エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

薔薇の物語

2011年09月20日 | 
薔薇で物語を紡いでみようか・・・。
誠にケレン味のない花であるのだけれど、現(うつつ)のものとも思えず心揺すぶられるのである。



残暑厳しき日、とある薔薇園で時間をうっちゃったのであった。
花弁の一枚一枚を「押し戴いて・・・」食べちゃいたいほど愛おしいのである。
和菓子の煉り切りの中に、こっそりと忍ばせたら面白い趣向であるかもしれない。

この薔薇などは、まるで餡で拵(こしら)えたようでもある。

薔薇の物語である。



物語の最初は「ほのかな恋心」が芽生えなければ面白くない。
この薔薇は「恋心」である。



そうして、男と女の間に「芳純」な恋が花開いていく。
濃密で豊かな時間が過ぎていくのである。



そうして女は「女神」にへと昇華していく。
冒しがたく、触れがたく・・・そして眩しいほどの存在へと駆け上がっていき、能の世界で言う「上花」へと辿りつく。
存在自体が静謐であって、厳(おごそ)かである。

女は神になったのである。



「プリンセス・ドゥ・モナコ」輪廻転生して現生に姿を現すときは、正にプリンセスとして存在するのかもしれない。



あるいはまた、聖少女として人々の希望となるのだ。



この薔薇は「アンネのバラ」である。
そう、あのナチスから逃れるため屋根裏に潜んだ「アンネ・フランク」である。

アンネは逮捕され悲劇を招来するのだけれど、アンネが家族と過ごした時間は美しく結晶するのである。
彼女の日記は、いまでも連綿として読み継がれている。



ローズ・ヒップの実である。
美しき人の一生である。
生きた長さではなく、その濃密な時間こそ光り輝くのである。



薔薇は、狂おしいほど魅力的である。
だから人は、歴史を紡ぐ事に失望しないのである。

人は希望を持たないと生きられないのだから!





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 荒野人


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