両界曼荼羅
両部曼荼羅(りょうぶまんだら)は、日本密教の中心となる仏である大日如来の説く真理や悟りの境地を、視覚的に表現した曼荼羅である。
日本密教の教えの中心ともなる大日如来を中央に配して、更に数々の「仏」を一定の秩序にしたがって配置したものであり、「胎蔵曼荼羅
」(胎蔵界曼荼羅とも)、「金剛界曼荼羅」の2つの曼荼羅を合わせて「両界曼荼羅」または「両部曼荼羅」と称する。「胎蔵」は客体、「金剛」は主体表現であるとされる。一般に知られる個々の「仏」の像を絵画で表した『大曼荼羅』のほかに、1つの仏を1文字の梵字(サンスクリットを表記するための文字のひとつ)で象徴的に表した『法曼荼羅』や、1ずつの仏をその仏の内証を象徴的に表す「三昧耶形」で描いた『三昧耶曼荼羅』、日本ではインド密教古来の地面に描く曼荼羅の姿に倣って仏像を伽藍内に配置したものを『羯磨曼荼羅』といい、これらを総合して「四種曼荼羅」と呼ぶ。
起源・伝来
胎蔵曼荼羅 編集
胎蔵曼荼羅は、詳しくは『大悲胎蔵(だいひたいぞう)曼荼羅』[7]といい、原語には「世界」に当たる言葉が入っていないが、金剛界曼荼羅に合わせて、古くから「胎蔵界曼荼羅」という言い方もされている。 曼荼羅は全部で12の「院」(区画)に分かれている。その中心に位置するのが「中台八葉院」であり、8枚の花弁をもつ蓮の花の中央に胎蔵界大日如来(腹前で両手を組む「法界定印」を結ぶ)が位置する。大日如来の周囲には4体の如来(宝幢-ほうどう、開敷華王-かいふけおう、無量寿-むりょうじゅ、天鼓雷音-てんくらいおん)を四方に配し、更に4体の菩薩(普賢菩薩、文殊師利菩薩、観自在菩薩、慈氏菩薩)をその間に配して、合計8体が表される。