銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

「ナルシスト」考

2015-01-10 16:05:45 | 季節

カウンターの隅に水仙が飾ってあって、とても良い香りを放っています。

お正月にこういう冬の時期の花を活けるのは、昔からある習慣です。

 香りに気づいた方々の会話がまたおかしい。

「あっ!いい香り 梅かと思いました。ずいぶん早いなあって」

「そうですね、香りの傾向としては近いですね

「だってニラとかネギの仲間だろ~

「どうしてそういうロマンのないこと言うんだよ

確かに葉っぱはニラによく似ていますが、間違って食べると毒性があるんだゾ

 

 原語・・・オリジナル名は「Narcissus」(ナルキッソス)と言って、

ギリシャ神話に出てくる呪われた美少年の名前。

あまりに美しくて、男性からも女性からも想いをかけられるのですが、

いい気になって神を軽んじたため、まず美の女神から

「己を愛する者を拒む」という呪いをかけられます。その結果

恋して寄ってきた妖精「エコー」に冷たい仕打ちをしたので、エコーは

悲しみのあまり体が消滅して声だけになります。(これが木霊の謂れ)

それを憐れんだ復讐の女神が、今度は彼に

「己自身を愛するようになる」という呪いをかけ、ある日森の中の泉に

映った己の姿を見た彼は恋に落ち、水に映るだけで答えてくれない

自分に焦がれ死にしてしまう・・・水辺に覗き込むように生える水仙は

彼の生まれ変わりである・・・というわけ。 神と人が近くて生々しく、

ものすごくメンドクサイことをするギリシャ神話の世界を、

子供の頃夢中で読んだものでした。

 

 ちなみに「ナルシスト」という言葉は間違いで「ナルシシスト」=自己愛の強い人、です