これは通常犯罪行為だ。しかしそれを何とかするのが上司の勤めだ。考えられないがそんな時代だったのだ。お客と事故になれば、もちろん当事者は首だ。上司も冷や飯の1年や2年は覚悟せねばならない。これをお客に承知いただく秘策をひと晩考えた。イチかバチかの大勝負。

吾輩も人生がかかっているのだ。「思い出しても、アキレス腱が笑う。痛いけど笑う。」

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㉓ アチャコのアキレス腱断絶日誌  株屋余話 

2017-04-15 11:29:29 | 日記

㉓ アキレス腱切った

「ここからは昭和の株屋の独り言。東京証券取引所が人手で取引されていた事を、ご存知でしょうか?今でも、前場、後場というのは、市場の事だ。「取引する場」があったのだ、人手によるので時間がかかる、活況で取引が多いとさらに時間がかかる。同じ時間に発注しても値段が大きく違ったというような話は幾らでもあった。そんな時代。株屋は取引高をノルマに激烈な顧客争奪を繰り広げていた。「無断売買」これは、誠に違法性に満ち満ちた言葉だが、(実際違法)我々は「ダマテン」と呼んでいた。マージャンをご存知の方にはお分かりの、リーチもせず黙ってテンパイする事。パターンは複雑だ。①お客様に徹底的に説明しても許可を頂けない。しかし拒否もしていないと解釈する株屋。典型的なのは、お客が「いいです。」これは「良い」のか「要らない」のか。「けっこうです。」も同様だ。どう考えても無理があっても人間追いつめられると良いように解釈する。「わかりました」どう分かりましたか、お互い分からないママ発注する。②直後に同意を得る場合。売買の機会を逃してはいけないので、「やっておきました。」と事後説明する。後で言っても立派なダマテンだ。承諾もらえなくても承諾いただくまでねばる。③全く何も言わず、何も報告しない。この③が一番多く。この為、とんでもない事件が起こる。吾輩における最大の壮絶な実話の事件を次回報告する。」「アキレス腱はズキズキしてきた。」

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 ㉒ アチャコのアキレス腱断絶日誌   再び脱線

2017-04-15 09:36:44 | 日記

㉒ アキレス腱切った

「ケガ以来よく寝る。そして悲しいくらいよく腹が減る。夢もあまり見ないが、昨夜はいつもの夢を見た。朝会社に出社して9時の寄付きまでに一つの注文も取れていない、恐怖に怯える夢だ。実は、吾輩は、大学を卒業して証券会社に入った。『株屋』と呼ばれた時代だ。証券取引所の売買は全部株屋がお客とやり取りして発注していた時代だ。仕手株(特定の資本に買い占められたりして株価が乱高下する銘柄)インサイダー情報による取引(入手した未公開情報で売買する事違法行為)株価操作(意図的に株価を操作する)ダマテン(お客さんに無断でお客の口座で売買する)など、まさに鉄火場、清濁併せ持った世界だった。投資家もそれを承知で参加していた。しかし一方で、日本経済の根幹を株屋や投資家が背負っていた時代だ。証券会社のノルマは、売買取引高で決まった。従って、取引の始まりの寄付き時点で注文がないというのは、絶対にありえない事態だ。『今日も注文がもらえない。』そんな恐怖が、30年以上も経た今でも夢に出てくる。そんな世界なので、トンデモ社員やトンデモ顧客がいっぱい出てくる。平成の今ではあり得ない『パラダイス』だった。」「アキレス腱どころではない。余話をいくつか紹介する。」

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