食堂かたつむり 小川 糸 ポプラ社 このアイテムの詳細を見る |
天気 予報大ハズレ
小川糸 著 食堂かたつむり
を、読みました。
倫子は、深夜バスに乗るだけのお金しかありませんでした。
自分のレストランを持つために、恋人と一緒に貯めたお金は
恋人と一緒に消えてしまって、夢は壊れてしまいました。
なぜか自分の声も一緒に・・・。
わずかに残った小銭は、故郷に帰る深夜バスに乗ると全てなくなりました。
お婆ちゃんに育てられた倫子は、母を少し憎んでいます。
しかし、すべてを失くした今、嫌いな母を頼るしかありません。
田舎でスナックを営んでいる、母の家に身をよせ
母のペット、豚のエルメスを育ててゆくうちに
破れた夢が、もう一度再燃します。
母の家の隣に建つ離れを改装し、レストランを開くのです。
一日一件の予約で、村で採れた野菜を使い、近くの海で採れた魚を使い。
こうして倫子は、料理に魂を吹き込んで、少しづつ人の心を温めて行きます。
飽食や、食の安全が叫ばれる、今日。
食べるという、ごく基本的な行為が、実は毎日を輝かせる
大切なことだという事を、感じました。
可愛い豚のエルメス存在が、読む人に何を与えてくれるのか?
きっと感じることは、読んだ人それぞれだとは思うけど、
そうやって私たちは、毎日命をつないでいるんだなと思いました。
ひたむきに料理に取り組む倫子の姿を想像すると
今夜の晩御飯づくりも、ちょっと気合いが入りそうな気がする一冊です。