古代パンダの歯、スペインで発見(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース
先史時代に生きていたジャイアントパンダの近縁種の化石がスペインで発見された。中国を象徴するようなクマの祖先は、もともとヨーロッパで暮らしていたかもしれないと、新たな研究は示唆している。
スペインのマドリードにある国立自然科学博物館の古生物学者フアン・アベジャ(Juan Abella)氏の研究チームは最近、サラゴサ市近郊で動物の歯の化石を発見した。アグリアルクトス・ベアトリクス(Agriarctos beatrix)と名付けられたこの動物は、1100万年前に、湿潤な森林地帯だった現在のスペインに生息していた。
見つかった歯からは、この動物について多くのことがわかるとアベジャ氏は話す。「例えば、すべてのクマ(の歯)には、それがクマであることを示す一連の特徴がある。同じことはイヌにも、ネコにも、シカにも、その他の脊椎動物についても言える」。
歯の化石を分析した結果、「この歯はクマ科に、より厳密にはジァイアントパンダ亜科に属するという結論に達した」とアベジャ氏は話す。
この動物がジァイアントパンダにとてもよく似ていた可能性もある。クマ科の現生種の多くに特徴的な濃色と白の模様があることから、アベジャ氏らは、このクマにもパンダのような模様があったと推測している。
◆パンダの起源はヨーロッパか
しかし、このクマ科の動物は、普通に想像されるようなクマとは異なる。
まず、体重は60キロほどで、現生の最小種、マレーグマよりも小さい。先史時代のヨーロッパでは、最強の捕食者というわけではなかっただろう。
発見された種は、現在のパンダや小型のクマと同じように、素早く木に登って大型肉食動物から逃げていたと研究チームは考えている。当時は、イヌのようなアンフィキオン類や、鋭い歯を持つネコのようなバルボウロフェリス類など、現在は絶滅した肉食動物が生息していた。
また、アグリアルクトス・ベアトリクスは、判明している中でジャイアントパンダ亜科に属する最古の種でもある。「したがって、このグループの起源は、現在(ジャイアントパンダ亜科)の種が生息する中国ではなく、温暖湿潤な(南西)ヨーロッパにあった」とアベジャ氏は述べている。
◆パンダの祖先は歩いて中国に移住した?
では、ジャイアントパンダの祖先はスペインから中国までどのように移動したのだろう。
これまでの研究によると、クマ類は一般に「環境条件さえ合っていれば極めて容易に拡散する」という。温暖湿潤な当時の南西ヨーロッパは、出発点として良好な条件だったとアベジャ氏は指摘する。
クマ類はたいてい陸上を移動する。古代のヨーロッパにはパラテチスと呼ばれる海が入り込んでおり、これが障壁となった可能性が考えられるが、アベジャ氏によると、この時代にはパラテチス海は縮小していたという。
アグリアルクトス・ベアトリクスが中国に渡ったかどうか、「実際はわからない。この種の化石はスペイン以外では見つかっていない」とアベジャ氏は言う。
アベジャ氏が次に期待するのは、この種の骨格化石を発掘することだ。それが発見されれば、この動物がどのように暮らし、どのように移動したかがもっと詳しくわかる。
骨格化石が存在するかどうかはわからないが、アベジャ氏の研究チームはパルセロナにあるカタルーニャ古生物学研究所(Institut Catala de Paleontologia)と共同で「非常に(化石が)豊富で興味深い」地層の発掘を行っている。この化石層はアグリアルクトス・ベアトリクスの歯が発見されたのとほぼ同時代の地層で、この動物の化石も含まれている可能性がある。
「この種の化石がもっと見つからないかぎり、これ以上のことは言えない」とアベジャ氏は話している。
パンダの近縁種についての研究は、「Estudios Geologicos」誌の最新号に掲載された。
パンダの起源に関する新しい説が出てくるかもしれませんね。
☟クリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ
先史時代に生きていたジャイアントパンダの近縁種の化石がスペインで発見された。中国を象徴するようなクマの祖先は、もともとヨーロッパで暮らしていたかもしれないと、新たな研究は示唆している。
スペインのマドリードにある国立自然科学博物館の古生物学者フアン・アベジャ(Juan Abella)氏の研究チームは最近、サラゴサ市近郊で動物の歯の化石を発見した。アグリアルクトス・ベアトリクス(Agriarctos beatrix)と名付けられたこの動物は、1100万年前に、湿潤な森林地帯だった現在のスペインに生息していた。
見つかった歯からは、この動物について多くのことがわかるとアベジャ氏は話す。「例えば、すべてのクマ(の歯)には、それがクマであることを示す一連の特徴がある。同じことはイヌにも、ネコにも、シカにも、その他の脊椎動物についても言える」。
歯の化石を分析した結果、「この歯はクマ科に、より厳密にはジァイアントパンダ亜科に属するという結論に達した」とアベジャ氏は話す。
この動物がジァイアントパンダにとてもよく似ていた可能性もある。クマ科の現生種の多くに特徴的な濃色と白の模様があることから、アベジャ氏らは、このクマにもパンダのような模様があったと推測している。
◆パンダの起源はヨーロッパか
しかし、このクマ科の動物は、普通に想像されるようなクマとは異なる。
まず、体重は60キロほどで、現生の最小種、マレーグマよりも小さい。先史時代のヨーロッパでは、最強の捕食者というわけではなかっただろう。
発見された種は、現在のパンダや小型のクマと同じように、素早く木に登って大型肉食動物から逃げていたと研究チームは考えている。当時は、イヌのようなアンフィキオン類や、鋭い歯を持つネコのようなバルボウロフェリス類など、現在は絶滅した肉食動物が生息していた。
また、アグリアルクトス・ベアトリクスは、判明している中でジャイアントパンダ亜科に属する最古の種でもある。「したがって、このグループの起源は、現在(ジャイアントパンダ亜科)の種が生息する中国ではなく、温暖湿潤な(南西)ヨーロッパにあった」とアベジャ氏は述べている。
◆パンダの祖先は歩いて中国に移住した?
では、ジャイアントパンダの祖先はスペインから中国までどのように移動したのだろう。
これまでの研究によると、クマ類は一般に「環境条件さえ合っていれば極めて容易に拡散する」という。温暖湿潤な当時の南西ヨーロッパは、出発点として良好な条件だったとアベジャ氏は指摘する。
クマ類はたいてい陸上を移動する。古代のヨーロッパにはパラテチスと呼ばれる海が入り込んでおり、これが障壁となった可能性が考えられるが、アベジャ氏によると、この時代にはパラテチス海は縮小していたという。
アグリアルクトス・ベアトリクスが中国に渡ったかどうか、「実際はわからない。この種の化石はスペイン以外では見つかっていない」とアベジャ氏は言う。
アベジャ氏が次に期待するのは、この種の骨格化石を発掘することだ。それが発見されれば、この動物がどのように暮らし、どのように移動したかがもっと詳しくわかる。
骨格化石が存在するかどうかはわからないが、アベジャ氏の研究チームはパルセロナにあるカタルーニャ古生物学研究所(Institut Catala de Paleontologia)と共同で「非常に(化石が)豊富で興味深い」地層の発掘を行っている。この化石層はアグリアルクトス・ベアトリクスの歯が発見されたのとほぼ同時代の地層で、この動物の化石も含まれている可能性がある。
「この種の化石がもっと見つからないかぎり、これ以上のことは言えない」とアベジャ氏は話している。
パンダの近縁種についての研究は、「Estudios Geologicos」誌の最新号に掲載された。
パンダの起源に関する新しい説が出てくるかもしれませんね。
☟クリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ