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さよなら渓谷 吉田 修一 新潮社 このアイテムの詳細を見る |

吉田修一 著 : さよなら渓谷
を、読みました。
渓谷沿いの奥まった場所にある、老朽化した平屋の市営住宅。
そこで、母親が邪魔になった子どもを殺したという、事件が起こりました。
しかし物語は、この物語をクローズアップするのではなく、
隣に住む夫婦にスポットライトが当たります。
子ども殺しの件で張り込んでいた、ある週刊誌の記者は、
隣に住む夫婦の意外な過去を知り、深く調べてゆく中で
信じられない二人の過去が明らかになって行くのでした。
あ~~、面白かったです!!
ドストエフスキーの次は、なんでも面白く感じるかもしれませんけど
とにかく、「ああ、これこれ!!こんな感じの描写の物語!!」と
かなり嬉しくて、あっという間に読んでしまいました。
吉田作品の“悪人”も、犯罪者をテーマにした物語でしたが、
この作品も、また違った形で、犯罪者を描いています。
しかし、“悪人”で私が感じた事を、この物語はまた思い出させてくれました。
“悪人”で、主人公は、
「どっちも被害者にはなれんたい。」
と、長崎の訛りでつぶやくのですが、私はこの言葉がまるで
生身の人間から聞いた言葉のように、耳の奥にこびりついています。
この物語の設定は、“悪人”とは、違いますが
それでも、罪を犯した人間側の心理や生活が描かれていて
これまた、内容も知らず図書館で適当に借りてきた割には
裁判員裁判にリンクした作品でした。
本当に悪い奴ってのは、実は普通の顔して、いい人のふりして
要領よく生きているんじゃないか?
それは多分、物語の中だけのお話ではないんじゃないか?と
考えさせられた、興味深いお話でした。