往復書簡

湊かなえ著　　幻冬舎文庫　　平成24年8月5日初版

吉永小百合主演で映画化されている『北のカナリアたち』の原案を含む4編の作品集。
4編どれもが、往復書簡の形で、さまざまな思いの手紙を読み進んでいく。

吉永さんって、綺麗だし上品そうだし、日本映画界の重鎮？？　大女優であることは認めるけれど、彼女の出ている映画はまったく興味がない。　1本だけ、ずいぶん昔に『外科室』というのがあったと思う。　それは、彼女の作品の中で観たい！と思った稀な1本だったけれど、結局、行かなかった。
泉鏡花が・・・こないだの南座のお芝居でもそうだったけれど・・・食わず嫌いなんだと思う。

で、本の感想に戻れば、う～～ん、重い。
一つの事件であっても、それに関わった人が複数いれば、思いはその人数分。
私が面白かった、と思っていても他の人は退屈だと感じるかもしれない。
それが当たり前、っていうか、ああ、人の思いや感じ方は様々なんだな～ということを改めて思い起こさせる。

私はどうも、ひどく単純なヒトのようで、世の中、そんなに悪い人はいないだろうし、私が幸せと感じることは他の人もそう思うだろう、となんの根拠もないのに思いこんでいるから、ああ、そんなわけないし、以後注意しなきゃね～、って思えた。

なんか読後感が辛いんだよね。
ハッピーエンドらしきものがないとは言えないけれど、それでも読み終えた時に、あ、こりゃ救いがないなぁ、って思えるような。

映画『北のカナリアたち』は、この中の二十年後の宿題、という作品が原案になっているという。　なるほど、、、それで小百合さんが40代だったり60代だったりするわけね、なんて思いつつもやっぱり観に行こうとは思わない。

湊さんだと『告白』のほうがずっと読み応え有ったし、あれは松たか子さん主演で、観たい！と思った映画だったなあ。

つまり、そのくらい、前作ほどの面白味がなかった本、ってことかな。