悪人 吉田 修一 朝日新聞社 このアイテムの詳細を見る |
天気 たぶん
吉田修一 著 : 悪人
を、読みました。
祐一はその日、三瀬峠を通って長崎から福岡市内にやって来ました。
自慢の白の中古のスカイラインGT‐Rを飛ばして。
佳乃は久留米から、福岡市内の会社に就職した21歳の女性。
彼らを結びつけたのは、出会い系サイトでした。
二人以外の人間模様も複雑に複雑にからみながら
起こってしまった不幸な事件。
その事件によって、赤裸々に報道されるプライバシー。
その事件ののちも、沢山の登場人物たちの思いを描きながら
物語は、進んでゆくのです。はたしてだれが悪くて、だれが可哀想なのか?
作品の後半、主人公祐一がこんなことをつぶやきます。
『・・・でもさ、どっちも被害者にはなれんたい。』
この言葉が、ただひたすらこの物語のテーマを語っていたような気がします。
北部九州を舞台としたこの作品は、リアルに情景が浮かぶ作品でした。
福岡では、千代県庁口、東公園、天神、早良、三瀬峠、久留米
佐賀では、佐賀大和インター、北部バイパス、佐賀駅、呼子、唐津
これに、長崎市内が加わります。
佐賀・久留米に居住経験のある私としては
語られる方言が耳元で聞こえてくるようでした。
全420ページの作者渾身の長編作品でしたが
1ページ目からすっかり引き込まれてしまい
半日で読んでしまいました。
凄く面白かったです。いや、ほんと面白かった!