身勝手か

こんなニュースを聞いた。

京都の真ん中今出川に、刑務所を出て身元引き受け人のない人たちの自立支援の施設を国の経営で作る、という話。

現在、その敷地には保護観察所があるが、新たに、宿泊もできる自立更正施設を建てる、というもの。
その計画に地域住民が反対しているという。
というのも、京都御所にも迎賓館にも近いところで、学校も多く建ち並ぶ京都一の文教地区だからだ。

このところ京都でも葬祭会館の建設を巡っても、地域住民の反対運動が盛んである。　この自立支援施設の建設に反対する近くの住民たちの危惧、反対する気持ちはよく分かる。また、京都市としても国に考え直すように要請するというのだが。

実は、楽母の住んでいるここも、京都刑務所が近いのだ。
多分、刑務所が建設された当時はこのあたり一帯は京都でありながら京都とは違う、一山超えたど田舎のチロリン村、だったのだ。
ところが今では区役所も間近の区のど真ん中である。そのど真ん中、地下鉄駅にもほど近く、立地の良いところに京都刑務所がある。区、とはいえ13万住民をかかえ、地方都市なら立派な「市」ほどの規模である。　楽母が大学進学で京都に来た頃から、この刑務所は移転する、移転する、と聞かされていた。　区の中心部に刑務所、いかにもそぐわない。もともと刑務所のほうが先に建っていたものなのかどうかは分からないが、実際のところ、私も早くどこかもっと・・・山の中にでも移転すれば良いのにと思う。
まだ、京都にはそういう施設を建設できる人里離れた土地はいくらでもある筈だ。なんで・・・区の真ん中に刑務所がと思う。ところが、刑務所というのは区のど真ん中であれ何であれ、国の施設、国の管轄なのだという。だからここから移転させて、という意見があがったところで「はい、そうですか」と簡単に移転できるものではないらしいのだ。

いつだったか、朝早くに、刑務所の東側にある裏口？にずらっと黒塗りの車が停まり、黒のスーツ姿の目つきの鋭い男たちがだーっと並んだ光景を見たことがある。
多分、893屋さんの出所。「お勤めご苦労さんでございやした」と言ったかどうかは不明だが、びびった思いがある。

なので、自立厚生施設の新規建設に反対して、自分たちの周りの環境を守ろうとする住民たちの気持ちは理解できる。私だって現実に同じ事が起これば反対集会にもでかけ、反対署名もするだろう。
ただ、自分たちの環境を守る為にどこか他の場所にしてくれ、というのは果たして正しい考え方か、と問われれば胸を張って正しい！とは言えない私もいる。
誰だってそういう施設が近くに来て欲しくないと思うだろう。自分たちの周り以外ならいいや、という身勝手な気持ちが毛頭ない、とは思えない。