エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

上野のお山

2014年05月11日 | ポエム
上野のお山は、青嵐の中にあった。



実は、キトラ古墳展に出掛けたのである。
だがしかし、意気地なしの野人に堕してしまった。

会場への入場まで、炎天下で140分。
入場してから、壁画展示まで、40分。
合計、180分かかるらしいのである。



そこで断念!
と相成った次第であります。
池の周りを眺めつつ、さて・・・如何すべきか!
沈思黙考。



弁当を頂く事としたのであります。
稲荷鮨は,ぼくの大好物。
昨夜リクエストして、今朝作って貰ったのであります。



おかずとして、卵焼き(パセリ入り)、中華クラゲ、蕗の煮物であります。
満腹となったところで、牡丹を見に行く事としました。

今日までが、牡丹展であります。



春牡丹の饗宴はそろそろ終わり。
良いタイミング!

蕊の誘うような色香。



濡れたような花弁である。
そう、君の唇のようなのだ。



そうかと思うと、清楚に咲き誇る牡丹。
千変万化の牡丹である。







「お山から御一新の鐘青き踏む」







今日中に行かなければ、見逃しますぞ!
御同輩!!



        荒 野人

楮(こうぞ)の花

2014年05月10日 | ポエム
楮の花・・・。
コウゾの花が咲いている。



この径の奥である。

まるで、緋扇を重ねるように咲いているのである。
その咲き方や色合いは、合歓の花のようでもある。







「重ねたる緋色の着物楮の花」







コウゾの花が、これほど愛らしいとは思わなかった。
この年になって、初めての「お目もじ」であった。

なんだか、とても嬉しい。
初めての出会いは、これほど嬉しいものなのかと思う。

しかも、楮の由来を知るともっと楽しい。
「日本書紀」には、610年(1400年前!)に高麗の僧が製紙技術を日本にもたらしたとある。
栽培種の楮も、このとき渡来したと思われるのである。



その後、和紙のことを、「楮紙(こうぞし)」と呼ばれるほど、楮は和紙の代表的な原料となった。
ぼくたちが良く知っているのは「三椏」であるけれど、一般的には楮とされる。

楮の名前は、「紙麻(かみそ)」→「かみぞ」→「こうぞ」に変化したとの説がある。
いわゆる「発音便」による変化である。



別名「紙の木(かみのき)」製紙原料になることからだろう。

花言葉は・・・
「過去の思い出」である。



床しい感じのする花言葉である。
それにしても、奥床しく見える花である。



       荒 野人



ミズキの花

2014年05月09日 | ポエム
朝鮮からインドシナにかけて自生する。
日本では山野に自生するというけれど、結構公園などで見かける事が出来る。

まるで、空に浮かぶ雲のように咲く。







「ミズキ咲く母の思いの深さかな」







ミズキの命名は、樹液が多く、特に春先に枝を切ると水がしたたり落ちることからこの名前がついたのである。
花は5~6月頃・・・丁度今頃なのだ。

枝先に平らな房状に集まって咲き、秋には暗紫色の実をつける。



目立つ程でもなく、パッと目を見開かせる派手さも無い。
無いけれど、何故か愛おしい。

そう、山野の母のような花である。



花言葉は・・・。
「耐久」「成熟した精神」である。

母ではないか!
豊饒の海のような、母である。



       荒 野人

ユリノキの花

2014年05月08日 | ポエム
ユリノキの高い場所に、花が付いている。
チューリップのような花である。



別名にハンテンボク(半纏木; 葉の形が半纏に似ることから)、レンゲボク(蓮華木; 花が蓮の花を思わせることから)、チューリップツリー(同じく花がチューリップを思わせることから)そのように呼ぶのである。



花言葉「田園の幸福」は、花からさらりとした上品な香りの蜜(みつ)がたっぷりとれることからきている。
その蜂蜜は、きわめて良質なのである。

また、もう一つの花言葉は「見事な美しさ」であり「幸福」である。







「ユリノキの花の興りし高さかな」







この花は、高いところで咲いているのだけれど幸運にして花が目の前にあったら、そっと顔を近づけてみる事だ。

甘やかな匂いに満たされる。
幸福な匂いである。



       荒 野人

クロバナ蝋梅

2014年05月07日 | ポエム
れっきとした、蠟梅である。
チョコレート色である。



今が見頃のロウバイなのである。
匂いは・・・無い。

このロウバイの名前は「クロバナロウバイ」である。







「初夏に咲くチョコの色する一輪の」







このロウバイに似ているけれど、また違うロウバイもある。



ナツロウバイである。
なんとも不思議なロウバイたちである。

この花は、いま川口市にある植物園に密やかに咲いている。
人に気付かれなくとも良い!



そんな感じで咲いているのだ。
人は、通り過ぎていく。
花の名札を確認しない。

勿体ない。



      荒 野人