クリスマスの季節になると、子どものころの苦い思い出が甦る。
私は山村に住んでいたので、家の近くには、クリスマスツリーには格好の木がたくさんあった。
たしか、小学5年生のころだったと思うが、中学1年生の兄と二人で、クリスマスツリー用の木を探しに出かけた。家の裏200mほどの近いところに広い土地があり、その周りに自分の背丈ぐらいの木が植えられていた。
「これは、ちょうどいいな」というわけで、何の罪意識もなくノコギリで伐採。二人で意気揚々と、ツリーを担いで帰ってきた。
ところが、
「どこから切って来た?」と、親父。「○○さんちの向かい側」と答えたところ、「バカもの、あそこは、△△商店の土地だぞ、そりゃ大変だ!」と、怒鳴られた。すぐ謝りに行かなきゃダメだということになり、恐る恐る親父の後について行った。
商店の主人は、「子どもさんたちのやったことだからね」と、穏便に済ましてくれたので、ひとまずホッとしたが、平謝りする親父には、ほんとうに申し訳ないことをしたと深く反省したものだった。
親父が後で、何がしかのお詫びの気持ちを形にしたのだと思うが、何十年経った今も、思い出しては、大汗が出てきそうなクリスマスツリー事件だった。