Mrs.ベリーのVeryな一日

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八日目の蝉

2007年07月23日 18時46分31秒 | ベリーの感想文(本・映画)
八日目の蝉
角田 光代
中央公論新社

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天気     

 

角田光代 著 : 八日目の蝉
を、読みました。


25年くらい前の東京で起こった、凶悪誘拐事件
真面目で美しい大企業のOLだった希和子は
その凶悪誘拐事件を起こしてしまった
不倫の彼は、私に子どもを産ませてくれなかった。
そして、私は子どもの産めない身体になってしまった。
せめて、彼の奥さんが生んだ赤ちゃんを一目見てみたい。
彼と奥さんが家を空けた時間に、家に侵入して
赤ちゃんを一目見るだけだった。見るだけだったのに・・・。
そこから、希和子の逃亡生活は始まります。
赤ちゃんを抱き上げてしまったばかりに、手放せなくなって・・・。

この物語の半分は、希和子の逃亡の様子を描いていて
この事件が、あたかも本当にあったことのように感じ
誘拐という事件に、不快感を感じながらも
どんどん引き込まれてゆきました。
逃亡に疲弊してゆきながらも、赤ちゃんにと名づけ
溢れるほどの愛情を注ぎながら、薫と過ごす日々が一日でも
長く続くことを希和子は祈っています。


 

第2章は、希和子から連れ去られたかつての幼児、薫、
本名 恵理菜という女の子が、20歳になったところから
始まります。事件から20歳までの恵理菜の生活。
本当の家族との26年を振り返りながら
物語は、予想外な方向へ展開してゆきます。


ときに救いがなく、漠然と問いを投げかけたまま、終わる物語も
多い角田作品ですが、大団円とは言わずとも
それぞれが、収まるべき場所に収まり。
最後に救いを感じることができた作品で、少しづつだけど
変わってゆきそうな未来に、ほっとした作品でした。


「解き放たれた美しさ」読了と共に浮かんだ言葉でした。