青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

「ギリシャと日本で対応する興味深い数種の蝶について」 2022.4.10

2022-04-11 08:29:22 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶








「萌葱Books」新刊紹介






・・・・・・・・・・・・・・・・



アテネのゲストハウスで、ロシアの若い男の子(外交官?実業家?)と仲良くなりました。アメリカのおじいちゃん(探検家)とも仲良くなりました。イランのおっちゃんとも、、、。



さっきから、そのおじいちゃん(沢山本出してます)がいろいろ話かけてきて応答に苦労しています。写真沢山見せてくれた。ぜひ北の国境地帯に行きなさい、と言われたのだけれど、旅費がないので、、、、と答えておきました(バス代は安いそうです)。



そろそろロシアの若者も戻ってくると思うので、ゆっくりしてられません。



ロシアと言えば、、、というか、今更ですが、、、。



「駐日ロシア大使がメディア代表者と会見」というニュース。



ちなみに、大使はノーマスク、メディアの人はマスク。なんか滑稽ですね。



ロシア側

>でっち上げだ、事実ではない。



日本メディア

>事実ではないと、どうして言える



ロシア

>じゃあ、どうして事実と言えるの?



メディア

>事実だから事実。



・・・・・・・・・・・



4年前の春、三世の「チエチエブログ」に、「ギリシャと日本で対応する興味深い数種の蝶について」を、しばらくの間、連載していました。

三世

>青山先生、ギリシャの蝶について書いてください。



>無理だよ。何の知識も、何の興味もないんで。

三世

>そこを何とか



>じゃあ「日本とギリシャの蝶相の比較」というテーマで、でっち上げましょう。



というわけで、自分で撮影した写真は一枚もありません(そもそもヨーロッパ行ったことがないし)。自分の写真は中国の蝶を使って、ギリシャの蝶の写真や知識はインターネットからの寄せ集めです。あくまで仮処置ということで、途中で終えるにあたって、「来年はギリシャを訪れて自分で撮った写真を使って再開します」みたいなコメントを付しておきました。



そのまま3年間ほったらかしにしていたのですが、やっとその(読者のみなさんとの)約束を実現するに至ったのです。



もっとも、今回まじめに取り上げたのは、チエチエブログ「ギリシャと日本で対応する興味深い数種の蝶について」第五回 (2019年2月12日~2月18日アゲハチョウ科・下)で“近々実際の調査行を予告”した「春の女神」の姉妹種シリアアゲハ(モエギチョウに改称)だけですが。



*興味のある方は冒頭に紹介した新刊をご購読頂ければ幸いです。



それ以外の蝶については、今回は片手間です。



2月11日から3月21日まで40日間滞在していたパロス島は、予想外に猛烈に寒く、大荒れの天候が続き、室内での原稿書きに専念していたこともあって、屋外での撮影自体をほとんどやってません。唯一撮影した蝶が、自室の目の前に広がるお花畑の隅っこにいたベニシジミ一頭だけです。



本来の目的地のサモス島には、3月23日から4月5日まで2週間(14日)滞在。それまでとは打って変わって好天に恵まれました。やっと春がスタートですね。目的のモエギチョウは非常に多くの個体を撮影できたのですが、それ以外はわずかな種にしか出会っていません(島滞在の最終日になって多くの種が出現し始めた模様)。



4月6日から、この後帰国日の5月5日までの一か月(30日)間は、アテネに滞在予定。安宿に泊まって、再びインターネットを使ってデスクワークです。天気が良い日は、近所の丘に撮影に行きます。



資金がないため、遠出は出来ません。山間部の蝶は次回回しで、今回は「ギリシャ・アテネ、近所の丘の蝶」ということにしておきます。幸いゲストハウスが鉄道中央駅のすぐ近くです。アテネ近郊区間路線の北端駅「ハルキダChalkida」行きの列車(ほぼ2時間に一本運行)に乗り、窓から蝶のいそうな環境を適当にチェックします。30分後、運賃2.5ユーロのアフィドネスAfidnes駅で下車。ここで、4月8日~10日の3日間撮影しました。









な~んもないところです。ぽつんと駅舎があって、向かいにレストランが一軒(写真)。あとは概ね原っぱ(菜の花畑)です。







とりあえず、線路上をひたすら歩きます。周りには野の花が咲き乱れて、最高の環境です。快晴無風、最高の天気です。でも蝶がいません。1時間ほど歩いて、適当に山腹を登ります。さらに素晴らしいお花畑が続くのですが、蝶はいないときはいないものです(山火事後で木々が黒焦げになってしまっていることも原因の一つかも知れませんが)。















2日目(4月9日)3日目(4月10日)は、駅のすぐそばで撮影しました。野の花が咲き乱れる広い草原よりも、むしろ路傍の草叢のほうに、蝶が多いような気がします。





今のところ、この後も同じ場所で観察を続ける予定(随時ブログで報告していきます)ですが、とりあえずここまでに撮影した蝶のまとめ。パロス島でのベニシジミ、サモス島でのモエギチョウ(およびシロタイスアゲハ)以外の数種、それにアテネ近郊(Afidnes)を合わせて、以下が現時点で撮影した種です。 

ベニシジミ

モンシロチョウ&オオモンシロチョウPieris brassicae

クモマツマキチョウ

モンキチョウ(ミナミモンキチョウColias australis)

ヤマキチョウ(クレオパトラヤマキチョウGonepteryx cleopatra)

キアゲハ

アカタテハ(アトランタアカタテハVanessa atalanta)



いずれも、世界的にごくポピュラーな蝶。日本にも同一種または近縁種が棲んでいます。



あと出来れば帰国日までに写しておきたい春の蝶は、

ミナミモンシロチョウPieris manniiとエゾスジグロチョウ

黄色いクモマツマキチョウAnthocharis damoe or gruneri

コツバメ(近縁種Callophrys rubi)とミヤマセセリ(近縁種Erynnis tages)

ルリシジミとツバメシジミ(ミナミツバメシジミCupido alcetasを含む)

パルナッシウス(クロホシウスバシロチョウParnassius mnemosyne)

越冬タテハ(ヨーロッパヒオドシNymphalis polychlorus、ミナミシータテハNymphalis egeaなど)

および、タイスアゲハZerynthia polyxena。

イピクリデス(アオスジアゲハの仲間)は3年前の夏にどっさり写した(未回収の修復HDD内に保存)ので、特に必要なし。



最後の2種以外は、日本との共通分布種(または近縁種)です。



ちなみに今日(午前中数時間だけ訪れた)は、全く日本に共通グループの蝶がいない種を撮影しました。セセリチョウ科チャマダラセセリ亜科のCarcharodus lavatherae。同亜科のチャマダラセセリともミヤマセセリともダイミョウセセリとも、族Tribe単位で異なる、別のグループに所属します。和名は「ボロギセセリ」とでもしておきましょう。ちょっと可哀そうかな?





ボロギセセリ Carcharodus lavatherae




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2022.1.16(その3) 「春の女神」

2022-01-17 15:24:33 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶




こんなのを纏めていました。これをベースに(ネットからの引用で黄色網で紹介した)モエギチョウの生態写真を、自分で撮影して、メディアにプレゼンします(印刷本にはせずにギリシャからメールで送る)。蝶絡みの作品では、一番勝算が高いと思っています。






















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日本の蝶 Ⅲ イチモンジセセリの仲間(その4:前回までのオオチャバネセセリ「上」「下」「補遺」から引き継いで)

2021-07-07 20:24:50 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶



・・・・・・・・・・・

読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・

『北米の自然保護区で“人を襲った熊を駆除する”』という記事。

むろん、考慮に考慮を重ねた上での、窮余の策でしょう。そう簡単に「自然保護区は野生生物の側の領域なので人間が立ち入ることが問題」と片付けるわけにはいきません(いろんなニュースの反応コメントを読んでいると大衆の多くがいかに単純思考なのかが分かる)。

アメリカの価値観では、「自然保護区」は、あえて「人々が自由に立ち入ること」を前提として成り立っています。「(特定の人間だけの活動が許可され)一般人の行動を制約することに重きを置く」日本とは違うのです。

それはともかく、、、。こんな↓コメントもありました。まさか、ジョークで言っているわけじゃないのでしょうが。さすが「そうは思わない」という反応多数ですが、「そう思う」もそれなりにあって、、、。

>クマでもワニでもライオンでも世界中で駆除して動物園で飼育すれば良いと思う。
>どんな山奥でも安心して入山出来る環境にするべきです。
>マジで。

現実を正視すれば、このコメントを笑うわけにはいかないと思います(実際に、その通りの方向に進みつつある)。

・・・・・・・・・・・・・

さて、せっかくエヴァンスを引っ張り出した(段ボール箱からでなくパソコンからなのが少し残念ですけれど)ので、セセリチョウの話題を続けましょう。

図鑑の種の並べ方は、それなりのルールみたいなのがありますね。ことに、どの種を最初に置くか、国ごとに異なります。ただし国の如何に関わらず、アゲハチョウ科が最初に来ることは変わらないようです(以下、ちゃんとチェックしたわけではないので思い違いがあるかも知れんですが)。

ヨーロッパは、キアゲハかアポロチョウ。中国も、たぶんアポロチョウ類(アカボシウスバシロチョウ)。アメリカもキアゲハ類だったような、、、。日本はギフチョウでほぼ決まっていますね。

本来ならば、その群全体に於ける(より祖先的形質を多く備えた)側系統群、すなわち蝶の場合はセセリチョウ科から始めるべき(実際図版なしのリストだけならそのような扱いが多い)なのですが、最初に地味なセセリチョウが示されていると、たぶん本の売れ行きが悪くなってしまいます。

最初に本を開いた時に、綺麗で人気がある種が目に入るようにしておく必要があります。したがって、アゲハチョウ科からスタートして、セセリチョウ科を末尾に置く、これが暗黙の了解(MLBで「大差でリードしているチームが盗塁してはならない」みたいなもの、かな?)です。

チョウの愛好家は、もちろんチョウが好きなのですが、「セセリチョウはちょっと、、、」「関心がない」「除外」という人も少なくないようですね。気持ちは分かります。一般人の感覚としては、「蝶」というより「蛾」に近いのではないかと。

ところで、Lepidoptera(通称“レピ”)「旧・鱗翅目」を、今は「チョウ目」あるいは「ガ目」と呼びます。

「膜翅目」とか「双翅目」とか「直翅目」とか、堅苦しい名前は止めて、親しみのある馴染みの名を使うように、ということ(お上?からの通達)で、上の3つで言うと、それぞれ「ハチ目」「ハエ目」「バッタ目」に置き換ったわけです。「鞘翅目」は「コガネムシ目」かな?あるいは「甲虫(コウチュウ)目」と言っているのかも知れません。

しかし、「膜翅目」には、「ハチ」のほかに、「アリ」(両者の関係の説明はパス)がいます。また、「双翅目」には、「ハエ」のほかに、「アブ」や「カ」(これも相互関係説明はパス)がいます。直翅目には、「バッタ」のほかに、「コオロギ」とか「キリギリス」(同上)とかも。

でも、「蟻」よりは「蜂」、「虻」や「蚊」よりは「蠅」、「興梠」や「螽斯」よりは「飛蝗」のほうが、よりポピュラーでメジャーな気がする(今そう書いていて、そうでもないかな?とも思いますが)ので、まあ一応「ハチ目」「ハエ目」「バッタ目」辺りは妥当なところでしょう。

「蜻蛉目」は「トンボ目」で決まり。「半翅目」は難しいところで、「セミ目」なのか「カメムシ目」なのか、、、。そして、最も難しいのが「鱗翅目」ですね。「チョウ目」なのか「ガ目」なのか。

ちなみに、難しいと言えば「霊長目」も同じ。「ヒト目」なのか「サル目」なのか(「ヒト目を採用しているのかな?」)。

以上に挙げたような選択が難しい目の名は、現在でもいくつかが併用されているのだと思います。結局、下手に大衆に忖度したり、基準とかを作ろうとしたりすると、かえってしっちゃかめっちゃかになってしまう、という好例です。
 
鱗翅目を「チョウ目」にするか、「ガ目」にするか、、、現在、どうやら「チョウ目」が主流なようなのですが、さしたる根拠があるわけでもなく、単に語呂が良いからだと推察しています。

さて、「蝶」と「蛾」ですね。

この表現は、実は成り立ちません。

以下に記す様々なことも含めて、このブログで記す内容は「そんなこと誰でも知ってるよ!」と言われそうに思いますが、チョウ愛好家に向けて記事を書いているのではなく、一般の人たちに読んで貰うことに重点を置いています。“(一部の人々にとっては)誰でも知っている”事ではあっても、トータルに見渡せば知らない人のほうが多い、と言う事もあると思うので。

「蝶」と「蛾」の関係は、「東京」と「日本」の関係(「パリ」と「フランス」の関係でもよい)と理解して頂いて良いかと思います。「蝶」は「蛾」の一部なのです。「チョウ」は「ガ」であるけれど、「ガ」は必ずしも(と言うか大半は)「チョウ」とは限らない。

沢山の(無数とも言えそうな)種類から成る「ガ」の中の、ごく一部を「チョウ」と呼んでいます。「科学的な根拠に拠る」と言う事では無く、通例としての無条件選択(僕もそれが悪い事だとは思ってはいません)ですね。

「蝶」に相当する系統分類上のある程度の纏まりはあって(ただしその活用が承認されるなら他の幾つかの「蛾」の任意の纏まった分類群にも、「蝶」同様に「蛾とは違った」名前を付けねばならないわけですが、少なくても日本ではそのような例はありません)、学術上の定義で言えば、「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」を併せた一群が、「蝶」とされているわけです。

前者(セセリチョウ上科)は単独でセセリチョウ科Hesperiidaeから成り、後者(アゲハチョウ上科)は複数の科を包括しています。すなわち、アゲハチョウ科Papilionidae、シロチョウ科Pieridae、タテハチョウ科Nymphalidae(以前は「マダラチョウ科」「ジャノメチョウ科」ほか多くの科に分けられていた、シジミチョウ科Lycaenidaeなどです。

欧米文化圏で「パピヨン」または「バタフライ」と呼ばれるのは、アゲハチョウ上科の種だけで、通常セセリチョウは含まれません(「スキッパーSkipper」と呼びます)。従って、セセリチョウを蝶の概念から除外する人がいても、何ら不思議はないわけです。

ちなみに、“「蝶」とは「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」から構成される「ガ」の一部である「チョウ」という概念の一括りの分類群”と書きましたが、正確にはもう少し補足が必要です。それは、比較的近年になって、「シャクガモドキ」というごく地味な、まあ、いわゆる「ガ」の一群が、系統分類上の「チョウ」(「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」を組み合わせた集合分類群)の中に組み込まれたこと。

いわゆる「ガ」のひとつが「チョウ」の中に加えられたわけですね。

シャクガモドキの存在はさておき(というか、蝶コレクターとかは、その存在を無視する人が多いのではないでしょうか)、蝶は「アゲハチョウ上科」の種と「セセリチョウ上科」の種から成っているわけですが、セセリチョウを(シャクガモドキ共々)切り離して、アゲハチョウ上科だけを“純粋な”「蝶」と見做す人がいても、
なんら問題はないわけです。

ところが、そうもいかない事情も、、、。

「アゲハチョウ上科」と「セセリチョウ上科」と「シャクガモドキ上科」の相互の位置関係については様々な見解があり、最近は、(シャクガモドキ上科の存在はともかくとして)次のような見解もあるわけで。

アゲハチョウ科以外のアゲハチョウ上科に含まれる各科が、アゲハチョウ科よりもセセリチョウ上科に類縁的に近い。

アゲハ(パピリオ、パピヨン)はチョウの代名詞でもあります。一般論としては「アゲハ=チョウ」と言っても大きな間違いではないくらいです。しかし、この見解が正しいとすれば、「アゲハはチョウではない」、ひいては「チョウはチョウではない」ということにも成りかねません。

話を戻します。

「日本の蝶」シリーズをブログで書いて行くに当たり、通例に従ってアゲハチョウ科から始めることにしました。ギフチョウからスタートすべきなのですが、しかしアパート周辺地域には分布していません。それで、通常の日本の図鑑では、ギフチョウの次に紹介されているウスバシロチョウから始めることにしたのです。

それが(別に思惑とか理由とかがあったわけではないのですが単なる成行きで)2回目からセセリチョウ科の種になってしまいました。ある意味では「本来採るベき順番*」に収まったとも言えます。

*もっとも、先に書いたように、アゲハチョウ科を(セセリチョウ科をも含めた)「蝶」の中で異端的な(側系統の)存在と見做すなら、アゲハチョウ科でスタートしてセセリチョウ科をラストに置くという並びも、理に適っていることになります。

いずれにしろ、一般例(=日本でも中国でもヨーロッパでもアメリカでも、通常図鑑のラストはセセリチョウ科で、その末尾はイチモンジセセリやチャバネセセリなどのゲゲネス類)とは逆の、セセリチョウ科から再スタートすることにします。前回にオオチャバネセセリについて述べたので、引き続き同じゲゲネス類の、イチモンジセセリ属、チャバネセセリ属、ユウレイセセリ属について記して行きます。

眠たいので、今日は部屋に帰って寝ます。以下は、明日のブログで。



2005.6.23 雲南省麗江(本文とは無関係)












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日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[下] 補遺

2021-07-03 20:35:17 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶


★7月2日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



大谷君、また連発(このまま60発越え行きそうです)で、盗塁にサヨナラ走塁、もう何がどうなっているのやら。。。。明後日は27歳の誕生日かな?

阪神中谷ソフトにトレード(仁保を貰った)ですね。両チームにとって(両選手にとっても)かなり良いウインウインのトレードだと思います。ネットで「中谷頑張れ!」の声が多数あるのは嬉しいですね。まだ28歳ですから、チャンスさえ貰えれば、大化けするはずです。

、、、、ちなみに、高山、貰い手あるんだろうか(;´д`)

・・・・・・・・・・・・・・

このブログの原稿は、猛スピードで(かなり無責任に)書いているので、あちこちに間違いがあったりします。でも、ここんとこ(今年の東京としては)珍しく雨続きで、毎日探索に出ることもないので、翌日アップした記事を再チェックして、必要なところは訂正記事を書くことが出来ます。昨日の記事についての訂正と追記。

⓵末尾の部分(最後の付録5種の前)。「タイワンチャバネセセリ」「コモンチャバネセセリ」とあるのは、(それぞれ「オオ」が抜け落ちていて)「タイワンオオチャバネセセリ」「コモンオオチャバネセセリ」の間違いです。タイワンチャバネセセリはPelopidas sinensis、コモンチャバネセセリはPseudoborbo bevanii、それぞれオオチャバネセセリのPolytremisとは別属の種です。

で、それで一件落着と言うわけでもありません。更に「タイワンオオチャバネセセリ」の和名自体も、オオチャバネセセリ属ではなく、チャバネセセリ属のPelopidas conjunctaに冠された和名です。よって正しくは「オオチャバネセセリ台湾亜種」とされていた種には別の名をつけねばなりません。種の帰属がpellucidaのままなら「オオチャバネセセリ」で良いわけですが、大陸にも分布する別の種のzinaに組み替えられたとなれば、和名も別の種(zinaに相当する名前)に移す必要があるでしょう。

といって、別に海外産の種に和名をつける必要はないのですが、台湾産の蝶には原則全て和名(日本名)がついているし、このブログで写真紹介している主な種にも和名を付していることですから、何らかの名前をつけたい。でも、なかなか良い名前が思い浮かびません。中国名が「刺紋」となっているので「サツモンオオチャバネセセリ」あるいは中国語発音で「チ―ウェンオオチャバネセセリ」かな?

もっとも、中国名の命名基準は、属の所属が変わるごとに、中国名もそれに従って変わっていく*(日本も、そうなりつつある、、、それが「科学的」だと思ってるんだ)ので、ローカル名の持つ意味がなくなっているようにも思います。明治開化の日本みたく、なんでも西洋追従、理論的に、統制的に、、、と。

その西洋では、「赤い海軍大将」「お化粧した貴婦人」「紫の皇帝」、、、といったローカル名が堂々と昔から引き継がれているわけですから、結局、文化の成熟の程度が違うんですよね。(ステレオタイプ一辺倒の)中国や日本には、勝ち目がない、と思ったりします。

*PolytremisからZinaidaに属を組み替えられた場合、Polytremisを指す「孔セセリ(セセリの漢字を打ち出せない)」から別の「○セセリ」に替わるのでしょう。そこら辺は、どの研究者が最も力を持っているか、という事情で決まるわけです。

⓶後者論文の系統図のタッパンチャバネセセリとニセキマダラセセリを含む分枝の属名を、誤記してしまいました。共にZenoniaと記しましたが、正しくは、アフリカ産のニセキマダラセセリのみがZenoniaで、アジア産のタッパンチャバネセセリはZenonoidaです。「Zenonoida」 「Zenonia」「Zinaida」、、、、紛らわしいですね。

⓷後者論文で論議されている対象は、旧・Polytremis中の大多数の種を含むZinaidaとされる種についてのみで、それとは別属に置くZenoniaと狭義のPolytremisについては、Zinaidaとは異系統であることが示されている(タイリクタッパンチャバネセセリeltolaはZenonoidaとしてアフリカ産の別属Zenoniaと姉妹群を成し、Polytremisに残されたキモンチャバネセセリlubricansとの間には別属Itonシロシタチャバネセセリ属が割り込む)だけで、互いの詳しい関係性については特に示されていません。

しかし前者論文では、必ずしもタイリクタッパンチャバネセセリeltolaとキモンチャバネセセリ lubricansの関係性を、そのように位置付けてはいず、Zenoniaの属としての単系統性も確定はされていません。

僕が思うに、他のゲゲネス類各属各種の系統的位置関係を、改めて洗い直してからでないと、実態は見えて来ないのではないかと(そんなことは既に為されているのかも知れませんが)。

*例えば、雄交尾器の形状などからすれば、Caltorisの幾つかの種などはPolytoremisとの何らかの親和性があるような気がします。

*GegeniniあるいはBaorini、和名ならイチモンジセセリ族またはチャバネセセリ族、直訳するならGegeniniを採る場合アフリカチビセセリ族、Baoriniの場合はサシスネ(刺脛)セセリ族、ということになるのかな? まあ、そんなことはどうでもよくて、その時の気分で(前後の語呂とかの関係で、要するに適当に)「ゲゲネス類」「チャバネセセリ類」「イチモンジセセリ類」とか呼んで置いても良いだろうと思っています。

そのゲゲネス類について。
『Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) Andrew D. Warrena, at all.2008』によると、次の14属から構成されているようです。
Prusiana Evans, 1937
Melphina Evans, 1937
Fresna Evans, 1937
Platylesches Holland, 1896
Brusa Evans, 1937
Zenonia (ニセキマダラセセリ属)Evans, 1935
Gegenes(アフリカチビセセリ属) Hu¨bner, 1819
Parnara(イチモンジセセリ属) Moore, 1881
Borbo(ユウレイセセリ属) Evans, 1949
Pelopidas(チャバネセセリ属) Walker, 1870
Polytremis(オオチャバネセセリ属) Mabille, 1904
Baoris Moore, 1881
Caltoris(ムモンセセリ属) Swinhoe, 1893
Iton(シロシタチャバネセセリ属) de Nice´ville, 1895
(Borboから分離されていたPseudoborboコモンチャバネセセリ属はBorboに戻されたのかな?)
前7属が主にアフリカに分布、後7属が主にアジアに分布します。これに新大陸産の幾つかの属(Sinapte、Calpodes、Saliana、Dubiella、Tharacidesなど)が、姉妹族として対応するようです。

この時点では、タイリクタッパンチャバネセセリの属するZenonoidaや、広義のPolytremisのうちの大多数の種が所属するとされるZinaidaの名は、提示されていません。

ちなみに、議論の本質とは関係ないでしょうが、分けるにしても(繰り返し記しますが)「Zenonia」「Zenonoida」「Zinaida」は、紛らわしすぎます(笑)。

⓸タッパンチャバネセセリは、「原名亜種eltola(一応「タイリクタッパンチャバネセセリ」と表記しています)と 台湾産亜種tappanaで、(エヴァンスの挿図で比較する限り)雄交尾器の形状が著しく異なる」と、白水図鑑に記されています。僕は今エヴァンスが手元に無い(段ボールの中、笑)のですが、他の幾つかの文献(例えば「The butterflies of the Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」)の添図をチェックした限りでは、それほどの差があるとは思えません(種レベルとしては微妙)。一方、ニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreta とは明らかに相違(見方によっては属レベル)します。

それらのことを含めて、雄交尾器を見る限りに於いては、Zinaidaの独立性(単系統性)の支持は困難なように僕は思います。もちろん、分子生物学的な解析のレソルトを、最優先して信用しなくてはならないことは分かっているつもりですが(その信頼すべき複数の解析結果自体が異なる、、、、)。

前回同定保留にしておいた写真3・4と写真5・6の種について。
「Butterflies in Indochina」(Polytremisとしてlubricansを含む3種、Zenonoidaとしてeltolaとdiscleteの2種が掲示されている) でチェックしてみましたが、結局分からなかった。ベトナム・サパの5・6は、たぶんどちらかに帰属すると思います。「Butterflies of Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」に添附されたdiscletaの雄交尾器図・写真は「中国のチョウ」で紹介したdiscleta雄交尾器の図に完全に一致しますが、5・6(後翅の白紋が一個少ない)の個体に関しては雄交尾器を検鏡していないので、判断がつきません(イメージ的にはdiscleta?)。3・4のほう(やはり雄交尾器は見ていない)は、外観的には両方とも違うような、、、(イメージ的にはeltola?)。

・・・・・・・・・・・

ネットで、色々な資料を調べていたら、今回取り上げた2つの論文の他にも、幾つかの報文を見つけました。
『Polytremis属の分子系統学研究(上海大学2013)』
『Molecular Phylogeny of the Butterfly Genus Polygonia(Hesperiidae,Hesperiinae,baorini)in China』
『中国及び周辺地域セセリチョウ亜科分子系統学研究(百度文庫2020)』
等々。
それらについてのチェックはまだ行っていません。また機会があった時に言及しようと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後に、僕が知らなかっただけなのでしょうが、、、、。

台湾産の蝶に関しては、杉坂美典さんという方(来週69歳になる男性)の、これはもう「凄い!」としか言いようのない(大谷君レベルです)驚愕のH.P.が紹介されています。

台湾の蝶 <セセリチョウ科- セセリチョウ亜科2>


大谷君といい、杉坂氏といい、世の中には想像を絶する凄い人がいるもんだ、と、つくづく思います。

*台湾には5種のオオチャバネセセリ属の種がいるようです。白水(1960)で紹介された「オオチャバネセセリ」「キモンチャバネセセリ」「タッパンチャバネセセリ」「キライザンチャバネセセリ(標本図なし)」のほかに、Pelopidas theca fukia(昨日紹介した「前者論文」ではthecaとfuciaは明らかな別種とされています)。そして、既述したように、白水では(一頭の雌標本から)オオチャバネセセリpellucidaと同定された個体は、大陸産のzinaに帰属します。その和名をどうするかについて考慮していたのですが、杉坂氏のH.P.には「トガリオオチャバネセセリ」となっていたので、それを踏襲することにします。

・・・・・・・・・・・・

昨日アップした、四川省大邑原生林のChrysozephyrus sp.の写真が、かなり甘いように思えるので、ややシャープネスをかけた写真を再掲しておきます。








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日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[下]

2021-07-02 21:10:55 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶



 
インターネットで最近のオオチャバネセセリ関係の報文を探してみました。とりあえず2つの論文を見つけました。
 
Taxonomic status and molecular phylogeography of two sibling species of Polytremis(Lepidoptera:Hesperiidae)
 
Sistematics of the genus Zinaida Evans,1937(Hesperiidae:Hesperiinae:Baorini)
 
前者は2016年、後者は2017年の発表で、共に中国人研究者によります(前者は8人、後者は6人の共同著述で、後者には前回述べた日本人のC氏が加わっています)。
 
前者の主題は、特定の2つの種の分類で、それに伴ってPolytremis属全体の系統関係の構築がなされています。
 
後者は、Polytremis属を、Zinaidaを含めた幾つかの属に分割するという提案(事実上の決定事項)です。大多数の種の標本図、雄交尾器図、分布図が示されています
 
いずれも、分子生物学的手法を使った系統分類で、論文中の語句をそのまま示すと、前者は“the evaluation of mitochondrial and nuclear DNA markers”、後者は、“inferred based on regions of the mitochondrial COI-COII and 16S and nuclear EF-1α genes (3006 bp)”という手法に基づいているようです。頭の悪い僕にはよく分からんのですが(笑)、いわゆるDNAによる解析ですね。
 
取り上げたPolytremis属(後者論文では“従来のPolytremis属”)の種数は、共に16種。ただし、1種だけメンバーが異なり、Polytremis eltola(Zenoia eltola)の同一群の種(のひとつ)に、前者ではPolytremis discreta* が、後者ではZenonia zeno**が示されているので、Polytremis全体として挙げられた種数は17種、また後者には、(Polytremisが単系統ではない根拠の一つとして)従来の広義のPolytremis属を認めた場合それに併合されることになる別属種のIton semamoraも系統図上に示されているため、それを含めると登場種は総計18種ということになります。
 
*僕が「中国のチョウ」で“ニセタイリクタッパンチャバネセセリ”として紹介した種(詳細については後述)。
**アフリカに広く分布するキマダラセセリにそっくりな種(Orange-spotted skipper)。この論文では、Polytremis eltolaタイリクチャバネセセリ(や近縁数種?)も、PolytremisからZenoniaに移されています。
 
ざっと整理をすると。
 
前者論文では、後者論文が大多数の(広義の)Polytremis属の種とは異系統の別属の(すなわち狭義のPolytremis属の)種として位置づけるキモンチャバネセセリlublicansも含めるなど、従来のPolytremisをそのまま生かして、属を再構築しています。Polytremisは(広い範囲で捉えれば)単系統属と見做されるわけです。
 
それに対し、後者論文*では、Polytremisの模式種であるlublicans(=Gegenes contigua)のみを真のPolytremisと見做し、他の全ての(従来一括してPolytremisに含まれていた)種を、別属に移しました。狭義のPolytremisと、そこから区別された各種との間の系統上の位置に、別属とされるIton属の種が割り込みます。したがって従来の概念でのPolytremis属は、多系統群ということになります。
 
狭義のPolytremis(キモンチャバネセセリ)以外の各種は、更にZenoniaとZinaidaに属分割され、Zenoniaにはタイリクタッパンチャバネセセリeltolaやアフリカ産のzeno(Orenge-spotted skipper“ニセキマダラセセリ”)など数種(タッパンチャバネセセリやdiscletaもここに含まれると思われますが未確認)が属し、オオチャバネセセリをはじめとしたそのほか大多数の種はZinaidaに属します。
*現在の日本の「蝶界」の見解は、これに従っているようです。
 
ちなみに、後者論文でZinaidaに含まれているオオチャバネセセリpellucidaは、前者論文の分類体系に従えば、後者でZinaidaとされる大多数の種の分枝(branch)ではなく、lubricansやeltlaと共通の分枝に属しています。また、Zinaidaに相当する各種の系統上の組み合わせも、前者と後者では大きく異なります。
 
僕としては、どちら見解が正鵠を得ているのか、知る由もありません。
 
具体的な指摘は略しますが、、、、後者論文に示された、雄交尾器の比較に見る相関性と、DNA解析の結果は、多くの組み合わせで(姉妹群とされるペアも含めて)一致していません。それも(形態と系統が一致しない事は何ら不思議ではないとしても)、、、、もうひとつ納得が出来ないでいる所以です。
 
分子生物学的な(DNAの)解析結果が「正解」である、ということに異論をさし挟む気はないのですが、複数の異なる「正解」が示されている以上、結論は控えたいと考えています。
 
オオチャバネセセリに関する最初の(6月17日の)ブログ記事に、「DNA解析に基づいて、幾つかの属に細分されているわけですが、ただし広義のPolytremisは、必ずしも多系統群という事でもなく、オオチャバネセセリを狭義のZinaidaに置くか、広義のPolytremisに含めるかの選択は、研究者の見解ごとに可能かと思われます(ここではPolytremis pellucidaとしておきます)」と記しました。でもその後は僕もZenaidaを使っているのですね。やはり暫定的にPolytremisにしておいた方が良いかな?という思いもあります。
 
根拠、というほどの意見はないのですよ。でも、幾つかの“想うところ”はあります。
 
まず、オオチャバネセセリ属が含まれる上位分類群の「アカセセリ族」「イチモンジセセリ類」についての記述を「中国のチョウ」(1998/東海大学出版会)から再掲しておきます(362-363頁)。
 
アカセセリ族:Evansの(K)(L)(M)、川副のアカセセリ亜科第3セクション、最も典型的なセセリチョウの仲間である。翅は横長で、前翅長と後翅肛角が突出し、頭部が大きくて胴体も太く、前翅長は1.5㎝前後、褐色の地に白斑を持つか黄褐色のまだらとなる。EvansのK、L、Mに相当する、アカセセリ、キマダラセセリ、イチモンジセセリの3群に大別され、川副も3群を同一セクションに含めたうえで、それぞれを独立のグループとして扱っている。ここでは他とのバランスを考えて3グループを1族にまとめたが、それぞれを独立の族とする処遇がむしろ妥当かも知れない。
 
イチモンジセセリ類:Evansの(M)、川副のアカセセリ亜科第3セクション、チャバネセセリ群。褐色の地色に白斑を配した地味な翅をもつ、最もセセリらしいセセリである。しかし、世界の熱帯に200種余を数える本群のうち、2/3ほどを占める新大陸産には大型で美麗な種が多数あり、それらはピロピゲ族との並行的な相互類似現象と考えられている。アジア産に限れば、アトムモンセセリ属が17種(Evansによる)で種数が最も多く、以下、オオチャバネセセリ属Polytremis、チャバネセセリ属Pelopidas、イチモンジセセリ属Parnaraがそれぞれ10種前後、ドウイロムモンセセリ属Baoris、ユウレイセセリ属Borbo、シロシタチャバネセセリ属Iton、コモンチャバネセセリ属Pseudoborboは、1~数種のみの小属である。このうちチャバネセセリ属(雄前翅頂に性標をもつ)やイチモンジセセリ属(熱帯アジア山岳地帯に孤立した数種を含む)は属として極めて均質だが、オオチャバネセセリ属は異質の種の集まりで、将来属を幾つかに分ける必要性があるかとも思われる。ヨーロッパにはこの仲間は少ないが、南部にピグミーチャバネセセリGegenes pumilioなどアフリカチャバネセセリ属Gegenesの2種を産し、ゆえに一般には、ゲゲネス類と呼称されている。
 
私見を(「中国のチョウ」の種解説文と写真の再掲を交えながら)幾つか羅列しておきます。
 
【Ⅰ】
上記の後者論文でPolytremisからZenoniaに移されているタイリクタッパンチャバネセセリeltolaに関しては、前者論文では、また別の検証が成されています。すなわち、後者論文ではlubrarisのみを狭義のPolytremisとし、eltola, zenoをZenoniaに、そのほかの大多数の旧・Polytremisの種を Zinaidaとして、互いに遠い類縁関係に置きました。殊に、Zenonia+Zinaidaと狭義のPolytremisの間には、別属のIton属の種が置かれることで示されるように、直接の類縁を否定しています。一方、前者論文によれば、eltolaはlubrarisと極めて近い類縁性を有しています(種段階で相同のレベル?)。次いで、その両種の姉妹種としてdiscreteが置かれ、それらを含む分枝には、さらに後者論文でZenoniaに包括されているうちの一部の種(オオチャバネセセリを含む)も配置されています。すなわち、広くPolytremisとして捉えた場合は単系統であっても、Zenoniaに於いては単系統ではないことになります。それはともかく、僕はタッパンチャバネセセリeltola? ssp.tappana、タイリクタッパンチャバネセセリeltola、ニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreteの関係が把握し得ていません。少なくとも僕がEvansに従ってニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreteとした種に関しては、雄交尾器の構造(“オオイチモンジセセリ”のところで紹介)に、Zinaidaの多くの種と属単位での有意差はないと思うのですが。
↓「中国のチョウ」の解説文(366頁)を再掲しておきます。
 
346 ニセタイリクタッパンチャバネセセリ(新称) Polytremis discrete
白水(1960)は、台湾産のタッパンチャバネセセリPolytremis eltola tappanaを、大陸産の真のeltolaとはおそらく別種であろうと示唆している(白水のtappanaの挿図をEvansの原名亜種挿図と比べるとdorsumの概形は似るが、valvaのharpe腹縁は張り出さず、末端突起が著しく伸長する)。とすればeltolaの種小名は大陸産のみ使用されることになり、その和名を仮にタイリクタッパンチャバネセセリとしておく。本種はこれによく似たさらに別の種で、前翅中室と第二室の白斑が著しく大きく、雄交尾器も、uncusは基端が強く背向し後端が押しつぶされた状態、valvaは単調な横長の方形、phallusのperi-vesical area腹端から生じる骨片は、aedeagus本体から分離伸長し、後端が二分して鋸歯を伴うなど顕著な差が見られる。原名亜種はヒマラヤ地方からインドシナ半島にかけて分布し、中国大陸産は亜種feliciaに属する。分布域はかなり広くホンコン周辺から雲南、四川に至る。6月上旬(四川省峨眉山)と8月上旬(同・玉塁山)に、鬱閉した林内で、ともに新鮮な1雄を撮影している。D(226頁9、227頁7)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
右がニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discrete
四川省峨眉山山麓、標高600m付近。1990年5月29日。
(中と左はミヤマチャバネセセリ、山東省煙台市近郊、標高300m付近。1994年4月18日)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
右がニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discrete
四川省都江堰市玉塁山、標高700m付近。1991年8月5日。
(中はBaoris sp./右はCaltoris bromus)
 




Polytremis sp.
広西壮族自治区花坪原生林。2010年6月30日。
 




Polytremis sp.
ベトナム・サパ。2009年3月10日。
 
*上記4枚の種特定は、ブログアップの時間切れのため、あとで行います。
 
【Ⅱ】
両方の論文で共通して示されている解析結果は、オオチャバネセセリpellucidaとタイワンオオチャバネセセリzina(中国大陸南半部に広く分布し白水図鑑において1雌のみの記録が示されている台湾産オオチャバネセセリも後者論文に従うとzinaに属するようです)が姉妹種に位置づけられていることです。しかし、両種の雄交尾器を比較する限りに於いては、Polytremisとして両極の(正反対の)特徴が示されています。ことにオオチャバネセセリの雄交尾器の形状は、lubrarisやeltolaやZinaida各種を含む全てのPolytremisの種と(Gegenes群全体で見ても)顕著に異なります。これをどう解釈するか。
⓵通常、雄交尾器の形状がここまで相違していれば、近い類縁に置かれることは考えられません。しかし、ナガサキアゲハ群に於けるアカネアゲハのような例外もあります。このペアも例外のひとつかも知れない。
⓶遺伝的に近いと示されるのは、その情報処理の過程?で(平面上に)示されているに過ぎず、実質上の類縁は相当に離れている(ミヤマシロチョウ/チベットミヤマシロチョウの関係性と逆パターン)。
⓷オオチャバネセセリpellucidaの雄交尾器被検サンプルについては問題ない(川副の図も相同)のですが、zinaに関してはミスサンプルの可能性がある?
⓸そのほか。
雄交尾器の形状で判断する限り、オオチャバネセセリpellucidaが他の全Polytremisに対置するように思えるのです。
 
【Ⅲ】
後者論文ではZinaidaを単系統と見做した上で4つの小グループに分け、それぞれの種やグループ間の姉妹関係が示されていますが、matsuiiに関しては「材料不足」ということで、姉妹群の特定を保留しています。matsuiは1999年に日本人によって新種記載が為されていますが、これは疑いもなく、僕が「中国のチョウ」で、「Evansのカタログに見あたらない未記載種」“オオイチモンジセセリ”として生態写真と雄交尾器の図を示したものです。
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
オオイチモンジセセリ(オオチャバネセセリ属の未記載種) Polytremis sp.
左と中:四川省都江堰市青城山(標高800m付近)。1989年6月17日。
(右はコモンオオチャバネセセリ、大邑原始林、標高1700m付近、1991年8月9日)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
「オオイチモンジセセリPolytremis sp.」の雄交尾器図*
(1は、「ニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discreta」)
*ペニスのエデアグスに生じる骨片が片側しか発達しないのは、この種固有の特徴。
↓「中国のチョウ」解説文再掲(365‐366頁)
 
345 オオイチモンジセセリ(新称) Polytremis sp.
写真は、四川省都江堰市の青城山から青城山後山に向かう車道と川の畔の農家の間に形成された竹林(マダケ属)の葉上に静止していた雄。タイワンチャバネセセリPelopidas sinensisに似るが、後翅裏面基方の白斑を欠き、外側の4個の白斑はほぼ一列で、イチモンジセセリParnara guttataに類似する。表面の白い性標からは、チャバネセセリ属の種であることを思わせるが、雄交尾器を調べてみたところ、イチモンジセセリ属Parnaraでもチャバネセセリ属Pelopidasでもなく、オオチャバネセセリ属Polytremisの種であることが判明した。一般にオオチャバネ属の種は性標を欠くが、キライザンチャバネセセリP.mencia(中国東北部、台湾?-後注:P.kiraizanaに要訂正)など2種(後注:4種)は性標持つ。しかしEvansの雄交尾器略図や記述から判断すると、本種はそれら性標を持つ2種ではなく、むしろ性標も欠き外観も異なるニセタイリクタッパンチャバネセセリにより近縁な、Evansのカタログに未掲の種であると思われる。雄交尾器はdiscreta同様tegumenの基縁が背方に突き出した“鶏冠”状だが、やや前後に長く、tegumen後端は鉤状に鋭く曲がる。Gnathos(後注:Gunathosと誤記=以下同)は良く発達し、後端が丸い鈍頭となって後方に突き出す。Valvaの概形はタッパンチャバネセセリP.eltola tappanaに類似しharpe末端が強く背方へ伸長して多数の小鋸歯を伴う。Phallusにはaedeagus本体後端から、左右の大きさが不対称な、鋸歯を伴った一対の長い骨片を生じる。Juxtaは大きく、強く骨化する。本書では種名を保留したうえ、表記の和名を仮称しておく。D(227頁1・2)
 
僕は新種(を含む新分類群)の記載には全く趣味がありません。競って記載に熱を上げている研究者や愛好家が滑稽に見えてしまいます。まあそれは僕の勝手で、きっとエリート研究者やお金持ちコレクターたちにとっては、最優先事項なんでしょうけれど、、、。それはそれでいいです。でも論文を発表する人は、先行の仕事を(それを発表した人間がたとえ非エリートであったとしても)、ちゃんとチェックして、敬意を表しておくべきではないんでしょうか?それを「当たり前のように」無視して平然としているのは、研究者である以前に、人間として失格なのではないのだろうか、と僕は思うのですがね(現在の大多数の研究者とか愛好家に当て嵌まります、日本の文化がそれを良しとする体質なので、仕方がない事なんでしょうけれど)。
 
【Ⅳ】
1998年の「中国のチョウ」刊行時点で僕が撮影したオオチャバネセセリ属の種は、上記「ニセタイリクタッパンチャバネセセリ」「オオイチモンジセセリ」に加えて、もう1種あります。ただし1個体のみの撮影、雄交尾器のチェックも成していません。その時点では、暫定的にオオチャバネセセリの亜種としておきました。
↓「中国のチョウ」の解説文(365頁)再掲
 
344  コモンオオチャバネセセリ(新称) Polytremis pellucida ssp.
オオチャバネセセリ属Polytremisは、Evansによると東アジア~東南アジアに11種が知られているが、川副・若林(1975)が指摘するように、その実態はいくつかの異なった自然群の集合体である可能性が強い。このうちluburicans, eltola, tappana, discretaおよび“オオイチモンジセセリ”などは、雄交尾器の形状から見て明らかに一自然群に属するが、少なくてもオオチャバネセセリP.pellucidaは雄交尾器の構造が明らかに異なり、上記諸種とはかなり類縁的に離れた存在であると考えられる。四川省大邑原始林内の渓流に沿った登山道脇で、イチモンジセセリParnara guttataとともに、キイチゴ属の花に吸蜜に来ていた写真の個体は、大型で前翅長は2㎝に達し、翅型はやや幅広く後翅肛角はあまり突出せず、裏面地色は暗色で後翅には丸味を帯びた小点列が白く浮き立つ。白水(1960)に図示された台湾産オオチャバネセセリによく似ている。亜種(Evansによると中国大陸では東南部の福建省に亜種quantaが知られているが、本個体の斑紋構成はその記述に合致しない)の帰属を保留したうえで、暫定的にpellucidaに含め、表記の和名を与えておく。(D227頁3)
 
その後、2009年に、上記と同じ場所(四川省大邑原生林=西嶺雪山中腹)で、多数の“コモンオオチャバネセセリ”を撮影しました。それらの個体は、上記の後者論文の標本サンプルに照らし合わせると、Polytremis (Zinaida) nascensに相当します。外観上の固有の特徴は、前翅表中室の白斑が1個であり、1b室中央付近から内縁寄りに、分断された性標の痕跡とも、性標の位置にたまたま(?)出現した微小な通常斑紋ともとれる、断続的な白斑が認められることです。上記論文に示された雄交尾器をチェックした限りでは、全体的にはZinaidaとして(ニセタイリクチャバネセセリなどを含む広義のPolytremisとしても)一般型。Phallusのaedeagus末端からは鋸歯を伴った一対の突起が良く発達し、suprazonal-sheath内部にも明瞭な骨片塊*が生じます(*Zinaidaに含まれる種には存在する種としない種がある)。固有の特徴は、valvaのharpe末端がampullaを覆う鍬状突起となることに加え、その基方にもう一つ大きな鍬状突起を生じることです。
 
















コモンオオチャバネセセリPolytremis nascens。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山に同じ:標高1700m付近)。
 
【V】
なにしろ僕は、オオチャバネセセリやPolytremis属については、全く知識がない、と言っても過言ではありません。同定に関しても、(知識を持っている人なら)誰でも知っていることを、分からないでいるのかも 知れない、ということを断っておきます。
 
この2009年8月7日(この時はオオスジグロチョウの撮影がメイン)、大邑原生林(西嶺雪山)の標高1700m付近の渓谷に咲く“オオアジサイ(通称Aspera=中国を代表する野生アジサイのひとつ=それについては過去ブログで詳しく記述しているので参照されたし)”には、上で紹介した多数のPolytremis (Zinaida) nascensのほかに、別のオオチャバネセセリ属の種も訪れていました。
 
前翅表中室に2個の大きな白斑があり、下の一個がオオチャバネセセリでは第2室の白斑に向かってほぼ直線状(緩く「く」の字状)に続くのですが、本集団では、大きく外れます。我ながら情けないことに、この種の特定が出来ないでいます。以下、お門違いの見解だと恥ずかしいという前提で、可能性としては4つ。
[1] nascensの雌ってことはないでしょうか?他のPolytremisの種は雌雄同型のはずだけれど、Hesperiaなどは雌雄異形だし、もしかすると、という可能性(まあ違うでしょうが)。
[2] 次に、これも違うと思いますが、lubricansキモンチャバネセセリ(中国各地に普遍的に分布)の可能性は? 実はlubricansの外観的特徴は、他のPolytremis(Zinaida)の数種とよく似ていて、僕は区別点を把握していません。一応、白水図鑑などによると、後翅の白斑が、(いわゆるZinaida属する)他の類似各種のように4個並ばず、上半分(概ね2個)だけで下半分を欠く、と言う事なのですが、ここで撮影 した個体に関しては、どちらとも言えないのです。真正のPolytremisの唯一の種とされるlubricensキモンチャバネセセリは、中国ではごくポピュラーな種なので、これであっても良いような気もします。
[3][4] でもまあ、普通に考えれば、やはり(後者論文で)Zinaidaに所属するのどれかの種でしょうね。その場合、オオチャバネセセリの姉妹種とされるzinaなのか、それとはかなり離れた系統関係に位置するgiganteaなのか、僕には判別不能です(一応zinaとしておきますが)。
 
それにしても(【Ⅱ】で記したように)、雄交尾器の形状が対極の、オオチャバネセセリpellucidaとタイワンオオチャバネセセリzinaが姉妹群であることを、2つの論文とも示しているわけで、、、今後より詳しい検証を行っていきたいです。
 














タイワンチャバネセセリPolytremis zina。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山:標高1700m付近)。
*上写真の下個体、上から2枚目の右個体、4枚目の左個体、5‐6枚目の右個体は、コモンチャバネセセリ。
*この場所では、コモンオオチャバネセセリとタイワンオオチャバネセセリのほかに、ゲゲネス類の種としては、イチモンジセセリParnara guttataも撮影しているはずですが、写真が見つからないので、今回は割愛します。
 
・・・・・・・・・・
 
前回のブログで、同じオオアジサイに訪花するホタルガの写真を紹介しました。他にもこの場所では、多数の蝶を撮影しています。その一部を紹介しておきます。
 


ニセアオバセセリChoaspes xanthopogon。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
*詳細については「中国のチョウ」を参照願います。
 


マガリバセセリApostictpterus fuliginosus。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
最も不思議な翅を持つ蝶のひとつです。前翅の先半2/3辺りのところで、外側に折れ曲がっています。異常型ではなく、これが正常な姿なのです。大抵の人は採集後に展翅して翅を平らにしてしまうので、その特異さが気付かれていません。僕は、この蝶の持つ特異さに注目すべきであると、以前から言い続けている(「海の向こうの兄妹たち・下巻」などに詳しく記述)のですが、全く無視されたままです。
 




オオスジグロチョウPieris extensa(上写真雄/下写真雌)2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
一見、同地にも混棲する、エゾスジグロチョウPieris napiの近縁種(例えば日本のスジグロチョウPieris meleteなども同様)のように思えます(実際多くの文献でそのように記されている)が、それとは類縁が全く離れた、この地域に固有の、特異な位置づけにある種です(分布圏はジャイアントパンダのそれとほぼ重なります)。詳しくは「中国西南部の蝶②シロチョウの仲間」を参照してください。
 


キンイロフチベニシジミ Kulua blahma 大邑原生林、標高1800m付近、2011年7月17日
「中国のチョウ」で、僕が最も力を注いで記述したのが、ベニシジミの仲間(シジミチョウ科ベニシジミ族)です。しかし、全く無視されています。その後「中国西南部の蝶①ベニシジミの仲間」として単行本化し、自主制作販売を行ったのですが、やはり完全無視されたままです。無視されるのは、それでも良いのですが、僕が発表した見解と同様の意見を、後に「正規の研究者」が発表し、僕の先行した仕事が、逆に「盗作」扱いされたりします。そんなことは有ってはならないと思うのですが、(繰り返し書きますが)それが平然と許されるのが、日本の情けない「文化」なわけです。
 
ベニシジミの仲間とキンイロフチベニシジミに関しての、幾つかの重要事項を、箇条書きで留めておきましょう。
 
ベニシジミ族を、「ベニシジミ節」と「ウラフチベニシジミ節」の2つのセクションに大別する、という見解が主流です。しかし、基本的な構造は、両者で大きく異なっているわけではありません。そもそも「ベニシジミ節」自体が単系統ではないし、「ウラフチベニシジミ節」の固有の特徴とされる形質も、限られた種(ウラフチベニシジミとその近縁数種)が相当するだけです。両者を合わせて、改めて総体的に俯瞰すべきです。
 
ベニシジミの仲間の分類に於ける、最も重要な指標形質は、雄交尾器のjuxtaという部分の構造です。他の蝶に見られない、独特で非常に複雑な構造を持っていて、マクロ写真でも、単純な図でも表現することが難しいのです。しかし、そこに当たらない限りは、形態による系統分類には取り組めません。
 
日本のベニシジミもそうですが、ベニシジミの仲間は、季節によって翅型や斑紋などが大きく異なります。そのことから、種の特定が誤って為されている場合が少なくありません(具体例は割愛)。
 
キンイロフチベニシジミは、外観が顕著に異なる(かつ同所的に分布することもある)フカミドリフチベニシジミと、雄交尾器の形状が、ほぼ相同です。その意味するところは、、、、、以下、学名とかを含めて、時間がないので省略。
 


メスアカミドリシジミ属の一種 Chrysozephyrus sp. (大邑原生林、標高1800m付近、2011年7月17日、上のキンイロフチベニシジミ撮影時、カメラの10㎝ほど下に止まっていた)
*種解説は、話が長くなるので省略。







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日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[上]

2021-06-27 20:24:00 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶



はじめに表題についての注記をしておくと、「アパートの裏山- Nature of Misty Hill青梅市霞丘陵の自然」の紹介の中で、ここのところ立て続けにオオチャバネセセリの写真を載せています。それに、確か前回の記事の末尾にも「次はオオチャバネセセリについての記事を取り上げます」とか記したように思うので、「裏山シリーズ」とは別に「日本の蝶(その3)」として纏めてみました(考えてみれば「その2:下」もまだ掲載していない)。

1(ウスバシロチョウ)も2(ダイミョウセセリ)も、必ずしも僕の守備範囲の蝶ではありません。でも「裏山」で観察を始めてから良く出会う蝶なので、書いてみることにしたのです。関心が薄い分、気負いがなくて良いです。オオチャバネセセリに関しては、その二者を上回るほど、全くと言って良い程、無知な存在ですが、成行き上チャレンジしてみます(ただしその話題は途中から、最初は無関係な話を)。

・・・・・・・・・・・・・・・

“教科書で教わった事”だけが「正しい」とされているらしい日本の社会では、“異論”を言うと「逆張り」とか見做されてしまうんですよね(あるいは「陰謀論」とかに)。でも僕にとっては事実だから、しょうがない。
*ちなみに、僕の書いた文章が複数の国語の教科書に載ってます(笑うしかないですけれどね)。

「オコエ選手(妹さんのほう)の話」
予告したまま、なかなか書き進めることが出来ません。差別、ヘイト、いじめの問題は、「単純」な問題(差別が無くなれば良いだけ)であると同時に、限りなく奥が深い。いじめにあっている本人が言うのだから間違いないです。

以下、別の話題です。

僕はニンジンが嫌いです。嫌いなんて生易しいもんじゃなくて、恐怖の対象です。見るだけで気分が悪くなり、食べると吐いてしまうこともあります。こうやって字を書いているだけでも嫌な気持ちになります。

西友ストアのサラダには、全部ニンジンが入っています。幾ら安くて(夜半額になる)美味しそうでも、ニンジンが混入しているために購入が叶いません。ジョナサンの日替わりランチに添えられたサラダにも、ニンジンが入っています。こちらはひとつひとつ指で取り除いています。みっとも無い事この上ないです。

無論、精神的なものです。といって、そう決めつけられるのは嫌です。客観的に見れば、決めつけられるのも何も、確かにその通りであるのですが、異なる解釈もできます。僕にとってのニンジン忌避が精神的な要因から来るものであれば、以下の例はどう解釈できるのでしょうか?

例えば、多くの人々にとっては、ご飯の中に一匹でも虫が混入していれば、嫌な気分になるのではないかと思います。中国の田舎に行くと、ご飯の上に、オケラとかトンボのヤゴとか芋虫とかゴキの親戚のようなよく分からない虫とかが盛られた、お客さんを歓迎するご馳走が出てきたりします。もちろん食べます。僕は平気です。でも「虫ご飯」は嫌がる人が多いでしょうね。それを嫌がることを、誰も「精神的なもの」とは言わないと思います。逆に、それを平気で食える僕がおかしいとされかねません。

もっと言えば、人肉。これは僕もさすが食えません。でも、純粋に「食べ物」として見た場合、ほかの哺乳類の肉と、同じではあります。しかし、皆(たぶん僕も)目の前に人肉料理を出されたなら、吐き気を催したり、気分が悪くなったりしてしまうはずです。そして、それは当たり前なことのわけです。

僕のニンジン嫌いが「精神的要因」に因るものであったとしても、“だから?”という思いでいます。
決めつけることは嫌い、ということ。

さて、ジョナサンで何をしているのか、といえば、インターネットで調べものをしています。

三日ほど前、オオチャバネセセリの事を書いた時に「“属Polytremisは単系統ではない”とは必ずしも限らない」と記したことが気になって、ネット上の論文をチェックしていたのです。

常識(分母は数人かも知れませんが、笑)では、“多系統”と考えられているはずです。まず、川副昭人氏が、 「日本蝶類大図鑑」(1976年、保育社)で、そう言っている。僕も「中国のチョウ」(1998年、東海大学出版会)で、川副氏の説を支持しています。

現在の日本の(蝶研究の世界での)見解では、オオチャバネセセリは、Polytremisから分離されて、Zinaidaとするのが主流な様です(今回、ウイキペディアをチェックして初めて知った)。

Polytremisの模式種は台湾にも分布するlubracansキモンチャバネセセリのはず(未確認)で、それとpellucidaオオチャバネセセリをはじめとする他の各種(台湾産で言えばeltola tappanaタッパンチャバネセセリとkiraizanaキライザンチャバネセセリ=図・解説無しでリスト中にPelopidas属の種として示されている)は、互いに形態的にもかなり異質です。Parnaraイチモンジセセリ属やPelopidasチャバネセセリ属など他の近縁各属の「属分類の区切り」の基準に合わせるなら、それぞれが別属に振り分けられて然るべきでしょう。

さらに、従来はPolytremisとは別属に置かれている種が、Polytremisとされている各種の中に割り込んで位置している(すなわち単系統ではない)可能性もあります。

そのような見解に立てば、Polytremisにはキモンチャバネセセリだけが所属し、タッパンチャバネセセリやオオチャバネセセリは、それぞれ別属に配置されるべきなのだと思われます。

ただ、別の見方も出来ると思います。より広い視野から、Polytremisとしての分類群に(他属の幾つかの種共々)含めてしまう見解。そうするとPolytremisは単系統ということになるわけです。

あるいは、オオチャバネセセリ属やイチモンジセセリを含めた、GegeniiniまたはBaorini(イチモンジセセリ族またはチャバネセセリ族、いわゆるゲゲネスグループ)の全てを一つの属に纏めてしまう。まあ常識的に考えて、さすがにそれはないでしょうけれど、それも一つの見解には違いないはずです。

その場合、属名はGegenesになるのかな? このグループの種は、ヨーロッパには、南縁付近の僅かな地域に(狭義の)ゲゲネス属の2種が分布しているだけですが、全てがヨーロッパ基準に置かれる学問体系の許、熱帯アジアやアフリカに数百種を擁する、イチモンジセセリ属、チャバネセセリ属、ユウレイセセリ属、オオチャバネセセリ属、ムモンセセリ属等々を差し置いて、ゲゲネス属がこのグループの代表とされているわけです。

結局のところ(他の生物群でもそうですが)、「大きく捉える(統合)」か「小さく捉えるか(細分)」か、どちらかになってしまいます。統合は、その証明に手間がかかる。決定することにリスクが伴う。細分は、(その処置が妥当かどうかはともかく)その結果自体は一応正しいことが多いでしょうから、リスクは少ない。

ということで、オオチャバネセセリが所属する属は、Polytremis改めZinaidaとしておくのが、妥当なところなのだと思います。

オオチャバネセセリの所属分類群については、これが最新の情報です(このあと原典にあったってみます)。が、時代を遡れば、もう一つ重要かつ膨大な作品がある。僕の座右の書のひとつ、W・H・エヴァンスの「セセリチョウ科のカタログ」(1937‐1955)。

日浦勇さん(当時「イチモンジセセリ研究会」を一緒にやっていた)が亡くなった時、奥さんから宮武頼夫氏を通して「青山さんへの形見に」と託されたのが、世界の全セセリの系統分類を纏めた、2000頁を超す3冊組の分厚い研究書です。

標本は一部しか示されていないのに対し、雄交尾器の図は全種について示されている、という、当時にとっては、まさに企画的な作品。ゲニタリアの図は、一見稚拙に思える略図ですが、分類指標となるポイントはきちんと押さえられています。

顕微鏡の性能も研究者の技術も向上した現在では、より詳細な見栄えのする図を描くことが出来るし、絵ではなくマクロ写真で実物を示すことが出来る。でも僕は、そのことが必ずしも「表現」の向上に繋がっているわけではない、と思っています。
*ちなみに東京の研究者は写真派、西日本の研究者は描画派、という傾向(伝統?)があるようです。

例えば、科学の発達により、「宇宙」(何兆光年離れた時空も、単に大気圏を外れただけに過ぎない地球の周囲の空間も、同じこの言葉に収斂してしまうことに対して僕はなんとなく違和感を覚えます)からの撮影を基にしたグーグルの詳細な地図が、一般の人も簡単に見ることが出来るようになっています。国土地理院の5万分の一図や、2万5000分の一図の需要は(少なくとも大衆にとっては)益々“不要の長物”になりつつあるようです。

その傾向は、全然間違っていますね。グーグルの地形図は、確かに“見たまま”を移し表しているわけではあるのですが、実際に見ているわけではない。高度感や傾斜感の判断は出来ません。等高線が示されていないからです。グーグルの地図と5万分の一の地図を比べると、いかに5万分の一図が素晴らしい存在であるか、今更ながらに実感できます。

交尾器(外部生殖器)の図の話に戻りましょう。画描よりも写真、これが現在の「進歩的」な人達の共通認識だと思います。しかし、写真は形を正確に示すことが出来ても、しばしば中身を捉えることが出来ていません。その点で、グーグルの地図と5万分の一の地図の関係と同様です。

例えば、カラスアゲハのグループ(種群)とミヤマカラスアゲハのグループ(種群)では、ユクスタという部分の隆起状況が系統分類上の最も重要な指標になります(僕以外誰も気付いていません、しばしば取り上げられる平面上の輪郭の凹凸は無関係)。デリケートで、かつ非常に安定した形質表現であり、それは写真では絶対に示せない。実際に“触れて”初めて認知することが出来るものです。ピンセットの先に触れた感触などで、膜質の部分からキチン化した部分への移行部分を探っていくのです。

これも例えば、ですが、「大きな突起がある」「全く突起がない」この2つの状況は、通常「別のもの」として捉えるはずです。「A=大きな突起がある」「B=全く突起がない」「C=全く突起がない」この3つの組み合わせの場合、「A対(B+C)」と分類されるはずです。

しかし、同じ全く突起がないもの同士を、同じ「形質」として捉えることが出来るかどうかと言うと、必ずしも
そうとは限らない。

同じ「突起がない」でも、許から「突起発生」とは無関係の場合もあれば、近縁種には突起があって、特定の集団のみ例外的に突起を欠く(消失した、或いは今後の発達を予測される)という場合もあるでしょう。両者は、一見同じに見えても意味が違うと思うのです。突起がない者同士の類縁上の距離は、あるものとない者のひとつとの間の距離より離れている場合もあるかも知れません。例えば「(A+B)対C」。

それを突き止めるには、近縁種との比較の中で俯瞰的に見渡すことが必要であり、また、痕跡の有無のような部分の確認は、ピンセットの先を通しての手触りの感覚で知らねばなりません。いずれにしろ「単体の写真」だけでは表し得ないのです。

全体の俯瞰と、基本的部分のチェック。ということで、70~80年前のアナログ仕事とはいえ、エヴァンスは素晴らしいです。段ボールのどこかに収めているのですが、今朝それを探し出そうとして重い段ボールを幾つか移動したら、S字状に曲がってしまっている背骨を更に痛めてしまったみたい*なので中断、それに下手に探し出して中身を読みだしたら、他の仕事が全く手に付かなくなる恐れがあります(笑)。

*昨日今日と猛烈に胸が苦しい(特に左胸の心臓の裏側辺り)。昨日K医院に行って心電図他いろいろ検査して貰ったのですが、全て正常なので、我慢するしかないです。

より新しい時代にも、セセリチョウ科各種の雄交尾器について詳しく触れた文献があります。川副昭人・若林守男著の「原色日本蝶類図鑑」(1976年、保育社)の川副氏による属解説(セセリチョウ科単独では更に前により詳しい報文が為されている)。こちらも段ボールの中で、今探し出せません。辛うじて手元にあるのが白水隆著(雄交尾器の描画は三枝豊平氏による)の「台湾蝶類大図鑑」(1960年、保育社)で、こちらも素晴らしい内容なのですが、台湾産に限られているのが難点です。

これら50年以上前の仕事以降にも、幾つかの重要な報文は有るはずです。殊に(現時点でインターネット上ではチェックし得て得ないのですけれど)T氏やC氏の論文。お二人(T氏は僕より年長、C氏は年少)とも素晴らしい能力を有した研究者で、僕も彼らから多くの事を学んでいます。

しかし、同時に、少なからぬ嫌な想いも受けている。それは、僕がしてきた数多くの嫌な想い(ヘイト、パワハラ、イジメ)の典型でもあります。殊にC氏(典型的な「エリートこそが正しい」とする立場の方だと思う)には、許しがたい思いを持っています。

僕は、有る時代、1970年代後半から1980年代初めにかけて、日本の石垣・西表島固有種「アサヒナキマダラセセリ」は中国大陸に広く分布する「ウスバキマダラセセリ」と同一種である、という事を検出し、その検証を正確に為すため、必死に取り組んでいました。

この「両種」は、アカセセリ・セクションのコキマダラセセリ属に含まれます(オオチャバネセセリやイチモンジセセリなどのゲゲネス・セクションなどと共に、広義のアカセセリ族の一員)。

コキマダラセセリ属の各種は、いわゆる「北方系」の蝶と信じられています。アサヒナキマダラセセリも、当初「北方系」のコキマダラセセリの近縁種が南の小島に閉じ込められて独自の進化を成したもの、と考えられていました。

しかし、コキマダラセセリ属の各種(更に範囲を広げてアカセセリ族の主要な種)の雄交尾器を詳細に比較していくと、アサヒナキマダラセセリは、コキマダラセセリをはじめとする(いわゆる)北方系の種との類縁上の繋がりは希薄で、台湾や朝鮮半島や中国大陸(インドシナ半島やヒマラヤ地方も含む)に広く分布するウスバキマダラセセリにごく近い存在であることが分かりました。しかも、東シナ海に沿った、朝鮮半島から中国大陸東南部の集団とは、寸分も相違がないのです。

(北方系のグループが古い時代に取り残されたのではなく)大陸対岸域に普通に広く分布しているウスバキマダラセセリが、(残存か移入かはともかく)比較的新しい時代に八重山諸島に残存し(または移り住み)、その外観が島嶼的環境の外圧によって特化したのに過ぎない、という確信を得たのです。

そのような見解は、その時点では誰も言ってなかったので、完全に無視されていました(すなわち当時のイリオモテヤマネコの分類上の処置と同じケースです、ちなみに、ウラナミジャノメ属についても同じ)。

それをきちんと検証すべく、ウスバキマダラセセリの各地域産、及び近縁種の徹底チェックを行うことにしました。80年代初めの時点で、必要なサンプルは、ほぼ揃えたのですが、当時まだ情報収集が困難だった中国奥地の個体群の一部が入手できません。それがなくとも全体像を纏めることは可能な段階には達していたのですが、どうしても完璧なチェックを行って置きたいと思い、人脈の広かったI.M氏(埼玉県の蝶愛好家の重鎮)の仲介で、当時、セセリチョウ科の気鋭の研究者(ハワイのビショップ博物館に在籍)であったC氏を始め、東南アジアのシジミチョウ科の研究者らを含めた何人かの方との会合をセッティングして頂きました。

そこでC氏に、僕がこれまでに纏めてきたウスバキマダラセセリの資料を渡して、協力を請いました。なんにしろC氏はプライドの高い、よく言えばアカデミックな立場の学研肌の方です。僕のような学歴もなく所属もない人間に対して 露骨に見下ろしているであろうことはありあり感じ取れます(数年後ハワイにハワイアンブルーとカメハメハバタフライの探索に行った際、現地のビショップ博物館のスタッフとの仲介の労を取って頂いたのだけれど、その時にも侮蔑的な言葉をかけられたのを忘れることが出来ません)。

何もC氏に限ったことではないのです。大半の研究者、あるいは金満コレクターのような人たちから、どれほど数多く露骨に侮蔑する言動を取られ続けてきたことか(本人たちには自覚はないのかも知れませんが)。それは、分野に関わらず、無数にです。

蝶の世界でいうと、白水隆先生、柴谷篤弘先生、川副昭人先生、日浦勇先生、、、(より新しい世代では、三枝豊平教授、矢田修氏、原聖樹さんらも)、、、、、本当に凄い人たちは、僕のような若輩にも、(身に余るほどの)敬意をもって接してくれているだけに、そうでない人たちの露骨な蔑みの態度が、より一層悲しく思えてくるのです。

C氏も、僕に対しては微塵も敬意を持ってくれていない一人でしょうね(笑)。それはそれで仕方がないことなのですが、許し難いことがあります。

「協力を期待」どころか、それとは正反対の行動をとられてしまった。「アサヒナキマダラセセリは実はウスバキマダラセセリである」という話を、僕に何の相談もなく、しれッと学術論文として発表してしまった。お会いした時点では、そのことに微塵とも気が付いていなかったようなのにも関わらずです。もちろん(お渡しした)僕の未発表報文も完全無視。参考文献も、謝辞もなし。同じようなデジャブ経験が(分野に関わらず)一体何度繰り返されてきたことか。大袈裟ではなく無数です。

ウスバキマダラセセリの実態にしても、僕が、それこそ血肉を削って調べ上げた仕事です。それが完全無視される。どれほど辛い事か、分かって頂けるでしょうか?

僕の報文は、リアルタイムでは結局表に出ないままになってしまったのですが、幸い当時非常勤講師をしていた専門学校の授業テキストとして使っていた印刷物が残っています。それも添附して、後に刊行した単行本の「中国のチョウ」のウスバキマダラセセリ(アカセセリ族)の項目に、12頁に亘り、相当に詳しく記述しています(この本自体の存在が完全無視されているようですが、(;´д`))。

「“アサヒナキマダラセセリがウスバキマダラセセリと同じ”だなんて、なにをお門違いの事を言っているの?」と嘲笑の的とされていたのが、今は一転して「アサヒナキマダラセセリの正体はウスバキマダラセセリ」と、学名や和名までが同じにされてしまっています。「偉い人」の意見は皆素直に聞くのです。

まあ、白水先生らは分かってくれている(亡くなる前に僕の報文を激賞する私信を頂いた)ので、それで良いのですが。
*ちなみに、新種アサヒナキマダラセセリの記載に使われた雄交尾器は、破損したサンプルです。僕以外は皆それに気が付いていません。

ということで、「アサヒナキマダラセセリ/ウスバキマダラセセリOchlodes subhyalina」に関しては、自信を持って様々な見解を述べることが可能なのですが、「オオチャバネセセリ」Polytremis pellucidaについては、80年前のエヴァンスと、50年近く前の川副氏の作品からの知識(それも文献自体に当たれず頭の中に覚えているもの)に頼るしかありません。

その間、オオチャバネセセリに関しても、C氏らはより詳細な報文を示されてと思います。でも、向こうが無視するなら、こちらも無視して敢えて調べることはしません(アジサイに関してもヒグラシに関しても同様です)。

いずれにせよ、オオチャバネセセリについては、僕は何にも知らないのに等しく、一から勉強です。

幸い、その全く無視されている「中国のチョウ」に、Polytremisについても、エヴァンスの見解を基にした記述を行っています。ここで(次回のブログで)それを紹介しておくことにします。

それと、その刊行10年余後の2009年夏の、四川省西嶺雪山に於ける、オオチャバネセセリ近縁種の観察記録。それを改めて紹介しておきたいと思います。

この続き(記事や写真の紹介)は明日のブログに予定しています。

今日紹介するのは、オオチャバネセセリとは全く無関係の写真です。四川省産オオチャバネセセリ近縁種を撮影していた時に、同じところでホタルガの写真を撮影しました。たまたま前回ブログの霞丘陵の記事でもホタルガの写真を紹介しました。

ホタルガの分布はどうなっているのだろう?と、インターネットで調べてみました。日本産のホタルガ自体の記事は無数にあるのですが、分布について示されているのはどれも国内だけで、国外に関する記述がありません。やっとひとつ見つけた記事には、「国外での分布は朝鮮半島、華北(中国北部)」「インドシナ半島などに近似の別種が分布」とされていました。

この四川省西部産は、どっちに属するのでしょうか? 地域的には中国北部よりも、どちらかと言えばインドシナ半島に近いと思うのですが、写真で判断する限り、別種とは思えません。

この種に限らず(動物植物に限らず)、日本での“いわゆる普通種”の国外での分布が、ネットをはじめとする文献で調べてもよく分からない場合が多いのです。

写真1

ホタルガ。青梅霞丘陵。2021年6月26日。

写真2

ホタルガ。四川省西嶺雪山(標高1700m付近)。2009年8月7日。






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