FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<レッスン日誌>中級レッスン@pump2

2013-02-13 12:54:20 | クライミングレッスン報告
2月9日(土)
メンバー:たけくん(小3)、タクミ(中1)

土曜の午後に中級用のレッスンクラスがある。
通常、「レベルアップレッスン」は1時間半。少し短めの設定だ。
子どもたちが集中力を切らさずに取り組めて、「あ~、もう少し登りたいな~」という頃合いでレッスンが終了となるようにしてある。

一時的な集中力はとても高いけれど長続きはしない子どもたちには、ダラダラと練習するより短い時間でも高いレベルの集中で練習し、満腹にするより腹八分にして「もっと練習したい」というモチベーションを持続させるほうがしっかり上達するようなのだ

けれど、中級に上がり経験値もクライミングの体力も上がって来た子どもたちには、1時間半だと少し短い。
なので、2時間の中級用レッスンを設けてある。
このところ、タクミとたけくんの2人が土曜のこの時間の常連だ

レッスン前のヒアリングの時間
ここで自分の目標や状態などを聞くことにしている。

今日はタクミがなんだか浮かぬ顔。
「イレブン前半のグレードをしっかり登りこんで調子を上げて行ったらどうか」という私の提案に、
「今月末にまた定期テストがあって。。。 頑張ってせっかく調子が上がっても、定期テストで登れなくなるから、また下がっちゃうのか、と思うと。。。」と半べそ状態だ
昨年11月のキッズコンペ終了後、実力も気力も上がり、憧れの「ツナミ」壁のルートへのトライを開始したのもつかの間、成績不振のためご家庭からクライミング活動を制限された時期がありクライミングの調子は急降下
その後頑張ってトレーニングをし、ちょっと調子が上向いて来たと思ったら今度はインフルエンザに倒れたり・・・と、なかなかうまく浮上できないでいる
加えて今度のテストで平均点が取れなければ、今度こそ本当にクライミングはやめさせる(以前はどうにか活動の制限で免れた)、と言われているそうで、かなりのプレッシャーとストレスを抱えている様子

「子どもの頃は、よかったなぁ。。。」とタクミ。
あれ?このセリフ、どこかで聞いたような・・・? そうだ、少し前、同学年のコーヘイも成長期の混沌の中、同じセリフをよく口にしていたっけ

「コーヘイにもよく言ったけれど、今は大人への過渡期。子ども時代を懐かしんでばかりいても何一つ解決しないよ。「やらなければならないこと」も、気持ちを切り替えて前向きに取り組んでみれば、達成感があって面白いことがたくさんあるもんだよ」と言うと、一瞬表情が明るく輝いて、「よし」という感じで頷いた

今日、タクミは11a~bを地道に登りこんだ

一方のたけくん。
たけくんは非常な負けず嫌い。一つのルートを登れるまで頑張って、自分を乗り越えることを覚えて来た。それはとても良い素質のひとつ。
だが反面、登れないと気持ちが沈み、なかなかそこから抜け出せない

また彼の慎重さも、安全で安定したクライミングテクニックを身につけるのに役立って来た。
だが反面、トライするグレードが上がって来るにつれ、大きな動きを要求されるルートではなかなか対応できないこともふえて来た。

そろそろ次のステップだね
以前はレッドポイントを目指す形のレッスンのみだったが、前回からはスピードとトップロープによる背伸びグレードのトライを入れ始めた
はじめにたけくんのトライしたいルートをリードでふつうにトライした後、簡単なルートをトップロープでなるべく早く登り、タイムを計る
ゲーム感覚で楽しくトライ
今日は3回トライして1回のトライごとに2秒ずつタイムが縮まった

「背伸びグレードのトップロープトライ」では1~2グレード背伸びして、10d~11aにチャレンジ
気持ちをなるべく引きずらないように、3回位テンションしたら潔く諦めて次の課題へ
結構こちらも楽しそうにトライしていた

こういうレッスン形式にしたからか、今日は今まであまり見たことのないたけくんのいたずらっ子っぽい面が伺えるようになり、タクミも私も少々びっくりだったね







<レッスン日誌>レベルアップレッスン@pump2

2013-02-12 14:04:03 | クライミングレッスン報告
2月9日(土)
メンバー:コージン

土曜の午前のレッスンは、いつもは3~4人。すぐに埋まってしまうのに、3連休のせいか今日はコージン一人。マンツーマンのレッスンとなった。

コージンは昨年の9月にクライミングを習い始めたばかり。
でも、すぐにアウトドアにも参加するようになり、積極的にクライミングに取り組んでいる。
はじめのうちは月2回くらいのペースだったが、クライミングが楽しくなり、「上手くなりたい」という気持ちも本人に芽生え始めて、毎週レッスンに来るようになった

何か習いごとをはじめ、せっかく本人がその面白みを理解し始めて上達を望む頃になってきたにもかかわらず、それと反比例してご家庭の協力トーンが下がってしまう場合が良くある。
「将来クライミングで食べて行けるわけではないし、お金ももったいない」という声も耳にすることがたまにある
・・・が、果たして、そういうものだろうか?
子どもの頃に何かの技術をモノにする、身につける、というのは並大抵のことではない。
子どもたちはその過程で壁に突き当たったり、悩んだり、悔しい想いで涙したり、様々な心の葛藤を潜りぬけているはずだ。
その経験は決して無駄にはなるまい。たとえそれが将来の仕事に直接にはつながらなくとも。
ご家庭は、何かを習わせるときに、それなりの時間を割かれることや出費があることを、はじめに覚悟して頂く必要がある。
その、「親としての覚悟」が足りない時、子どもはその犠牲となる


お父さんやお母さんも協力してくれて、心から応援してくれているコージンは幸せだね
チームの子どもたちには常々口うるさく言っているけれど、そういう恵まれた環境を用意してくれているお父さんやお母さんには心から「ありがとう」と思わないとね~

さて、今日はマンツーマンなので、基本的な動き方のコツなどを丁寧に練習
ムーブの種類のテストも見事合格

基本ムーブの練習の後はルートから。
本人から「ロープ装着を教えてほしい」と申し出があり、1本10aをトライした後にロープを自分のハーネスに結ぶ方法を習った。
きれいに、きちんと結べているよ
何回か練習した後、実際に自分の結んだロープで登ってみる。
練習用の短いロープを貸し出して、お家で練習
来週はテストだね

当スクールは技術習得が進級制になっており、このロープ装着も進級の必須項目。
そして、各項目の確認テストは自己申告制となっており、私から促すことはあまりない
なので、自分から申し出て来ない場合はいつまでも進級できない、ということになる。
クライミングが上手になりたいのは、私ではなく子どもたち本人だ。
自分のことなのだから自分で申し出るのは当然のこと、だよね


自分からきちんと申し出ることの出来たコージンは、少しずつ「自己責任」を身につけ出していると言えるかもね


中学生自主練習会

2013-02-10 19:51:10 | 活動報告
中学生になると、いろいろなジムで一人利用が認められるようになる
子どもの利用規定が最も厳しいPumpでも、「一人利用テスト」なるものを受け、合格すると保護者や指導者なしで自主練習が出来るようになる
これは、上達に大きな影響をもたらす。
そこで、クラブチーム所属の中学生たちには「部活」と称して、自主練習会を自分たちで行ってもらっている。

クライミングを主たる活動にしている子どもたちは、学校の運動部との両立は厳しい。
なので、みんな文化部に在籍したり、どこにも所属せずにクライミングなどの校外活動に専念したりしている。
これは、「部活動」の代わりである。
与えられた時間を有効に使って、自分に厳しく、しっかりと練習を積んでいってもらいたい


今受験期に入っている中3のユイトやりんちゃんも、かつては自主練習を行っていた。
一学年飛んで、現在はコーヘイとタクミの二人が中学に上がり、昨年の春から自主練習をするようになった。
…が、ユイトとりんちゃんはあっという間に受験などでいなくなり、中学2年生がいないこともあって全て自分たちだけで運営しなければならなくなった
加えて、タクミは中級に上がったばかり。クライミング技術もまだたどたどしかった

私は木曜は仕事を休みにしてPumpで自分のトレーニングをすることが多かったので、木曜だけはトレーニング終了後に「部活」を見てあげられた
が、そのほかの日はPump以外のジムで仕事があるため、彼らの活動を見ることは出来ない

自主練習を始めたばかりの頃は、コーヘイとタクミは良く不協和音を奏でていた
コーヘイはタクミのビレイ技術の稚拙さを指摘し、タクミはコーヘイの身勝手さをなじる

私も心配になり、中学1年坊主たちの自主性を信用出来なくなって、練習メニューや予定などをこちらで細かく決めるようになった。

彼らの活動から伸びやかさが消えた。
ノートに練習の結果を記入してもらっているのだが、「やらされ感」がそこはかとなく匂うようになって、「これはまずいな」と思うようになった。

ある日、こちらの用意したメニューも全くやらず、予定も決めないまま帰ったことに私がキレて、「自分たちの問題なのにやる気が全く見られない。私は口を出さずに暫く様子を見ていますが、自主的に出来ないようなら、部活は中止しますから自分たちで勝手にやりなさい」というようなことをノートに書いておいた。

彼らが変わったのは、それからだ
先ず、私が用意した予定表に、「部活」をする日とメンバー、開始時間を記入し、練習の内容も、私がレッスンで時折伝えるトレーニング方法を自分たちなりにアレンジして工夫するようになったのだ
これには私も驚いた
やはり、子どもたちを「信用」し、「任せる」ことは大事なんだな~
今は中学生2人と、たまに高校生のユイちゃんも交じって、楽しそうに、でもハードに、頑張っている

余談だが、先日タクミから以前帰宅がものすごく遅くなっていたことを聞いた そしてその帰宅時間を聞いて顎が外れるくらい驚いた。
「上達」を望むなら、生活を疎かにするべきではない。
中学生利用は午後8時までとなっている。練習を終えてから練習内容の記録をしてお弁当を食べ、遅くとも8時半にはジムを出るようにしてまっすぐに帰れば、さほど遅い時間にはならずに帰れるはず

「生活」全てがその人のクライミングに出る。
しっかりとした心の構えをもって日常を送れる人は、いざ大会の時もしっかりしたパフォーマンスが出来るように準備できるものだよ





<レッスン日誌>レベルアップレッスン@pump2

2013-02-08 12:22:16 | クライミングレッスン報告
2月2日(土)
メンバー:コージン(小4)、コーキ(小4)、しょーた(小5)

城ガ崎合宿があって、レッスンは一週あいた

基本練習からコージンとコーキは挙動不審
重心の位置や手と足の動きの組み立てや目線、ホールドの持ち方・・・いろいろなことが一緒に上手く調和して初めて、なめらかで良い動きが得られる。それは頭で考えても出来ることではない。
練習を重ねて体が自然と動く・・・そういうレベルにもって行かないと、なかなか上手くはならない
一週あいただけで力が入り動きがぎこちなくなってしまうのだから、やはり上達を望むなら、最低でも週に一度は練習することが大切なんだな~


しかし一方、しょーたは一時「やめちゃったのかな?」と思うほど来ておらず、先々週に復帰したばかりなのに、割とスムーズな動き。
一概には言えないね
その子の特質、気持ち、練習の積み重ねとそれがどう定着しているか、などなど、様々な要素が入り組んで「結果」を出す。
体が軽く、神経系統が著しく発達しているさなかの子どもたちは、大人の理屈をはるかに越えたことを時として見せつけてくれる
面白いものだね~


今日はルート中心に。
コージンは「一反木綿」壁の緑/10aをトップロープ、手足限定で。
高いところがちょっとコワイ彼は、半分より上にある核心部分がなかなか越えられない 加えて、テンションをすると「プーン」と壁から離れてロープにぶら下がる感覚が恐怖のようす
「怖い」と感じる感覚自体は否定すべきものではない。
それは自分を守るために必要なものだからだ。
気をつけてチェックを怠らずに「安全」をしっかり確保した上で、「怖い」気持ちを克服して動く。それも訓練だね。
クライミングパフォーマンスも「心」「技」「体」、この3つが密接にかかわり合っている


コーキはリードで5.9に挑んでいる
クリップ動作の練習を地上で行ってから本番開始
この時間で「ダイヤモンド」壁の黄色■と「100度」壁の白/を手足限定で完登
順調に進んでいるね

しょーたは間があいていたので、登ったルートのリピート。
だんだん感触を取り戻してきたようだ
レッスン終了後、しょーたが「提出した『今年の目標』を、まだ返してもらってません」と言って来た。
確かに私もしょーたの目標にコメントした記憶がある。で、探したのだが、見つからない
「誰かに間違えて返しちゃったのかなー?」「え~まさかの二枚重ね~
コメン、今度もう一度書いてもらって良い?ということで納得してもらったのだが、家に帰ってもう一度見てみたら、あった
慌てて探していたので、探したその時に「まさかの二枚重ね」になっていたみたいだよ~

<レッスン日誌>レベルアップレッスン@pump2

2013-02-07 13:53:30 | クライミングレッスン報告
1月30日(火)
メンバー:タクミ(中1)、コーヘイ(中1)

タクミがインフルエンザから立ち直って、中1コンビの復活だ
ずーっと寝たきり生活だったため体力が落ちているタクミのために、今日のレッスンはルートから。

基本事項が身について来ている場合に限りはするが、中級になって来るとしばしばウォーミングアップもルートで行う。
ただし、個別に注意点を知らせ、余裕のあるアップの時に各自の注意点を意識して登るようにしている。

タクミは呼吸が浅くなりがちで、追いつめられてくるとパニックに陥ってしまうため、呼吸を深く、余裕をもってゆったりとした気持ちで登るように。
「手に力が入らない感じ」と言いながらも、しっかり意識しようと努力していた

コーヘイは股関節周りが少々硬く、高い足置きなどのときに足置きが雑になったりお尻が出っ張ったりするのが気になる。
自宅でのトレーニングにもそのあたりの改善策を実践してもらっており、少しずつ改善されてきている

2人は自主練習でもパートナーとして組んで一緒に登ることが多い。
中学に上がりたての頃は、ビレイ技術などの点で2人は良く衝突していた
だが、少しずつ、お互いのクライミングに対する気持ちが篤いことを理解し合い、尊敬すべき良い点も見つけられるようになって、近頃は友情を育みだしているようだ
加えて、レッスン時にはなるべく2人で組んで登ってもらい、ビレイの注意点をこと細かく私が指導することを繰り返した結果、ビレイ技術への不安も解消された
今は2人でかなり楽しく、自主性をもってクライミングに取り組んでいる

今日は病み上がりのタクミは10cくらいまでの低グレードを多数登りこんでもらい、コーヘイはまだレッドポイントしていない12d、オレンジをタクミのビレイでトライ 久々のトライだったこともあり、2テンだった

残り10分でボルダー。
タクミは6級、コーヘイは4級を、10分間のタイムトライアル
バテてきて完登が出来なくなり出したらグレードを1つ下げて良いことにしたが、タクミは最後まで6級を頑張った
コーヘイは12dのトライが終わって間もないためパンプアウト状態 怪我も怖いので、すぐに5級に落としてもらった。

二人とも楽しく頑張っていたね