エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

テティスの逆鱗

2014-03-02 10:32:47 | 
唯川 恵 著 文春文庫 2014年2月10日 第一刷

そんなにたくさん読んでるわけじゃないけれど、相変わらず唯川さんの本は、じんわり奥の深いところから怖いな~って感じる。

美容整形にはまる女優、主婦、キャバ嬢、資産家の娘。
この4人を軸に、美容整形外科医と、その娘との関係が綴られていく。

最初は美しくなるために美容整形に走る彼女らをそんなに愚かしいとも思わないんだけれど、人ってやっぱり強欲だから、次から次へと、、、もっと、もっと、綺麗に、って思うんだろうねぇ。
職業柄美しい事を強いられる女優、子供を産んでから発せられた夫の言葉に傷ついていく主婦。 ブスだったばかりに不幸な時代を送ってきた女が全身整形して一流の金持ち男を掴もうとする執念、美意識を狂わせてどんどん不気味に自分を作り変えていく令嬢。

どの女たちにも心の底に埋められない穴があって、それを美しく作り変えることで埋めようと必死でもがくのに、もがくほど沈んでいく底なし沼のような展開。

整形して綺麗になることで自分に自信をもてて人生前向きになれる人だっているんだから、一概に整形は良くないと思う、なんてことは言えないけれど意外と簡単に綺麗になっちゃったりすると、こんな簡単なものならもう少し手直ししようかしら?って思う人が出てきてもおかしくないし、実際、全身整形したことを隠しもせずウリにしてる人もいるから始末に悪い。
なんでもそうだけど良い事ばかり喧伝されてリスクがちっとも伝わってこない。

若くて綺麗なのはそりゃあ良いにきまってるけれど、それもわれわれの歳になるとどうでもいいね(笑)
でも、人間はやっぱり中味だよ、なんてことを言う気もない。

この本の中にも、年齢相応のしみやしわなんか気にしないでしみやしわでさえ素敵だと思えるような歳の取り方をしたい、ってまっとうな事をいっていた子が、結婚まで考えてた男性に妻子があった、ってことだけで死を選んだりするの、それって小説だからなぁ、、、で済まないような気もするし。
人間なんてそうそう強いものじゃないし、周りとの関係性の中で助けられることもあれば、一生傷を負わされることもあるしねぇ。

結局は本人次第で、何をどう選択するか、ってことなんだろうねぇ。
私は、ブスでもデブでもいいけれど、やっぱりバカが一番悲しいことだと思ったよ。

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4 コメント

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まっ (ポンチ姫)
2014-03-02 21:48:31
良くある話かな?美しいと、ブスの悩みは、わけらないわ?Σ(゜д゜lll)
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おはようございます (楽母)
2014-03-03 07:53:40
ポンチちゃん
ああ、姫には縁のない話ね(笑)
この本、見事に病んだ人ばっかり出てくる。
希望の見出せない内容だったわ。
テティスってのはギリシャ神話の美しい女神で、彼女が原因でトロイア戦争が起こったとかなんとか書いてあった。
あまりに美しさを求めると身を滅ぼすから、気ぃつけよ
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こんにちは (音弧)
2014-03-03 12:03:35
唯川 恵さんの「テティスの逆鱗」面白そうですね
百田 尚樹の「モンスター」は読んだことがありますが・・・

外見による第一印象は大切ですが、あまりにも外見の美を求めすぎるのも危ないことですね

とは言え・・・少しは美にも気をつけなくちゃ!かな?私の場合は(;´∀`)
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こんにちは (楽母)
2014-03-03 15:27:58
音弧さん
多分、女性はかなり好きな分野だと思います(笑)
なんかじわじわ怖っ、って感じます。
読み進むほどに底なし沼にどんどん落ちていくようで。
綺麗過ぎても、その逆でも人の意識に残るじゃないですか。 私はもう、風景と同化できたらそれが一番(笑)
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