「人体に必要なエネルギー源には、ブドウ糖とケトン体があります。ケトン体はこれまで、“人体を酸化させる、代謝における危険な産物”として悪者扱いされてきましたが、実は糖尿病治療にも有効な、重要な物質なのです。
ことしの6月10日(土)ごろには、尿に大量に糖を排泄することで血糖値を効率よく下げることができ、ケトン体を増加させるという、糖尿病治療の(アメリカで最大シェアを持つ)新薬の臨床試験結果がアメリカ糖尿病学会で発表されるので、今までの誤った認識も、一気に覆されるはずですよ」
これまで医学の世界では“悪者”扱いされてきたケトン体。そんなケトン体がここ1~2年「ダイエット」特集などで頻繁に取り上げられるようになったのは、宗田医師が『ケトン体が人類を救う』を上梓して以降だ。
「そもそもケトン体というのは、ハイブリッド車がガソリンと電気をエネルギーとする2系統の動力回路を持っているように、人が持つエネルギー源の一つなんです。もう一つが、ご存じの通りブドウ糖。これまで、ケトン体はブドウ糖の陰に隠れてあまり知られていませんでした。
糖質の場合、体内に入るとブドウ糖の集合体であるグリコーゲンとして蓄えられますが、グリコーゲンは12時間で枯渇するという特性があるため蓄積量に限界があり、インスリンが作用し、脂肪に変えて体にためおきます。
一方、脂肪酸とアミノ酸の代謝産物であるケトン体は、体内の脂肪が分解されることによって肝臓で作り出され、血液中に放出される物質。分かりやすく言えば、脂肪を燃やして作り出されるエネルギー源がケトン体なんですよ」
これまで、人の主なエネルギー源はブドウ糖であり、ケトン体はそのブドウ糖が枯渇した、つまり飢餓のときに働くサブのエネルギー源だと考えられてきた。ところが“実は両者の役割はまるっきり反対”だと、宗田医師は指摘する。
「700万年前に人類が誕生した当時は狩猟・採取が中心の低糖質・高タンパクの食事でしたが、1万年前に農耕が始まり穀物(炭水化物)が手に入るようになってからは、糖質をエネルギーの主体として利用するようになりました。言い換えれば、人類が誕生してから99.9%の時間は精製した糖をほとんど取らずに生きてきたのです。
本来、人の体は糖をたくさん取ることに対応できていないため、体に負担がかかりすぎて、さまざまなトラブルが生じます。その代表例が、糖尿病です」
糖尿病は、過食や運動不足などによってインスリンの分泌が弱まり、血液中のブドウ糖が有効に使われずに高血糖に陥ることで発症する。時には失明や動脈硬化などの恐ろしい合併症を引き起こすことで知られており、一度発症すれば一生付き合っていかなければならない病でもあるのだ。
宗田医師が冒頭で述べた糖尿病の新薬「SGLT2阻害薬」。
この薬は、ブドウ糖を尿から再吸収するSGLT2の働きを阻害し、尿にブドウ糖を排出する。つまり、薬を使って糖質制限を行うことができるのだ。
このSGLT2阻害薬によって、心血管死亡が38%減少、心不全による入院が35%減少したという成果が、第15回 欧州糖尿病学会(2015年9月17日、スウェーデン・ストックホルム)で発表された。その際には、発表者から「Amazing!」と報告され、会場からも歓声が沸き起こったことが、「日経メディカル」(2015年9月18日)で報じられている。
「私自身、60代で糖尿病を発症しましたが、“決められた摂取カロリー以内の食生活に切り替え、運動し、血糖値を下げるインスリンを投与する”という従来の治療法に納得がいきませんでした。
そんなときに出合ったのが、日本で糖質制限を始めた第一人者、釜池豊秋先生の『糖質ゼロの食事術』(実業之日本社)です。“糖質をとらなければ血糖値は上がらず、糖尿病にならない”という考えに影響を受けた私は、糖質制限を実践しました」
すると、半年後には15キロの減量に成功、血糖値をはじめとする数値も標準に戻ったそうだ。
「実は日本の糖尿病学会は、糖尿病治療における糖質制限を長らく批判してきたのです。血糖値を上げる糖の元である穀物(炭水化物)の摂取をやめれば、あるいは少なくすれば、血糖値が下がるのは自明なのに、です」
ところが最近では、糖尿病を専門分野とする医師のための専門誌「プラクティス」(医歯薬出版、2017年1月発行版)でケトン体についての特集が組まれ、国立国際医療研究センター・糖尿病研究センターの植木浩二郎氏が「ケトン体は効率のいいエネルギー基質であり、多面的な採用を持つ機能分子であることが明らかになってきた」と述べるなど、その認識にも変化が見られるという。
「糖質制限で糖が枯渇した後に生み出されるケトン体について、医療専門誌で言及されたことは非常に意味があると思う」
さらに、ケトン体に対する認識の変化は医学界の最高権威においても認められ始めている。
日本糖尿病学会理事長で東京大学大学院医学系研究科教授であり、元来は糖質制限慎重派であった門脇孝氏は、「週刊東洋経済」(東洋経済新報社、2016年7月2日号)の対談の中で、「総摂取カロリーのうち、糖質の量を4割程度に抑える、緩やかな糖質制限は推奨できる。糖尿病の治療としてだけではなく、健常者の減量法としても短期間で高い効果が期待できる」と述べ、氏が勤務する東大病院で糖質40%のメニューの提供を開始したことを明かした。
また、各科の疾患に対する最新の治療法を専門家が執筆した治療年鑑である「今日の治療指針」(医学書院)でも、糖尿病の食事指導について、2014年版からカロリー制限食に加えて、糖質制限食が併記されている。門脇氏が対談で述べている「長期間で極端な糖質制限」を例外として、日本の医学界が糖質制限に歩み寄っているのは事実のようだ。
「ケトン体を使う体質(ケトン体質)になることは、ダイエットや糖尿病だけに効果があるのでありません。ガンの予防や認知症、てんかんの改善にも効果が期待できます。
(すべてではないものの)ガンは放射能により生まれ、糖を栄養として増殖します。ミトコンドリアを持たないガン細胞がケトン体を使うことができないのは、1931年にノーベル賞生理学・医学賞を受賞したワールブルク博士が証明しています。ガンを予防し、増殖させないためには糖質制限が有効なのです。
また、ケトン体は脳の重要な栄養素です。シナプスに大量に集積しているミトコンドリアに直接作用してエネルギー基質になることから、ケトン体がシナプスの機能低下を解決できる可能性があります。ケトン体を増やせば、神経細胞のエネルギー不足も解消され、認知症やてんかんの症状を改善できると考えられています」
実際、厚生労働省は2016年4月に、ケトン食(てんかん食)に保険を適応するよう規則を改正している。
宗田医師の話や国、医学界の動きから、ケトン体が新手のブームではなく、太古から人類が使ってきた体内エネルギーであることが分かってきた。糖質制限を行ってケトン体質に改善していくことについては、サッカー日本代表でイタリア・インテルに所属する長友佑都が実践していることでも知られている。
また、伊藤忠商事の岡藤正広社長が糖質制限の実践者であり、糖質制限市場の拡大が不可逆的であるとして、同グループのファミリーマートがライザップと提携した低糖質食品を投入したことが、『日経ビジネス』(日経BP社、2016年11月7日号)で報じられている。
世界のビジネスエリートが自己管理、特に健康管理に力を入れていることは周知の事実。では、我々ビジネスマンが糖質制限=ケトン体質への改善を行う上で、どのような点に注意を払えばいいのだろうか。
「まず、私たちと志を同じくする『いきなり!ステーキ』や『フレッシュネスバーガー』のような、糖質制限用のメニューを提供する外食産業は確実に増えていきます。最近では、『すき家』や『松屋』、『ガスト』なども取り組みを始めていますし、外食の機会が多いサラリーマンは、それらをうまく利用していくのもよいのではないでしょうか。
そして、糖質制限を行う上で重要なのは“糖質を制限してもカロリーは制限しない”ということです。ごはんの量を減らしたら、その分のカロリーを別に取る必要があります。ごはんやパンなどの主食を抜いて、おかずをたっぷりと取るというイメージです。これを意識せずに脂肪やコレステロールは悪いものという思い込みによって油などを避けてしまうと、栄養が足りなくなって体がボロボロになってしまうので注意が必要です。
具体的には、“今より痩せたい、健康でいたい”という人は、夕食だけ主食を抜かすプチ糖質制限や朝食と夕食の主食を抜かすスタンダード糖質制限という、緩やかな糖質制限で十分です。しかし、肥満の方や糖尿病で薬を使いたくない方、ガンなどの疾患を抱えた、あるいは予防したい方は、3食全ての主食をカットし、1日の糖質摂取量を10~40gに抑えるスーパー糖質制限が必要です。
これまでの糖質摂取量の目安は、2000kcalを1日に摂るとすれば、そのうちの50~60%を炭水化物で摂ることになるため、1000~1200kcal、つまり炭水化物1gを4kcalとすれば、250~300gの炭水化物(ほとんど糖質の場合)を摂ることが推奨されていました。でも、そもそもそれでは摂り過ぎだったのです。ただし、疾患の性格によっては、糖質制限に理解のある医師に相談することも必要でしょう。
いずれの場合であっても、肉や魚、卵、大豆などのタンパク質をしっかりと取ることです。脂質もケトン体の元となるため欠かせませんので、油を使用したステーキや焼肉なども存分に楽しんでもらって大丈夫です」
糖質制限は、人類が農耕を始めてから実に1万年ぶりの「体内エネルギー源」の大改革ともいえるのではないか。それであれば、実社会のエネルギー事情と同じく、適切な“エネルギー・ポートフォリオ”を見つけていく必要があるだろう。
ことしの6月10日(土)ごろには、尿に大量に糖を排泄することで血糖値を効率よく下げることができ、ケトン体を増加させるという、糖尿病治療の(アメリカで最大シェアを持つ)新薬の臨床試験結果がアメリカ糖尿病学会で発表されるので、今までの誤った認識も、一気に覆されるはずですよ」
これまで医学の世界では“悪者”扱いされてきたケトン体。そんなケトン体がここ1~2年「ダイエット」特集などで頻繁に取り上げられるようになったのは、宗田医師が『ケトン体が人類を救う』を上梓して以降だ。
「そもそもケトン体というのは、ハイブリッド車がガソリンと電気をエネルギーとする2系統の動力回路を持っているように、人が持つエネルギー源の一つなんです。もう一つが、ご存じの通りブドウ糖。これまで、ケトン体はブドウ糖の陰に隠れてあまり知られていませんでした。
糖質の場合、体内に入るとブドウ糖の集合体であるグリコーゲンとして蓄えられますが、グリコーゲンは12時間で枯渇するという特性があるため蓄積量に限界があり、インスリンが作用し、脂肪に変えて体にためおきます。
一方、脂肪酸とアミノ酸の代謝産物であるケトン体は、体内の脂肪が分解されることによって肝臓で作り出され、血液中に放出される物質。分かりやすく言えば、脂肪を燃やして作り出されるエネルギー源がケトン体なんですよ」
これまで、人の主なエネルギー源はブドウ糖であり、ケトン体はそのブドウ糖が枯渇した、つまり飢餓のときに働くサブのエネルギー源だと考えられてきた。ところが“実は両者の役割はまるっきり反対”だと、宗田医師は指摘する。
「700万年前に人類が誕生した当時は狩猟・採取が中心の低糖質・高タンパクの食事でしたが、1万年前に農耕が始まり穀物(炭水化物)が手に入るようになってからは、糖質をエネルギーの主体として利用するようになりました。言い換えれば、人類が誕生してから99.9%の時間は精製した糖をほとんど取らずに生きてきたのです。
本来、人の体は糖をたくさん取ることに対応できていないため、体に負担がかかりすぎて、さまざまなトラブルが生じます。その代表例が、糖尿病です」
糖尿病は、過食や運動不足などによってインスリンの分泌が弱まり、血液中のブドウ糖が有効に使われずに高血糖に陥ることで発症する。時には失明や動脈硬化などの恐ろしい合併症を引き起こすことで知られており、一度発症すれば一生付き合っていかなければならない病でもあるのだ。
ケトン体が従来の糖尿病治療を覆せるか
宗田医師が冒頭で述べた糖尿病の新薬「SGLT2阻害薬」。
この薬は、ブドウ糖を尿から再吸収するSGLT2の働きを阻害し、尿にブドウ糖を排出する。つまり、薬を使って糖質制限を行うことができるのだ。
このSGLT2阻害薬によって、心血管死亡が38%減少、心不全による入院が35%減少したという成果が、第15回 欧州糖尿病学会(2015年9月17日、スウェーデン・ストックホルム)で発表された。その際には、発表者から「Amazing!」と報告され、会場からも歓声が沸き起こったことが、「日経メディカル」(2015年9月18日)で報じられている。
「私自身、60代で糖尿病を発症しましたが、“決められた摂取カロリー以内の食生活に切り替え、運動し、血糖値を下げるインスリンを投与する”という従来の治療法に納得がいきませんでした。
そんなときに出合ったのが、日本で糖質制限を始めた第一人者、釜池豊秋先生の『糖質ゼロの食事術』(実業之日本社)です。“糖質をとらなければ血糖値は上がらず、糖尿病にならない”という考えに影響を受けた私は、糖質制限を実践しました」
すると、半年後には15キロの減量に成功、血糖値をはじめとする数値も標準に戻ったそうだ。
「実は日本の糖尿病学会は、糖尿病治療における糖質制限を長らく批判してきたのです。血糖値を上げる糖の元である穀物(炭水化物)の摂取をやめれば、あるいは少なくすれば、血糖値が下がるのは自明なのに、です」
- ケトン体の“誤解”を解くべく、本の執筆だけにとどまらず、さまざまな学会や講演会にも精力的に参加している
ところが最近では、糖尿病を専門分野とする医師のための専門誌「プラクティス」(医歯薬出版、2017年1月発行版)でケトン体についての特集が組まれ、国立国際医療研究センター・糖尿病研究センターの植木浩二郎氏が「ケトン体は効率のいいエネルギー基質であり、多面的な採用を持つ機能分子であることが明らかになってきた」と述べるなど、その認識にも変化が見られるという。
「糖質制限で糖が枯渇した後に生み出されるケトン体について、医療専門誌で言及されたことは非常に意味があると思う」
さらに、ケトン体に対する認識の変化は医学界の最高権威においても認められ始めている。
日本糖尿病学会理事長で東京大学大学院医学系研究科教授であり、元来は糖質制限慎重派であった門脇孝氏は、「週刊東洋経済」(東洋経済新報社、2016年7月2日号)の対談の中で、「総摂取カロリーのうち、糖質の量を4割程度に抑える、緩やかな糖質制限は推奨できる。糖尿病の治療としてだけではなく、健常者の減量法としても短期間で高い効果が期待できる」と述べ、氏が勤務する東大病院で糖質40%のメニューの提供を開始したことを明かした。
また、各科の疾患に対する最新の治療法を専門家が執筆した治療年鑑である「今日の治療指針」(医学書院)でも、糖尿病の食事指導について、2014年版からカロリー制限食に加えて、糖質制限食が併記されている。門脇氏が対談で述べている「長期間で極端な糖質制限」を例外として、日本の医学界が糖質制限に歩み寄っているのは事実のようだ。
「ケトン体を使う体質(ケトン体質)になることは、ダイエットや糖尿病だけに効果があるのでありません。ガンの予防や認知症、てんかんの改善にも効果が期待できます。
(すべてではないものの)ガンは放射能により生まれ、糖を栄養として増殖します。ミトコンドリアを持たないガン細胞がケトン体を使うことができないのは、1931年にノーベル賞生理学・医学賞を受賞したワールブルク博士が証明しています。ガンを予防し、増殖させないためには糖質制限が有効なのです。
また、ケトン体は脳の重要な栄養素です。シナプスに大量に集積しているミトコンドリアに直接作用してエネルギー基質になることから、ケトン体がシナプスの機能低下を解決できる可能性があります。ケトン体を増やせば、神経細胞のエネルギー不足も解消され、認知症やてんかんの症状を改善できると考えられています」
実際、厚生労働省は2016年4月に、ケトン食(てんかん食)に保険を適応するよう規則を改正している。
すき家や松屋、ガストも糖質制限メニューを提供中
宗田医師の話や国、医学界の動きから、ケトン体が新手のブームではなく、太古から人類が使ってきた体内エネルギーであることが分かってきた。糖質制限を行ってケトン体質に改善していくことについては、サッカー日本代表でイタリア・インテルに所属する長友佑都が実践していることでも知られている。
また、伊藤忠商事の岡藤正広社長が糖質制限の実践者であり、糖質制限市場の拡大が不可逆的であるとして、同グループのファミリーマートがライザップと提携した低糖質食品を投入したことが、『日経ビジネス』(日経BP社、2016年11月7日号)で報じられている。
世界のビジネスエリートが自己管理、特に健康管理に力を入れていることは周知の事実。では、我々ビジネスマンが糖質制限=ケトン体質への改善を行う上で、どのような点に注意を払えばいいのだろうか。
- リトアニアで売られている肉をペースト状にした離乳食。同国では、赤ちゃんのころから肉を与えることは当たり前なのだとか
「まず、私たちと志を同じくする『いきなり!ステーキ』や『フレッシュネスバーガー』のような、糖質制限用のメニューを提供する外食産業は確実に増えていきます。最近では、『すき家』や『松屋』、『ガスト』なども取り組みを始めていますし、外食の機会が多いサラリーマンは、それらをうまく利用していくのもよいのではないでしょうか。
そして、糖質制限を行う上で重要なのは“糖質を制限してもカロリーは制限しない”ということです。ごはんの量を減らしたら、その分のカロリーを別に取る必要があります。ごはんやパンなどの主食を抜いて、おかずをたっぷりと取るというイメージです。これを意識せずに脂肪やコレステロールは悪いものという思い込みによって油などを避けてしまうと、栄養が足りなくなって体がボロボロになってしまうので注意が必要です。
具体的には、“今より痩せたい、健康でいたい”という人は、夕食だけ主食を抜かすプチ糖質制限や朝食と夕食の主食を抜かすスタンダード糖質制限という、緩やかな糖質制限で十分です。しかし、肥満の方や糖尿病で薬を使いたくない方、ガンなどの疾患を抱えた、あるいは予防したい方は、3食全ての主食をカットし、1日の糖質摂取量を10~40gに抑えるスーパー糖質制限が必要です。
これまでの糖質摂取量の目安は、2000kcalを1日に摂るとすれば、そのうちの50~60%を炭水化物で摂ることになるため、1000~1200kcal、つまり炭水化物1gを4kcalとすれば、250~300gの炭水化物(ほとんど糖質の場合)を摂ることが推奨されていました。でも、そもそもそれでは摂り過ぎだったのです。ただし、疾患の性格によっては、糖質制限に理解のある医師に相談することも必要でしょう。
いずれの場合であっても、肉や魚、卵、大豆などのタンパク質をしっかりと取ることです。脂質もケトン体の元となるため欠かせませんので、油を使用したステーキや焼肉なども存分に楽しんでもらって大丈夫です」
糖質制限は、人類が農耕を始めてから実に1万年ぶりの「体内エネルギー源」の大改革ともいえるのではないか。それであれば、実社会のエネルギー事情と同じく、適切な“エネルギー・ポートフォリオ”を見つけていく必要があるだろう。