エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

八月の六日間

2018-08-15 07:46:42 | 
北村薫 著  角川文庫  平成28年 8月25日 3刷

雑誌の副編集長(後に編集長)の主人公が、九月の五日間だったり二月の三日間だったり、表題作の八月の六日間だったりを山に登るお話。

休みが取れて体力が持ちそうなとき、彼女は山に登る。
勿論、山に登りたいと思わせる日常でのストレスや疲れがきっかけなわけだけど。

ひとり登山が好きな主人公は、ルートや山小屋で出会った人と同行することもあるが基本はひとり。

読んでいて、とても気持ちの良い小説に感じた。
危険を伴うこともある登山をなぜ一人でするか?
それは日常から解き放たれて一人になることで、自分を見つめることができるから。
出会った人や別れた人を思いつつ、山に登り山を下る。
一人になることで、自分を見つめることができるというのは私も常々感じている。

登山とは全然レベルが違うけれど、方向ド音痴の私がひとりで行ったこともない寺社に出かけ帰ってくる時も、わたしはずっと自分と対峙している。

場所を決めて地図をプリントして、乗り物の時刻表をチェックして必要な装備(笑)をする。
夏場だと水筒やタオル、扇子は必需品だし、ご朱印帳やご朱印代の細かなお金、参拝用の小銭、虫刺されのくすり、とか。

連れがいて一緒に行くのは勿論楽しいけれど、お喋りに夢中になって自分と向き合うことはない。

ところがひとりだと、予定通りの電車に乗ってきっちりバス停に向かえた、というのから始まって、まだ着かないんだけど道間違えた?
あっ、見えてきた、あそこだ!
お参りして、、、、社務所は確かこの奥だったよね。

おなか空いてきたんだけど、そろそろどこかでご飯食べようか。 トイレは大丈夫??
ってな具合に、自分に語りかけている。
亡くなった父や母のことを思い出すこともあれば、腹が立って仕方のない相手を呪っていたりもする(笑)

ふとしたところに可愛らしい花をみつけたり、豪邸を発見していいなーなんて思ってみたり。

階段や坂道がだめな私は登山なんか絶対にできないけれど、ルートを決めて平地歩きでも行って無事に帰って来れた時の爽快感や達成感は心地よくてうじうじと思い悩む問題だって忘れてられるし、どうでもいいことのように思えてくる。
多分、そんな似通った気持ちを感じる小説なんだと思う。

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2 コメント

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ひとりでお出かけ ()
2018-08-15 10:13:35
おはようござます!
私もひとりでフラフラと出歩くのが好きなので(一緒にしてすいません)、そしてその時は何を考えるともなく頭の中で色々湧いてくる想いや記憶や目に映る景色から浮かぶ連想とか。そういう時間がとても楽しい。
だからひとりで何かするってやめられないんだね。山登りひとりじゃ正直怖さが先立ってしまうけど。
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こんにちは (楽母)
2018-08-15 11:10:26
縁さん
一緒ですよ(笑) 別に大層なことを思いながら歩いているわけではないですよね。
心に浮かび来るよしなしごとを・・・って感じ(笑)
一度、『無』になってみたいんですが、なにやら次から次へといろんな事を考えてます。
ブログネタ見つけたり、ああ、あれはこういう意味だったのかーって、思いついたりひとり時間は大切です。
私も山はむり。登ったら最後、また下りなきゃならない(笑)
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