FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<コンペに行こう>ユース選手権・決勝

2013-04-24 13:17:24 | コンペティション参加報告
3月31日(日)
決勝進出者:コーヘイ

決勝当日はあいにくの天気

受付開始30分ほど前に会場に着く。
雨だとういうのに建物のなかにはまだ入ることが出来ず、玄関ホール前の庇の下は決勝出場の選手やら保護者の方々やら応援の仲間やらでごった返していた。
アイソレーションに入る前のコーヘイにも会ったが、あえて口うるさいことは言わず本人に任せることにした。

男子決勝ルートは張りぼてを多用したボルダーチックな課題だった。
下部から悪く、気が抜けない
コーヘイが苦戦しそうなポイントは上部3分の2ほどのところにある、赤い大きな三角ボテの処理。
リーチがあまりない場合は、股関節の柔らかい子なら手に足で体を引き上げることも可能だろうが、コーヘイはそこまでの柔軟性はない。。。
いや、そこまで行ければ「御の字」で、メンタルが不安定な状態だったらいつでもどこでも失敗出来そうな不安定さを抱えたルートだ
なんだか心配だな~

登る順番は、予選成績の悪い順番で。
ユースBのカテゴリーでは、予選は10名通っているから、コーヘイはちょうど真ん中の出番となる。
コーヘイより前に登ったボルダーの強い子たちも下部からかなり苦労していたし、懸案の三角ボテまで行けたのは一人だけだったので、だんだん三角ボテまでも行けないような気がしてきたところで当のコーヘイの登場。

最後の練習の時コーヘイは生活面もメンタル面もズタボロで、トレーニング用に練習していた13cは気持ちだけが先走って体が浮いており散々な登りだった
状態の悪い見本ケースとして記憶しておくように本人には言ったものだ。

その最終練習時の登りの様子が瞼にチラチラしていたのだが、目の前で登り始めたコーヘイの動きは別人のように安定していた。
ボルダーの強い子がやっとの思いで止めて行ったところも、スタティックな動きでニョロニョロと越えて行く
おや?結構良いぞ
懸案の三角ボテまで安定して到達
・・・が、やはりそこが彼の難所だった
何回かムーブを変えて試してみたが、力尽きてフォールした

最終成績は予選と変わらず、5位。
でも、思いのほかの良い登りだった
大会直前まで生活面の問題でスッタモンダし、練習も充分に出来ていたとは言い難い。
私は、今回の成績は覚悟しておくように言ったものだ。成績が悪くて悔しい思いをしても、自分の責任なんだよ、と。
ところがなかなかどうして。。。本番中の集中も良く、気持ちだけが高ぶることもなく、力を出し切る登りが二日間を通して出来ていた

本番で実力を出し切る、ということがどのくらい困難であるかは、経験のあるものならばよく分かるはずだ。
今の力が出し切れてはじめて、自分の力の足りないところがはっきりと分かる。
力を出し切ることは、その後の成長の第一歩、と言えるのだ


今回、コーヘイは決勝のアイソレーションでの待ち時間でも、マンガを読むのはやめたらしい。
予選では禁止したマンガを決勝ではとやかく言わなかったのだが、自主的に選んだ結果だった。
不安と向き合い、気持ちが乱れてきたらストレッチをしたり軽く登ったりして過ごしたとのこと。
クライミング中のメンタルも、自分の番の直前に私の助言の通り気持ちを作ったようだ。

こうした指導が彼らの本番のパフォーマンスに活きたことは、私にも自信となった
そして、子どもたちはほんのちょっとしたことで敏感に反応を見せ、大きく変化することも再確認した

さて、コーヘイは、今回学んだことをどこまで今後に活かせるのかな?


 ↑決勝のコーヘイ(左)