この日の宿、水戸レイクビューホテルには、18時過ぎに入りました。アンドー氏が今回の大洗行きに関して、折角だからガルパン宿泊プランで楽しもうと考えて探し、大洗においてはシーサイドホテル、水戸においてはこのホテルを見つけて予約してくれたのでした。
その後、お互いの日程が一日ずれたために、大洗での行動日は別々となり、シーサイドホテルへの宿泊日も別々になりましたが、こちらの水戸レイクビューホテルには、同日に入りました。アンドー氏はもちろん、私も初めて泊まる宿でした。
部屋は、アンドー氏のはからいで別々に予約してありました。氏は7階、私は8階に入りましたが、部屋の窓からは千波湖が見えました。レイクとは千波湖のことか、と気付きました。
ホテルは、JR水戸駅南口の西側に位置しますので、当然ながら常磐線の列車が行き来するのが見えました。日中から夕方にかけては旅客列車が多いようですが、夜になると貨物列車が三度ほど通るのが見えました。
上図の品々は、この日の宿泊特典です。予想以上に色々入っていますが、メインはやっぱり五十鈴家デザインの湯呑みでしょう。五十鈴華が水戸出身であるという設定を生かしているのでしょうが、そういえば去年の誕生祭か何かのイベントの際にも、こちらのホテルで五十鈴華のタンブラーを限定で配布していたと聞きました。おそらく、水戸エリアでは最もガルパンブームに理解がある宿泊施設でしょう。
特典の大半は、水戸エリアの観光ガイドやマップ、ホテル特製の観光案内しおりなどです。私はこれまでの大洗行きにて水戸エリアの観光名所や史跡も色々と訪ねてきましたので、今回の徳川ミュージアムを加えると、行っていない場所の方が少なくなっています。
夜21時過ぎにアンドー氏から連絡があり、アンドー氏の部屋にてしばらく談笑して楽しみました。氏はそれまで仮眠していたそうです。昨日は大洗巡り、今日は茨城空港と水戸巡りとけっこう動き回ったうえ、初めての献血をしましたから、大事をとって体を休めていたのでしょう。
ホテルに入る直前に、近くのコンビニへ行ってお菓子や飲み物を買っておいたので、それを肴にしながらアンドー氏は昨日の大洗巡りの感想などを色々と語りました。色々なアニメを広く浅く楽しみ、各地の聖地巡礼を重ねてきた氏からみて、ガルパンというアニメおよび聖地の大洗は、かなり特殊な事例として映ったようです。
「あそこまで地元の街ぐるみでアニメに肩入れして楽しんでるってのも珍しい。しかし中にはちょっと度を越してるのもあるな。ガルパングッズだらけで何の店か分からん、仕事が中心なのかガルパンで遊んでんのか分からん店が幾つかある。あそこまでガルパンファンに迎合する必要があるのか、って思っちゃうよな・・・」
「ガルパンってのは、人気度は他のアニメにはあんまり及ばんが、関連グッズを売って儲ける図式の濃さってのは際立ってるねえ。購買層のガルパンファンがそれなりに金持ってるから、出せばなんぼでも売れて完売の連続やな。それと、ガルパンがヒットしたことで必然的に生じる利権の構造ってやつが、大洗の商店街にもかなり染みついてる感じやな。これまでの自然な流れの積み重ねの結果やろうから、商店街の人々はあんまり自覚してなさそうやし、利権なんて考えたこともないんやろうけどさ、俺みたいにあんまりガルパンにはまってない人間がパッと見たら、何かこう、何か感覚的にズレてきているんじゃないか、おかしくなってきているんじゃないか、ってのは確実にある。ガルパン様様、バンダイ様様、って感じで商売もそれに頼り切ってるというか、甘えてきているんじゃないか、っていう・・・」
「せやからな、もう今じゃ、ガルパン抜きにしたら商売も何もかも成り立たなくなってきてるみたいなんやろ、ガルパンブームが終わって、その後の、もともとの状態に戻れるかって言うと、どうも無理がありそうやな。あそこまで商店街をガルパン要素で散りばめちゃってると、止めるのも取り外すのも難しくなるよな。かつての日本が、太平洋戦争をなかなか終わらせるのが出来なかったのに似てる気がする」
アンドー氏の評価は的確でした。それで一つ質問してみました。
「ガルパンの人気は今後も続きそうですか」
すると氏は、今さら何を、というような目つきで、フッと笑いました。
「それは、お前らガルパンファン次第やろ?少なくとも、いまの大洗のブームやガルパン人気は、ガルパンファンの常連層が支えてるはずや。イチゲンの巡礼や大洗に行かないファンはどう考えても戦力外になるからねえ。大洗がしかけるイベントの連続に、平日も仕事休んで特典欲しさに駆けつけるコアなファンが一定数はいるそうやが、それが最近のガルパンブームの中心なわけやろ。毎回同じ顔が揃って、同窓会みたいに盛り上がって、顔なじみのお店に行っておしゃべり楽しんでそれで満足する。それで終わりなのであれば、どっちかというと大洗という街の年中行事みたいなもんであって、ガルパンのアニメ人気とはちょっと別の方向へいっちゃってるんじゃないかと思うよね」
「あと、お前もよく指摘しとるから分かってると思うが、女性ファン層の無さは決定的やね。昨日一日、商店街のパネルを探してたどって歩き回って、幾つかのお店で色々話をしてきたけど、その間一人も女性の巡礼を見かけんかった。これは異常やで。他のアニメ聖地はみんな若い女の子が沢山おってそれが当たり前。だいたいアニメの人気やブーム自体は女性が牽引しとるのが普通やからな・・・。お前も今日の徳川ミュージアムの状況見たやろ?トウラブの人気も凄まじいほどに女性が盛り上げてる。全国各地からああやって、徳川ミュージアムなんていうあまり観光客が行かないような所へ殺到して行列を作っとる。あれがアニメ人気の景色ってもんやねえ」
「あと、見学してから前庭で何人かの子に色々聞かれて説明したんやよ。その際に俺が大洗に行ってガルパンを見てきたことをちょっと話して、ガルパン知ってるかって聞いたんや。そしたらな、そのとき10人ぐらいおった女の子たち全員が知らないって言うんや。大洗、という土地すら知らんと言うてた。トウラブ人気に盛り上がって、ただ一直線に水戸の徳川ミュージアムだけにやってきた、って感じなんや。その次は他の刀剣男子の元ネタの刀を見にどこかへ行く、ってわけやな・・・。でもさ、そうやって全国各地を訪ね歩いて、それぞれの土地の歴史にも自然に触れてゆくってのは、なかなかいいことやないか。大洗だけに集まっておしゃべりだけしてそれで癒されてるようなのよりは、はるかに前向きで建設的で未来志向も芽生えてくるやろう。歴史博物館に行ったらな、展示品はどこも価値ある文化財なんでな、そういうのに触れてトウラブとはまた違った出会いとか感動もあるかもしれん。それをきっかけにして新しい興味とか、打ち込む対象とかを見つけたら、それが素晴らしいことやろ?」
「・・・そうですね」
「大洗のガルパンには、そういう要素が全く無い。大洗が利権構造にはまっちゃってて、イベントをやたらに打ち上げてファンを集めて多少儲けてる、って図式しか無いみたいな気がする。アニメ人気の原点は、そんなもんと違うやろ?もっと単純に、アニメって楽しいですね、どうぞ聖地に来て、楽しんで行って下さい、というだけで、あとはファンの自由に任せて、ファンたちで盛り上げてゆくのが正解なんやろうと思う。アニメの人気と思い出を大事にして、それを元気の糧にして、いつまでも聖地巡りを楽しむ、っていうのが無いと、聖地の人気もなかなか続かねえよ。特に女性ファンが人気の大部分を牽引しとるんやから、大洗の有り方がまるで女性ファン向きになっていないのであれば、先は見えてくるよな」
「例えばさ、咲sakiを見たら分かるやろ。奈良を舞台にしたストーリーはもう放送も終わって久しいのに、いまだに吉野へ女性ファン巡礼が訪ねていく。大淀高校の門前で記念撮影やってる。次いでに吉野山に参詣して楽しんで、また来るよと決めて実際にまたやってくる。それがもう何年も続いてる。それどころか、近鉄が以前にイベント列車を企画してたやろ?ああいうのがあると全国から6000人が集まってくる。6000人やで。宇治のユーフォニアムのイベントに集まったんが900人やったらしいから、その6倍以上やで。大洗のイベントには500人も集まらんって聞いたが、理由は明白や。女性ファンが居ないからや。若い女の子がキャーキャー騒いで楽しんで盛り上げる。しかも世代に関わらず、や。そういうのが、ほんまのアニメ人気、聖地のありようやな、って思う」
「まあ、色々とあるが、とにかくガルパンの大洗ってのは、きわめて特殊な事例のように思えたな。いいか悪いか、ってことじゃなくて、ああいう成り立ちの聖地もあるんやな、っていう驚きの方が大きかった。興味深い、と言ったんはそういうことなんで、見方を変えていったらまた色々と面白いんじゃないかな、ってのがある。人気が続くかどうかは別にして、ガルパンというアニメそのものが非常に評価が高いのであれば、その評価の波及効果が聖地にも及んでしかるべきなんやが、どうもそうなってないねえ。せやから、ガルパンは好きだが大洗には行かない、というファン層が多くても当たり前のような気がする。やっぱりなあ、アニメの聖地にアニメそのものを求めても仕方がないこともあるもんな。アニメだけで楽しんでゆけるのであれば、それでええんじゃないか、ってのが普通やろ・・・」
色々と語るアンドー氏でした。氏はアニメファンですが、これが一番好き、といった特定のアニメ作品を持たないそうです。それがあるから、ガルパンについても第三者の立場で客観的に、時には批判的に見られるのでしょう。語っていた内容も、私には全て納得出来るものばかりでした。というよりも、たった一度の巡礼でそこまで理解している点が凄いと思いました。
翌朝は7時前に起床しました。朝の新聞を読もうと思って一階のロビーに降りてゆくと、なんとアンドー氏も居て既に出発準備を済ませていました。聞けば、天気が下り坂になるらしいので、予定を早めて一本早い列車で東京へ移動する、との事でした。朝食はどうするんですか、と聞くと、ホテルの方で30分ほど早めて簡単なのを特別に出してくれた、との事でした。それで朝食も終えて、荷物と服装を整えてロビーに降りたら、ちょうど私に出会ったというわけでした。
「お前は今日から大洗に行くんやろ、大洗も雨になるらしいんで、早めにスケジュールを消化しておいたほうがええのと違うか」
「そうですね。そうしましょう」
確かに天気予報でも天候の悪化を伝えていました。台風が接近中でしたので当然でした。
アンドー氏は、7時26分発の特急に乗ると言い、慌ただしく手続きを済ませて出発していきました。玄関まで見送りに出た私に、握手を求めました。
「突然の思いつきで今回の旅となったが、快く応じて貰って嬉しかった。昨日一日、色々世話になった。百里飛行場も徳川ミュージアムもガルパン献血もほんまに楽しかった」
「こちらこそ。今日は東京の秋葉原と鎌倉ですかね」
「それと、いっぺん小田原の実家にも立ち寄ろうかと思うんやが、天気次第では無理かもしれん。お前はこれから大洗でガルパン仲間と会うんやったな、楽しんでこいよ。じゃ、次は河原町で会おう」
「お気をつけて」
そういって別れました。一週間後には模型サークルの定期会合にて、京都河原町にて会うことになるので、別れた、と言うよりは、ちょっと席を外した、というほどの感覚でした。
上図は、ホテルの玄関口付近にあったガルパン劇場版のポスターです。
それから、一階のレストランにて朝食をいただきました。このホテルのガルパン宿泊プランでは朝食のみが付き、和食か洋食かを選べるようになっていますが、今回は洋食を選びました。
ホテルの一階の、通りに面した部分の内装はこのような感じです。なかなか立派な造りです。
7時45分、私も旅装を整えて出発しました。事前に再び天気予報を見たら、大洗は午後からは確実に雨が降るようでした。でも夕方には曇りになるようで、そんなに荒れた天候にはならないようでした。とりあえず、午前中の雨が降らない時間帯に、なるべく沢山回っておこう、と考えて予定表を色々書き直し、水戸駅へと移動しました。 (続く)
私自身は、これまでに「咲saki」の奈良、「かみちゅ」の尾道と出雲、「氷菓」の高山へ行きましたが、いずれも巡礼者は若い女性が多かったですね。だから徳川ミュージアムの「刀剣乱舞」ファンが女性ばかりなのも当然のことのように受け止めておりました。
次は「のうりん」の美濃加茂へ行ってみたいです。ガルパンの水戸ホーリックとのうりんの岐阜FCの対戦時にコラボポスターやグッズが販売されていますが、あれに関しては、のうりんの方の品が欲しかったりして・・・。サッカーチームとコラボしていて、献血イベントもやっているアニメということで、ガルパンとのうりんは共通します。でも、コラボポスターを飾る木下林檎は、西住みほよりは個性的で面白いです。それに、草壁ゆか・・・ですな。
刀の擬人化ゲーム?の女性ファンは、見たことがないので実感が湧きませんが、先日の大洗の巡礼者は、我々のような歳格好の男性しかいませんでした(女性は強いて言えば、我が家の女房子供のみ)。
女性ファンの多寡に限らず、何にせよ終わりは来るのでしょう。その時はまた違うコンテンツに"萌え"ているのだと思います(笑)
キャラのパネルが物置の中から発見され、「昔、アニメで賑わった時のだ」などと、思い出話になるのでしょうね。
お気遣いに感謝します。
大洗への展開時には、お世話になります。
ありがとうございました。 <(_ _)>
読者登録していただき有難うございます。
拙ブログはガルパン関係がメインですが、 ESPER様
のブログのように、今後は観光や歴史散策のレポートも入れてゆきたいです。
今後とも宜しくお願い致します。
いつも楽しませていただいております。
この度、読者登録させていただきました。
ご承知ください。<(_ _)>