カウンターの隅に水仙が飾ってあって、とても良い香りを放っています。
お正月にこういう冬の時期の花を活けるのは、昔からある習慣です。
香りに気づいた方々の会話がまたおかしい。
「あっ!いい香り 梅かと思いました。ずいぶん早いなあって」
「そうですね、香りの傾向としては近いですね」
「だってニラとかネギの仲間だろ~」
「どうしてそういうロマンのないこと言うんだよ」
確かに葉っぱはニラによく似ていますが、間違って食べると毒性があるんだゾ
原語・・・オリジナル名は「Narcissus」(ナルキッソス)と言って、
ギリシャ神話に出てくる呪われた美少年の名前。
あまりに美しくて、男性からも女性からも想いをかけられるのですが、
いい気になって神を軽んじたため、まず美の女神から
「己を愛する者を拒む」という呪いをかけられます。その結果
恋して寄ってきた妖精「エコー」に冷たい仕打ちをしたので、エコーは
悲しみのあまり体が消滅して声だけになります。(これが木霊の謂れ)
それを憐れんだ復讐の女神が、今度は彼に
「己自身を愛するようになる」という呪いをかけ、ある日森の中の泉に
映った己の姿を見た彼は恋に落ち、水に映るだけで答えてくれない
自分に焦がれ死にしてしまう・・・水辺に覗き込むように生える水仙は
彼の生まれ変わりである・・・というわけ。 神と人が近くて生々しく、
ものすごくメンドクサイことをするギリシャ神話の世界を、
子供の頃夢中で読んだものでした。
ちなみに「ナルシスト」という言葉は間違いで「ナルシシスト」=自己愛の強い人、です