北の旅人

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佐渡金山の人形「早く外に出て酒を飲みてぇ、なじみの女にも会いてぇな~」

2014-07-20 14:34:23 | Weblog

7/11日のテレビ朝日「モーニングバード]」で、佐渡金山の話題が取り上げていた。70体の人形が展示されている新潟・佐渡ヶ島の観光名所、史跡・佐渡金山について、県議会で一体の人形が話す「早く外に出て酒を飲みてぇ、なじみの女にも会いてぇな」という音声が「品がない」と異議が唱えられたという。

疑問を投げかけたのは新潟県議会・志田邦男議員。総務文教委員会、佐渡金山の世界遺産登録に向けての議論の集まりだった。

しかし、これは歴史的事実であって、罪人たちの過酷な労働実態として記録にも残っているものだ。単に世界遺産に登録させるために都合よく変えたりしてはならない。事実を正しく伝えることこそが最も大事なことなのだ。

このニュースを観て感ずることがあった。

実は、4月に島根の世界遺産・石見銀山を訪れた。ここでの体験を記しておきたい。12~3人ほどで、地元ボランティアガイドの案内で大森地区(石見銀山の政治経済の中心地)の町並みを散策した。散策を始めて間もなく、参加者の女性が「佐渡金山では罪人などが金を掘り出していたけれども、石見銀山でも、そういう人たちが働いていたのですか?」と質問した。

すると、ガイドは、「罪人とは10人殺したら罪人ですか、100人殺したら罪人なのですか?今日、こうして私たちが暮らしているのはその人たちのおかげです。だから、そういうことを言うべきではないのです。もしかしたら、貴方はその罪人の子孫かもしれないのです。」とのたまった。これには驚き、呆れた。

まず、ガイドは質問に答えていないし、罪人とは、たとえ一人であっても罪人なのだ。挙句に、罪人の子孫かもしれないとは、失礼極まりない!その女性は、すぐに、そのガイドの案内から離れたし、私も、冗談じゃないと一人で見学して歩いた。だから、その後ガイドの説明を聞いていたのは3~4人しかいなかったようだ。質問への答えとしては、「ここでは罪人は使っていなかった」「やはり罪人を使っていた」「はっきり分からない」かのどれかだろう。
また、こうも言った。質問する人は、「貴方のような質問する人と、そうでない人の二つに分かれます」と。

やはり、石見銀山を訪れた人が、「ガイドさんが、石見銀山では罪人を一人も使っていなかったと強調していたことに驚いた」とレポートしていたのを読んだことがある。だから、そうした質問自体は、別におかしなことでもなんでもないことなのだ。世界遺産なのだから、そうしたマイナスになるような話は出来るだけ避けようとしているのか?甚だ疑問だ。

石見銀山には、「千人壺」(多くの罪人を放り込んだので、このように呼んでいたらしい)と呼ばれる刑場跡がある。銀を盗んだ者や回復見込みのない病人などを処刑した。明治期に建てられた石碑には、ここに処刑場があったことが明記されていた。そして、かつては、観光スポットの一つとして案内もされていた。しかし、市が世界遺産に向けて活動を始めたと同時に一斉に存在が抹消された。負の遺産は官民一体となって触れない基本方針に転換したという見方も多い。事実、石見銀山史料館では、それらに関する資料は撤去したという。

したがって、こうした背景があるため、ボランティアガイドも、まったくおかしな返答をしたのではないかと思われる。いやしくも世界遺産の地だ。歴史的事実は事実として伝えていかなければならない。佐渡金山も世界遺産の看板が欲しくて事実を曲げてはならない。それでは、何の意味もないからだ。



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