LHCで“美しい”新粒子を発見(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース
スイスにある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での原子衝突実験で、新たな亜原子粒子(原子よりも小さい粒子)が検出された。
新発見の粒子「Xi(b)*」(グザイ・ビー・スター)はバリオン(重粒子)の1種だ。バリオンはより小さな粒子である3つのクオークで構成される。原子核の陽子と中性子もバリオンである。
Xi(b)*は「ビューティバリオン(beauty baryon)」というグループに属する。ボトムクオーク(ボトム量子数を持つクオーク)を1つ含んでいるのが特徴だ。ボトムクオークは「ビューティクオーク(beauty quark)」とも呼ばれる。
Xi(b)*の存在は以前から予測されていたが、これまでに観測されたことはなかった。発見自体はそれほど驚きではないというが、「物質はどのように形成されるのか」という難問の解明に役立つはずだ。
LHCでの実験を指揮するアメリカ、コーネル大学の物理学者ジェームズ・アレクサンダー氏は、「壁のレンガがまた1つ積み重なった」と語る。
◆乱雑な反応データを調査
陽子や中性子とは異なり、ビューティバリオンは極めて短い時間しか存在しない。Xi(b)*はほんの一瞬で別の短命な粒子21個に崩壊する。
Xi(b)*の発生には超高エネルギーが必要になるため、地球上で存在できるのはLHCのような粒子加速器の心臓部だけだ。LHCはスイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)が運営している。
2011年夏にアメリカ、イリノイ州にあるフェルミ研究所の粒子加速器「テバトロン」でもビューティバリオンが検出されている。今回の粒子は、その高エネルギー版だという。
LHCチームは新粒子を直接検出したわけではない。施設内の小型ミューオン・ソレノイド(CMS)検出器がとらえた陽子・陽子衝突の反応データから、新粒子の崩壊の痕跡を特定したという。
共同発見者でCMSを担当する物理学者ビンチェンツォ・チオッチア(Vincenzo Chiochia)氏は、「この粒子を見つけるのは非常に骨が折れる作業だ。分析の難しい反応データから複雑な崩壊を特定でき、今後、他の粒子も発見できる自信がついた」と、オンラインマガジン「symmetry breaking」で述べている。
CMSチームは新粒子の存在を「5シグマレベル」まで確認した。つまり、99.99%の確率で偶然ではないという。
◆ヒッグス粒子の探索は続く
フェルミ研究所のパトリック・ルーケンス(Patrick Lukens)氏は、「クオークの結合に関する理論が基本的に正しいと改めて裏付けられた」とコメントしている。
新粒子は「量子色力学(りょうしいろりきがく)」の有力な理論で予測されていたという。量子色力学はクオーク同士が結合してより重い粒子になる仕組みをモデル化する学問だ。
ただし、ルーケンス氏によると、Xi(b)*の発見はヒッグス粒子の探索とは関係がないという。ヒッグス粒子は量子色力学で存在が予測されており、宇宙に質量が存在する原因と考えられている。
コーネル大学のアレクサンダー氏は、「ヒッグスは量子色力学で理論全体の柱となる粒子だ。存在は未確認だが、すべてはヒッグスにかかっている」と語る。
新粒子発見の詳細な論文は「Physical Review Letters」誌に提出されている。
新しい粒子が発見された可能性があるようです。
この分野、観測装置が開発されればまだまだ新しい発見がありそうですね。
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スイスにある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での原子衝突実験で、新たな亜原子粒子(原子よりも小さい粒子)が検出された。
新発見の粒子「Xi(b)*」(グザイ・ビー・スター)はバリオン(重粒子)の1種だ。バリオンはより小さな粒子である3つのクオークで構成される。原子核の陽子と中性子もバリオンである。
Xi(b)*は「ビューティバリオン(beauty baryon)」というグループに属する。ボトムクオーク(ボトム量子数を持つクオーク)を1つ含んでいるのが特徴だ。ボトムクオークは「ビューティクオーク(beauty quark)」とも呼ばれる。
Xi(b)*の存在は以前から予測されていたが、これまでに観測されたことはなかった。発見自体はそれほど驚きではないというが、「物質はどのように形成されるのか」という難問の解明に役立つはずだ。
LHCでの実験を指揮するアメリカ、コーネル大学の物理学者ジェームズ・アレクサンダー氏は、「壁のレンガがまた1つ積み重なった」と語る。
◆乱雑な反応データを調査
陽子や中性子とは異なり、ビューティバリオンは極めて短い時間しか存在しない。Xi(b)*はほんの一瞬で別の短命な粒子21個に崩壊する。
Xi(b)*の発生には超高エネルギーが必要になるため、地球上で存在できるのはLHCのような粒子加速器の心臓部だけだ。LHCはスイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構(CERN)が運営している。
2011年夏にアメリカ、イリノイ州にあるフェルミ研究所の粒子加速器「テバトロン」でもビューティバリオンが検出されている。今回の粒子は、その高エネルギー版だという。
LHCチームは新粒子を直接検出したわけではない。施設内の小型ミューオン・ソレノイド(CMS)検出器がとらえた陽子・陽子衝突の反応データから、新粒子の崩壊の痕跡を特定したという。
共同発見者でCMSを担当する物理学者ビンチェンツォ・チオッチア(Vincenzo Chiochia)氏は、「この粒子を見つけるのは非常に骨が折れる作業だ。分析の難しい反応データから複雑な崩壊を特定でき、今後、他の粒子も発見できる自信がついた」と、オンラインマガジン「symmetry breaking」で述べている。
CMSチームは新粒子の存在を「5シグマレベル」まで確認した。つまり、99.99%の確率で偶然ではないという。
◆ヒッグス粒子の探索は続く
フェルミ研究所のパトリック・ルーケンス(Patrick Lukens)氏は、「クオークの結合に関する理論が基本的に正しいと改めて裏付けられた」とコメントしている。
新粒子は「量子色力学(りょうしいろりきがく)」の有力な理論で予測されていたという。量子色力学はクオーク同士が結合してより重い粒子になる仕組みをモデル化する学問だ。
ただし、ルーケンス氏によると、Xi(b)*の発見はヒッグス粒子の探索とは関係がないという。ヒッグス粒子は量子色力学で存在が予測されており、宇宙に質量が存在する原因と考えられている。
コーネル大学のアレクサンダー氏は、「ヒッグスは量子色力学で理論全体の柱となる粒子だ。存在は未確認だが、すべてはヒッグスにかかっている」と語る。
新粒子発見の詳細な論文は「Physical Review Letters」誌に提出されている。
新しい粒子が発見された可能性があるようです。
この分野、観測装置が開発されればまだまだ新しい発見がありそうですね。
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