Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

チーズと塩と豆と

2011年09月05日 11時49分32秒 | ベリーの感想文(本・映画)
チーズと塩と豆と
井上 荒野,江國 香織,角田 光代,森 絵都
ホーム社

天気      ちょっとちょっとその他は



角田光代 著 : 神様の庭
を、読みました。


スペインバスク地方、僻地の田舎では人々は助け合い、笑い合い、
いつも食卓を囲んでは、同じ人生を生きていた。
しかし、そんな世界に疑問を持ち、飛び出した主人公。
バルセロナのきらびやかな生活に、すべてを解放されて
自由を謳歌し、そして人生をかける仕事に出合う。
食を通して、家族の絆や愛情を描いた名作。


以前、NHKでこの小説を書くために、
著者がバスク地方を訪れて、
そこに住む幾人かの人に話を聞き、
食事を楽しむという番組がありました。
滞在中に執筆されたその小説を、
その番組の中で、ドラマとして放映するという
面白い構成になっていました。
そのドラマも面白かったのですが、
きっと、原作はもっと面白いだろうと楽しみにしていました。
やはり、原作はドラマの何倍も面白かったです

家族というものは、とてもありがたい存在なのでしょうが、
思春期のほんの一時だけではなく、その後も心に大きな影を落とす
困った人間関係の根源という人も、少なからずいるのではないでしょうか?
血縁あってこその確執は、簡単に解決できるものではありません。
この物語の主人公も、高校生の時の母の死をきっかけに、
家族の絆に疑問を感じ、逃げるようにバルセロナの大学に
進学するのです。
自由を謳歌し、世界中を旅する中で偶然出会う仕事は、
皮肉なことに、父譲りの料理の腕前を買われたものでした。
主人公は仕事柄、世界のあちこちで、迫害され安住を求めてさまよう
子どもを、女を、家族を見つめます。


遠く旅をして、すべてを失って故郷に戻ってくる、
放蕩息子の話が、聖書の中にあります。
まるで、そのお話のように、傷つき疲れた彼女が目指したのは、
僻地にひっそりとたたずむ故郷でした。


世界中を一人で旅して、見つめている著者の目線が
描き出した世界は、力強く愛情にあふれていて、
小説ながら、スタンディングオーベーションでした(笑)