クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ - goo 映画

人って、やっぱり忘れる動物だね。
あれほど衝撃的な事故だったのに。

私は上司と同じ名前を新聞で見、職場に残った友人から連絡が入り、ぞわっとした事故だったというのに。
この事故は、テレビでずっと見ていたように思う。
ダッチロール、なんて言葉を知ったのもこの時が始めて。
あの御巣鷹山の現場から、生存者が見つかった。。。それも4人が全員女性だったというのも驚きで見ていたものなのに。

川上慶子さんがヘリに吊られていく場面も幾度となく見ていたというのに。

それでも日々、時間の流れと共に、記憶は直接の被害者でない私の指の間から、零れ落ちる。
浅間山荘だって、東大紛争だって、ベトナムの悲惨さだって、J.Fケネディの暗殺、9.11テロの瞬間だって、見ていたというのに。

むごいと思ったのは、それが爆発みたいな即死ではなかったという事。
市街地に落ちて大惨事にならないように、機長が、落ち場所、死に場所を探していたというのを聞いたのは記憶違いか？
死の恐怖を眼前に突きつけられているというのに、子供を頼む、なんて書き残した手帳が焼けずに残っていたこと。

想像力の欠如で、あの連日の報道の際、報道する側の苦労を考えもしなかった。
流行りの写真週刊誌で、現場の焼け焦げた匂いさえ漂ってきそうなものも見ていたというのに。

人は、忘れる動物だと思う。
そして、人はある側面からでしか物事を捉えられない動物でもあるように（それは私の言い訳かもしれないけれど）感じた。
新聞社の内実だって全く知らない。勿論、当時とは違ってコンピューターも入ってるだろうし、通信機器も優れているとは思うけどね。
主演の堤真一さんは勿論、堺雅人さんもすごく素敵。
男のドラマ。戦士たちには中ほどで流れたナット・キング・コールの『モナリザ』が柔らかく響き・・・。
事故を詳しく知りたいというならちょっとあてハズレだけど、観ておいても損はないように思った。