エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

櫨(はぜ)紅葉

2015年10月15日 | ポエム
櫨紅葉は鮮やかである。
櫨の実が季語となっているけれど、実は櫨の紅葉は見事である。



櫨の実からは、蝋燭の原材料が絞れるのである。
日本への渡来は安土桃山時代末の1591年(天正19年)に筑前の貿易商人 神屋宗湛や島井宗室らによって中国南部から種子が輸入され、当時需要が高まりつつあったろうそくの蝋を採取する目的で栽培されたのがはじまりとされる。
その後、江戸時代中期に入って中国から沖縄を経由して、薩摩でも栽培が本格的に広まったとされる。
薩摩藩は後に1867年(慶応3年)年のパリ万国博覧会には、このハゼノキから採った木蝋(もくろう)を出品している。



昨日は、全き秋空であって雲が滑らかに遊弋した。



櫨紅葉は、我が家の蕎麦のグリーンベルトに植えてある。
一枝ずつ紅葉してゆく。
その一枝が、真っ赤で秋の匂いを漂わせる。







「櫨紅葉朝の光の差し込まず」







こうして、徐々に季節が進む。
俳句の季節が深まってゆくのである。



       荒 野人