青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 27[最終回]

2011-03-14 11:02:17 | 湖北 恩施 長江ほか



(第27回) 付録2009.5.6



クサフジの茂みに白い蝶の姿が見えました。モンシロチョウより、やや大きめ、ミヤマシロチョウです。千遇一遍のチャンス、この機会を逃してはなりません。オーイ食事はしないのか!というバスの運ちゃんの声など完全無視です。






正確には、台湾産と同じタカサゴミヤマシロチョウ。日本の高山蝶ミヤマシロチョウとは、後翅裏面の中室の形が異なります。ミヤマシロチョウは平べったい三角形、こちらは後半部分が広く膨れます。また、後翅裏面が黄色味を帯びる前者と違って、こちらは前翅ともども純白、清楚さがひときわ引き立ちます。中国大陸では、前者は四川・雲南からチベットにかけての高地帯に分布していますが、こちらは湖北省や広西壮族自治区(前週、桂林北郊でも何頭か見かけたけれど、良い写真は写せなかった)などの、より標高の低い、いわば里山地帯に分布しています。日本のミヤマシロチョウはもとより、台湾のタカサゴシロチョウも高標高地に分布している(以前、南部山地の標高3000m近い稜線で撮影したことがある)ので、最も標高が低く温かい地域に棲むミヤマシロチョウの仲間、ということが出来るでしょう。












ついでに、3日前に、猫児坪で撮影したタカサゴミヤマシロチョウも披露しておきましょう。ゲンゲやクロツバメシジミを撮影した田んぼの、すぐ近くの小さな売店で、帰りのバス待ちをしていた時に現れたもの。一生懸命撮影している時にはどのチョウも姿を現さないのに、そんな時に限って現れるものです。吸蜜中の花はナワシロイチゴ、前回述べたように、日本産とは葉の形が著しく異なります。








ここでの訪花植物はクサフジ(猫児坪でもクサフジにやって来ていました)。Viciaソラマメ属は、羽状複葉の先端の一枚が欠け、ヒゲ状になっていることで、Astragalusゲンゲ属と区別がつきます。ゲンゲ属同様、様々な花序のタイプがあり、花が一個ずつ咲くカラスのエンドウなどは、ちょっと見は(ソラマメ属とは別属の)エンドウマメの花に良く似ています。総状花序の花が片側に寄って集まるクサフジ型の種は、日本産としてはクサフジの他にツルフジバカマなど数種があって、僕には未だに区別がつきません。従って、この花も、クサフジなのかツルフジバカマなのか、はたまたその他の種なのかは不明。






クサフジやツルフジバカマなどは、花序に小花を多数つけるため、チョウたちには大人気です。殊に、モンキチョウやルリシジミ・ツバメシジミなど、この植物を食草とするチョウたちをよく見かけます。写真は産卵中のルリシジミ。ルリシジミの仲間も同定が極めて難しいのですが、これはたぶんルリシジミそのものだと思います。








思わぬ収穫があったので、まあ良かったとしましょう。でも、宣昌へ到着して銀行に行ったら、やはりまだ振り込まれていなかった。明日まで待たねばなりません。一文無しです。知らない中国人にお金を借りるわけにもいかないし、後払いで泊めてもらえる宿を探さねばなりません。しかしどこも門前払い、パスポートを見せて、明朝支払う、などと言っても、端から信用などして貰えない。途方に暮れてしまいました。どだい、このような中途半端な都市の中途半端なホテルでは、パスポートの効力は全く無いのです。そこで一計、外国人の泊まる、町一番の大きなホテルに行けば何とかなるだろうと、4つ星の豪華ホテルを尋ねてみました。見事交渉成立。この5年間で宿泊した最高級のホテルと相成りました(宿泊費は5000円ほど)。贅沢に、ルームサービスの夜食です。






《次の中国紀行プレイバックは、『2009.5.19 湖南南山~広西芙蓉村 野生アジサイの探索に雨中50㎞踏破』です(掲載期日は未定)》









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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 26

2011-03-13 13:33:39 | 湖北 恩施 長江ほか



どこのTV局も、東北地方太平洋沖地震の報道一色です。
日本列島沈没という言葉が浮かんできます。津波の恐ろしさ、原発の放射能漏れの心配、約160人の方が被爆した可能性があるそうです。
建物の屋上などに取り残されている方々の復旧を少しでも早くと願います。      

あやこ



(第26回) 付録2009.5.6


2枚の地図の境目辺り(正確には最初の地図の右端・大坪)が、昨夜の宿泊地。ところどころ曲がりくねった赤ラインが国道318号線(上海~ラサ)、それと並行して走る太い黄ラインは建設中(この後間もなく開通)の高速50号線。数字は上海からのキロ数(実際の道標とは若干異なります)。東へ上海まで1500km弱、西へ成都まで1200㎞余、北へ北京、南へ香港(シンセン)まで、各1500㎞余。








数時間進んだところで、30分の昼食タイム。食費もないことだし、この機会に付近の植物を撮影しておくことに。






やや小ぶりの赤い野生バラ。広西から湖南・湖北にかけては、この類がメインみたいです。そのうち、広西壮族自治区(桂林地域)の紀行のどこかで、特集するつもりです。













遠目には、どう見てもユキヤナギ(バラ科シモツケ亜科シモツケ属)なのだけれど、拡大して確かめたら、違っていました。同じバラ科でも、ナシ亜科の、カナメモチ属かカマツカ属あたり。










スイカズラ。日本の種と同じでしょうか? ちなみに、アメリカ東部では、日本から帰化移入したスイカズラが猛烈な勢いで繁殖していて、現地の在来種然といった赴きを呈しているようです。以前、ケンタッキーとの州境近くから、ノックスビルの空港までタクシーをチャーターした時、品の良い初老のドライバーのオバチャンに、「テネシー州自慢の野生の花“ハニー・サックル・ローズ”は撮影したの?」と尋ねられ、「どんな花か知らない」と答えたら、わざわざ咲いているところに連れて行ってくれました。それがスイカズラ。複雑な思いでお礼を言った、という話は以前にしたっけ? なお、スイカズラの正確な英語名は、“ジャパニーズ・ハニー・サックル・ローズ”だそうです。






花は日本のナワシロイチゴそっくりだけれど、葉が随分異なります(葉の全形は、次回掲載の写真参照)。種としてのナワシロイチゴは、北海道からインドシナ半島、さらにはオーストラリアに至る広範囲に分布しているようなので、(なんとなく雑草的植物と思い込んでいるのだけれど)改めて各地産の比較検討を行えば、面白い結果が出るかも知れません。







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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 25

2011-03-12 11:10:04 | 湖北 恩施 長江ほか



昨日は大変な地震(東北地方太平洋沖地震)があり、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。

千葉で一人暮らしをしている母とは、今朝やっと連絡がとれました。家屋はかなり損傷した部分もありますが、本人が無事でよかったです。
妹たち、弟も一応無事が確認されました。青山さんもです。。。

あやこ




(第25回) 付録2009.5.5



僕は、これに弱いのです、その①。朝や夕、民家から流れ出る賄いの煙。








僕は、これに弱いのです、その②。夕暮れ時、畑仕事を終える前の農夫の姿。










僕は、これに弱いのです、その③。日が暮れて、灯りが点った民家や売店。






やっと宿のある町に辿り着きました。武漢までは500㎞近く、手前の宣昌までは約150㎞。宣昌~武漢350kmは、高速道で一気です。





夕食に用意してくれた麺は、食べ切れないほどの大盛り、よって、思いの他の料金を請求されてしまった。なんでこんなに高いのか?と文句を言ったら、大盛りだから当然、との返事。もとより、まずいソバを大量に食べられる訳がない。それでなくとも予算が底をついているのだから、踏んだり蹴ったりであります。






上りのバスが到着するのは午前10時頃、というので、朝はゆっくりと寝ていました。






窓の外の風景は、なかなかの趣です。でも、僕の心は、どんよりと落ち込んでいます。あと残り予算は、ぴったりバス運賃のみ、昼飯も食えません。それに、宣昌に着いて、果たしてATMに幾許か振り込まれているのか? 明日の月曜振り込みだったかも知れません。不安だらけで、途中、好適な環境に差し掛かっても、バスを乗り捨てるのは躊躇してしまいそうです。












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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 24

2011-03-11 14:02:27 | 湖北 恩施 長江ほか



(第24回) 付録2009.5.5


今、写真を整理しつつ思ったのですが、わざわざ湖北省の僻地まで足を運んだ本来の目的は、そもそも、この仲間の植物の探索です。それが、たとえ夕暮れ時で、枯れた株であったにしろ、数枚の写真を写しただけで通り過ぎてしまうとは、何たることかと。この仲間、というのは、アジサイ属のアスペラ類、そして、通説通りにアスペラ類に含めてしまっても良いのかどうか考えあぐねている、タマアジサイとその近縁数種のことです。アスペラ類は、中国における野生アジサイの主役です。真正の野生アジサイと言って良い、ヤマアジサイ類(ことにガクウツギの一群)は、長江流域以南にしか自生していません(湖北省西部は微妙なところ、一応非分布地帯となっていますが、湖南・広西省境付近に豊産するカラコンテリギの分布が、この辺りにまで達していても不思議ではないでしょう)。代わって、広い地域に亘り多数の種が繁栄しているのが、アスペラ類。狭義のアスペラ類は日本には分布せず、一応同じ仲間に含められるタマアジサイが固有分布します。アスペラとタマアジサイは、幾つかの共通点を持ちますが、苞葉が若い花序を包み込む際の様式が、大きく異なります。ともに真正のアジサイ類(ヤマアジサイ~ガクアジサイの一群や、ガクウツギ~カラコンテリギの一群)からは類縁的に大きく離れて位置付けされるにせよ、それぞれもまた、別のグループに所属せしめるべきではないか、と言うのが僕の考えです。先に“タマアジサイとその近縁数種”と記した、“数種”とは、1種か2種か、実はそれが問題です。確実なのは、日本(本州中部、伊豆諸島、三島列島黒島&トカラ列島口之島)産のタマアジサイの他に、台湾産のナガバノタマアジサイ。しかし、中国の文献を解読するに、どうやら湖北省の西部(というのはこの辺りのこと)産のアスペラ群の1固有種が、タマアジサイに近縁なのではないか、という可能性が浮かび上がってきます。といっても図示もされていないことですし、記載文に明確にタマアジサイとの共有固有形質が示されているわけでもないので、あくまで可能性に過ぎないのですけれど、“湖北省西部”と言う地域は、様々な重要生物が記録されている、いわば特別な地域でもあります。野生アジサイで言えば、もう一種、日本の限られた地域にのみ固有分布する、ギンバイソウ(外観上の印象に基づきアジサイとは別属に置かれていますが、本質的にはアジサイ属の一員)の、唯一の近縁種が、やはり湖北省西部から記録されているのです。今回出会った枯れ株は、果実の形態を見る限り、明らかに通常のアスペラ類で、タマアジサイと共通する固有形質は見出されません。いずれにしても花期は晩夏ですので、花序を包む苞葉の状態を観察するには、時期が早すぎます。でも、“第3のタマアジサイ”確認に向け、もう少し執念をもって、この株の観察に当たるべきだったと、今になって反省しているのです。









花色はサクラツツジに良く似ています。いずれにしてもミツバツツジの仲間。








ガマズミ属のガマズミ、またはその近縁種。






僕の悪い癖、その4、ブタを見ると、ついシャッターを切ってしまいます。中国では、イヌの代わりにブタを飼っているところが多いのかも。吠えないし、噛まないし、美味しいし、それにとても可愛い!!








白い壁と茶色い壁と黒い壁は、新旧の違い? 貧富の差? それとも、もっと別の意味が?









忠県(重慶市)~上海。はるばるやってきた長距離バスを見て感傷に浸れるのも、あと僅かなのかも知れません。高速道が全通すれば、すれ違ってもこれと言った想いは湧いてこないことでしょう。ちなみに重慶~上海は、佐世保(あや子さんの地元)~青森間にほぼ相当します。








野生アジサイ、ウリハダカエデの仲間と共に、僕が執着しているモミジイチゴの仲間、リュウキュウイチゴに良く似た葉を見つけました。残念なことに辺りは薄暗くなってしまっていて、まともな写真が写せません。






サルトリイバラの仲間。確か、沖縄で似た種を見かけたように思うのですが。





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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 23

2011-03-10 09:25:02 | 湖北 恩施 長江ほか



(第23回) 付録2009.5.5


これも中国各地でよく見かける、キバナノイカリソウに良く似た種(メギ科イカリソウ属)。






発育不良?のヤマブキでしょうか? それともシロヤマブキ(ヤマブキとは別属)? ちょっと気になります。






ジャニンジン(アブラナ科)だと思うのだけれど、花序の花が一か所に固まって、頭花状を成しています。








僕のお気に入りの植物が出て来ました。ウリハダカエデの仲間とモミジイチゴの仲間と野生アジサイ(殊にガクウツギ~カラコンテリギ)の仲間は、見かけた際には、何はともあれ写真を写しておきます。写真の種は、日本産でいえば、ウリハダカエデやホソエカエデよりも、ウリカエデにより近い種だと思います。台湾産の近縁種とも、とてもよく似ています。しかし、葉の欠刻具合や、葉裏の脈腋に小さな幕と僅かな褐色毛を生じることは、ヤクシマオナガカエデにも共通するように思えます。








普通のシャガ。






これは何だっけ? 中国各地でよく見かけるように思うのだけれど、、、。あてずっぽうに、バラ科?ツツジ科?






もう一度、タニウツギに良く似た種。日本のタニウツギに比べて、花が疎らですね。






白いのも同じ種でしょうか?






広州(シンセンとの間の東莞)からの寝台バス。






日が暮れて来ました。






僕。






あと4㎞。






恩施~シンセン。シンセン(センツェンと発音)の表示を見ると、なんだか懐かしくて胸が詰まります。広州やシンセンにも、高速道をすっ飛ばして、明日の深夜には着くのかも知れません。







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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 22

2011-03-09 09:12:48 | 湖北 恩施 長江ほか



(第22回) 付録2009.5.5



あと10km。






巴東から武漢へ。寝台バスなので、明日早朝に武漢に着くのでしょう。






利川から浙江省南部の温州へ。温州到着は、たぶん明日の夜(それとも明後日?)。






恩施から湖南省の省都・長沙へ。武漢を経由せず、宣昌から斜めに向かえば、意外に早く(明朝?)着きそうです。






最もスタンダードなスタイルの中国式トイレ。






「温嶺(新字体はパソコン筆記不可)」というのはどこなのでしょうか?






建始~沙市のマイクロバス(包車)。人数が揃えば出発するというやつです。このようなローカルバスは、高速道開通後も旧国道を走るのだと思います。






びっしり瓦を敷き詰めた重厚な屋根と、明るい白壁。この辺りの民家の特徴が表れているように思います。






重慶や成都をはじめ各地で最も普通に見られる花の一つ。キク科には違いないのだけれど、キク連なのかキオン連なのかメナモミ連なのか、今一つ良く解りません。






福建省(福州?アモイ?)まで行くのですね。2~3日はかかりそうだけれど、今は高速道路で一気に、明日の夜中には着けるのかも知れません。






こちらは上海。あと1500㎞ですから、時速75㎞で高速をぶっ飛ばしたとして、20時間。旧道をゆく宣昌までは5時間を見ておかねばならないので、丸1日、到着はやはり明日の夜でしょう。






建始に寄ってから恩施に向かうのか、恩施に寄ってから建始に向かうのか。






こちらはツアーバス。






“オナガシロゲンゲ”出現。でもシャッターは2枚切っただけ(後者はあとで拡大処理)。どうやら撮影時はシロツメグサとばかり思い込んでいたようです。








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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 21

2011-03-08 09:35:37 | 湖北 恩施 長江ほか



(第21回) 付録2009.5.5


そこそこに良い環境だと思うのですが、この天候と時刻(午後5時)では、チョウも姿を現さないでしょう。






スイカズラ科タニウツギ属。中国の各地では、この明るいピンクの花の種を良く見ます(同じ種なのか否かは未祥)。この帰り道でも、最も数多く見かけた花です。色調は日本のタニウツギにそっくりで、同一種の可能性もありそうです。






再びサクラ属の種。さっきのと同じかな?(この帰途の写真は、原則時系列順に紹介して行ってるので、同じ種が重複して登場します)








“核基地”とあったのでギョッとしたけれど、“核桃基地”でした。核桃とは何でしょうか? アーモンドは扁桃ですし、バントウは蟠桃(「西遊記」で孫悟空が盗み食いする不老不死の桃)。アーモンド同様、核の中の種子を生食するモモ属の栽培種なのかも知れません。アーモンドと桃は同じ仲間、両者はごく近縁で、原産地(西アジアと東アジア)と食べる部分(種子と果肉)が違うだけ、と考えても良いくらいです。ちなみにスモモは、(広義のサクラ属を分割する場合は)モモとは別属のスモモ属で、どちらかといえばモモ属よりも、ウメなどのアンズ属に近いようです。従って、早口言葉の“ももももも、すももももも”と言うのは間違い、“桃も桃、アーモンドも桃”と訂正せねばなりません(笑)。






野生アヤメの一種。








まだ4㎞ちょっとしか進んでない。あと11㎞余です(道標のキロ数は上海起算)。







僕の悪い癖、その3は、バスが通りかかると、ついシャッターを切ってしまうこと。でも(時刻表代わりに)意外と役に立つのです。






写真⑩
次の村が見えて来ました。一度下って、また上ります。






何と書いているのでしょうか?20数年中国に通っていて、未だに中国語を判読できません。いずれにしろ、ここは巴東県なのですね。西の建始県と東の長陽県の間に、ほんのしばらく、長江本流沿いに県庁所在都市がある(重慶市巫山県の隣町)巴東県が挟まっています。今歩いているところが、その部分というわけです。






シュロ属(または近縁のシュロチク属)の種。この仲間も在来分布地がはっきりしない一群で、きちんとチェックしておく必要があります。






帰化植物シロツメグサ。こういった光景を目に留めているものですから、次回のラスト写真のような勘違いをしてしまうのです。





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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 20

2011-03-07 08:52:08 | 湖北 恩施 長江ほか



(第20回) 付録2009.5.5


それなりの収穫はあったことですし、ここでの観察は切り上げて、のんびりと歩いて帰ることにしましょう。丁度午後4時、15㎞強ですから、3時間という見込みです。サンダル履きと言うのが、ちょっと心もとないですが、意地でもヒッチはせずに歩き通しましょう。どんな面白い花や昆虫に出会うかも知れないことですし。






言ってしまえば歩くことしか能のない僕にとって、15㎞余と言うのは、への河童です(次の週も、湖南省南山~広西壮族自治区芙蓉村間50km近くを歩くことになります)。でも15kmは、考えて見れば、甲子園球場から三宮駅(神戸)や梅田駅(大阪)、羽田空港から東京駅や横浜駅にほぼ等しい距離です。昔ならともかく(甲子園球場~三宮は中学校時代に何度か歩いた)、今、都心の道を15km歩いて見ようという気は起こりません。






こら!クスクスと笑うな!






何がおかしくて笑っているのでしょうか?








僕の悪い癖、その2(その1は子供に出会うとすぐシャッターを切ってしまうことでした)。民家、殊にその壁や屋根を写したくなってしまうことです。趣味と言って良いのかも知れません。雲南の白い民家(と言っても様式は様々)に比べて、重厚です。広西北部の民家に似ていますが、幾分垢抜けているような気がします。








カノコソウ。近年の分子系統学に拠れば、オミナエシ科は、マツムシソウ科ともども、スイカズラ科に編入されてしまいました(それに押し出されるように、ガマズミ属やソクズ属は別科に移動)。






ムラサキ科のホタルカズラ。






サクラ属の1種だと思うのですが、分類は難しい。野生のサクラは、むしろ中国が本場なのです。








キク科サワギク(キオン)連の種。そこから先は分かりません。フキに似た感じです(フキそのものかも知れない)。






ジャスミン属の1種? 葉の感じがちょっと違うかな?






スイカズラ科からレンプクソウ科に移行した、ガマズミ属のオオデマリ。たぶん栽培種の逸出(注)だと思います。





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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 19

2011-03-06 09:45:50 | 湖北 恩施 長江ほか



(第19回) 付録2009.5.5



 そう、白いゲンゲです。






花序の下部が垂れ気味のことなど(雨のせい?)雰囲気はちょっと異なります。でも“オナガシロゲンゲ”に違いありません。








畑に生えていますが、畔というわけではなく、雑然とした藪の中。






葉は、さらに大きい。







果実には軟毛がなく、平滑なように見えますが、これも雨のせいでしょうか。






クマバチの一種が訪れていたVicia属の種(カラスノエンドウ)。ゲンゲ属との違いは、羽状複葉が偶数、すなわち、先端の1葉を欠きます(代わりに巻き髭状となっている)。






隣の白ゲンゲにもやってきました。








でも、気のせいか、昨日観察した集団とは、どこか雰囲気が異なる。レンゲソウや近縁集団が、ほぼ完全な散形の花序をしているのに対し、心持ち、総状気味な感じがします。









下部の小花が垂れ下がり気味(天候によってはそれほど垂れ下がらない?)だから、そう感じるのでしょうか? 「巫山黄耆」の巫山県までは、さらに近く、ここから20㎞程です(歩いても行ける!)。小花が赤味を帯びて、花序が僅かに総状に見える(押しつけて標本にすればそう見える?)“オナガシロゲンゲ”が「巫山黄耆」なのかも知れません(ガク裂片の伸長の可否が、是か非かの鍵を握っています)。









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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 18

2011-03-05 09:19:48 | 湖北 恩施 長江ほか


(第18回) 付録2009.5.5

バスの車窓に顔をくっつけて、降りるべき場所をチェックします。いつも同じ失敗を繰り返すのですが、出来るだけ気に行った場所で降りたいため、良い環境に差し掛かっても、ついつい、もう少し先に行けば、もっと良いところがあるのではないか?と、慾を出してしまい、そのうち、つまらない環境に代わってしまって、焦り出します。大抵の場合、少し我慢して乗り続けていれば、再び好適な環境が現れるものなのですが、一度良い環境を通り過ぎてしまうと、もう次は無いのでは?と不安になって、結局は中途半端なところで下車してしまうことになるのです。

今回も、まさにその通り。一度絶好の環境で降りあぐね、次にまた良い環境の場所に差し掛かるとは(行きの観察から)分かってはいたのですが、やはり焦ってしまう。途中、ごくつまらない植生環境なのだけれど、見事な白いバラが咲いている場所がありました。写したいけれど、場所としては中途半端だし、今回はパス、と結論したのですが、そのうち後ろ髪を引かれ出しました。やっぱり写しておきたかったな、今なら間に合うかも、と。ぐちぐちと考えているうちに、バスはどんどん進んで行きます。やがて、安宿らしき建物が見える小集落に差し掛かったので、思い切って下車。降りてすぐ、失敗したかな?と。でももう手遅れです(いつも同じパターン)。安宿に荷物を置き、通りかかったタクシーを捕まえて、白バラのポイントに向かいます。距離は15~16㎞。歩けない距離ではないのだけれど、もう夕方近く、日が暮れてしまいます。タクシー代はぎりぎり払えそう、むろん片道分です。帰路は日が暮れても構わないので、のんびり歩いて帰ることにしましょう。


ということで、これがその白バラ。写真にすれば、どうっていうことは無いのですが、、、、、。でも、ここで予想外の収穫がありました。




















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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 17

2011-03-04 10:50:17 | 湖北 恩施 長江ほか


(第17回) 付録2009.5.5

【以降は、恩施から宣昌までの帰路の報告です】


宿の部屋と、前夜の食事。宿泊費と食事代は覚えていない。通常、僻地の宿は、10元(150円弱)から50元(約700円)程度が相場だと思います。宿賃が安くて安心していると、同程度の(3食だとそれ以上の)食事代を取られることがあるので注意が必要。









泊まった宿はバス停の前、一階が売店を兼ねています。






売店の中に座って、恩施行きのバス待ち。朝一番に板橋を出た、9時過ぎの便です。






向いが小(中?)学校らしく、沢山の子供たちが、お菓子や掻揚を買いに集まってきます。












地図の真ん中からやや左寄りの、「堤厂」という所だと思います。2048mがカッコいい山でしょうか? 板橋のすぐ北の県境を越えれば、三峡ダムのある(長江本流)重慶市奉節県や巫山県(「巫山黄耆」の原記載地)。この地図の左隣が、メタセコイアの野生地・利川県。昨日行った猫児坪(地図では猫儿)は、右上建始県の手前。東西の赤線は国道318号線で、右(東)は武漢を経て上海へ、左(西)は重慶・成都を経てラサに至ります。数字は上海からの距離数。この318号線に沿って、高速道が建設中(G5、おそらく上海~ラサ)で、この時点で9割方完成しているのですが、実際に通行可能になったのは、しばらく経ってからです(翌・2010年夏には、工事中だった宣昌~重慶間が、全線開通していた)。また、地図には載っていないけれど、上海~ラサを結ぶ、高速新幹線も建設中(現在、重慶~成都間が運行しています)。今回は、旧国道で、宣昌・武漢に向かいます。宣昌までの300㎞弱、高速で行けばあっという間(3時間弱)なのでしょうが、現在は旧国道と一部工事中の高速道を縫いつつ走行するため、8時間近くかかってしまいます(行きには悲惨な想いをしました、そのことは機会があれば改めて紹介するつもりでいます)。でも、その間の環境は素晴らしい!高速道が完成してしまえば、バスは旧国道を通らなくなってしまう。今のうちに、訪ねておかねばならないのですが、、、、。






お昼前に恩施バスターミナルに到着。すぐに、正午発の宣昌行き直通バスのチケットが手に入りました。途中、気に行った場所で降りて、一泊して探索・撮影を行いたいのですが、切符は終点まででないと売ってくれません。もう予算的にぎりぎり(明日午後入金予定、宣昌のATMで引き出せるのですけれど、それまでは2000円弱しか残っていない)、安宿一泊分と次のバス代を確保するので精一杯でしょう。好適な環境があって、宿泊施設があるところを見つけて、ピンポイントで下車しなくてはなりません。







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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 16

2011-03-03 09:39:09 | 湖北 恩施 長江ほか


(第16回)まとめ ≪中国の“里山ゲンゲ”4種について≫

中国科学院編(科学出版社刊)の中国植物志・第42巻第一分冊(1993年12月刊行)は、ゲンゲ属Astragalusを中心に組まれていて(他に同一亜族Coluteinaeに含まれる3属を収録)、ゲンゲ属278種の解説・189種の図版(線画)表示が成されています。

レンゲソウ(ゲンゲ)については、125番目に、Astragalus sinicus(中国名:紫云英)として、12行(他種とほぼ同じ分量かやや少なめ)の解説文と、図版で紹介されています。ゲンゲ属に於けるA.sinicusの位置付けは、8亜属中三番目の華黄耆亜属Sub-genus Astragalus(7section)、その第6-sectionの、傘序組Sect.Lotidium(8種)の一員、ということになっているようです。

8種中レンゲソウを含む5種(A.sinicusのほか、[124] A. tungensis洞川黄耆、[128] A.souliei蜀西巫山黄耆、[130] A.sutchuenensis四川黄耆、[131] A.wenxianensis文県黄耆)が図版表示されています。記述や図に於ける判断では、傘序組Sect.Lotidiumの共通項は、花序の小花が傘状(外側に向かって垂れ下がり気味という意?)に付くことのほか、果実が余り膨れないことと、葉がやや丸味を帯びる(ただし小型)ということぐらいのようで、いずれも花序は、レンゲソウのように(外観上の)散形とはならないようです。仮にある程度はレンゲソウに近いグループであるとはしても、レンゲソウのルーツを探る対象と成り得るような、ごく近い類縁関係には相当しないと考えられます。

図版に載っていない3種は、[126] A.yangtzeanus揚子黄耆、[127] A.wushanicus巫山黄耆、[129] A.fangensis房県黄耆。しかし、検索表では、どれもレンゲソウからは遠い位置に置かれていて、図版に示されている(レンゲソウとは明確に異なった特徴をもつ)各種と姉妹種関係にあるようです。検索表で見る限り、唯一レンゲソウと同一枝に置かれているのは、A.tungensis洞川黄耆ですが、子房などが無毛、という若干の共通点を持つにすぎず、それ以外の主要形質の特徴は、小葉が小さく細長いことなど、7種中最も隔たっているように思えます。

そもそも、傘序組Sect.Lotidiumの共通形質は、花序が“傘状”を呈している、という点だけのようであり、しかも、レンゲソウを除く7種は、いずれも花序が総状に伸長し、レンゲソウのように(外見上)完全な散形状になる種は見当たりません。Sect.Lotidiumのみならず、ゲンゲ属Astragalus全体を見渡しても、図に表示された全189種中、ごく数種だけが散形状の花序を呈していますが、それらの種は、ほかの形質が大きく異なっていて、レンゲソウとの間の強い類縁の想定には無理があります。

ということで、278種の中には、レンゲソウの姉妹集団たるべき「花序が集散型、種子が細長く、小葉が大型で幅広い卵型」の存在は、一種も見当たらない(*1)。むろん、この総説が発表されてから18年も経つわけですから、僕がチェックをし得ないでいるだけで、新たな分類体系によるレンゲソウ近縁種の知識が集積されている可能性は大いにあります。

とりあえず、上記の特徴を共有した、レンゲソウの姉妹集団(高山性の種を除く“里山性”の種に限る)を、僕なりにまとめてみました(レンゲソウ以外の和名は新称、産地名は僕の確認した地域のみ)。

■①レンゲソウ      浙江舟山・浙江杭州・広西桂林・湖北恩施・四川成都
□①bレンゲソウ(白花) 
■②ユンナンベニゲンゲ  雲南屏辺・雲南金平
■③ユンナンシロゲンゲ  雲南大理・雲南謄沖
■④オナガシロゲンゲ   湖北恩施

ガク裂片の長さは本体部分の長さとほぼ等しく、果実に軟毛を生じる→オナガシロゲンゲ
ガク裂片の長さは本体部分の長さとほぼ等しく、果実は平滑無毛
 花の色調は鮮やかなピンク部分と白色部に明瞭に分かれる(*2)→レンゲソウ
 花の色調は一様
   一様に紅色→ユンナンベニゲンゲ
   白色、または淡い紅色や黄色を帯びた白色→ユンナンシロゲンゲ

(*1)図版が示されていない3種を含むSect.Lotidiumの5種は、いずれも同じ報文により記載されていて(1915年)、うち、A.wushanicus巫山黄耆の摸式産地(固有種)の四川省(現・重慶市)Wushan巫山は、恩施とは目と鼻の先の三峡沿岸の都市。従って、この種が“オナガシロゲンゲ”に相当する可能性は大いにあると思う。図示は成されていず、記述のみで判断すると、小葉が大きく幅広いこと、および子房(オナガシロゲンゲでの確認は果実)に軟毛を生じる点では一致します。花色が“粉紅色”とあるのは、“淡く紅色を帯びた白花個体”と同義と考えて良いのかも知れません。ただし、花序は、レンゲソウのように傘形(≒散形状)とは記していず、他の種同様に疏松近傘形(≒総状)と記されています。また、最も特徴的であるべきガク裂片の形状については、余り詳しくは述べられていません(少なくても、長く伸長するとは書かれてはいず、むしろ長さ0.5~1.5㎜と、他の種同様に短く記されている)。ほかに、A.fangensis房県黄耆も摸式産地が湖北省西部(西北部)ですが、恩施からの距離はより遠く、A.sinicusとの共通形質も、より少ないように思われます。

(*2)竜骨弁、翼弁の基半部が白色、旗弁の内側が白地にピンク条、その他は濃ピンク色。



【写真Ⅰ】ガク裂片の差違を示す

左:レンゲソウ/右:オナガシロゲンゲ(ともに湖北省恩施)




【写真Ⅱ】レンゲソウ近縁群4種
●花序は散形。●小葉は大型卵形で幅広く先端が陥入。●朔果は著しく丸くはならない。●植物体に剛毛を生じない。

上段左2枚:レンゲソウ(左=浙江省舟山島、右=湖北省恩施)
上段右2枚:ユンナンベニゲンゲ(左=雲南省金平、右=雲南省屏辺)
下段左2枚:ユンナンシロゲンゲ(左=雲南省大理、右=雲南省騰沖)
下段右2枚:オナガシロゲンゲ(湖北省恩施)
(ほかに、雲南省保山~騰沖間の高黎貢山山頂付近の湿性草地で、著しく小型の集団を撮影・観察していますが、それについての見解は改めて述べたいと考えています)



【写真Ⅲ】各地産を含めたガク裂片の比較(オナガシロゲンゲのみが著しく細長く伸長し、他の各種と明確に異なることが分かります)

一段目:レンゲソウ
左端と2枚目[白花]:湖北省恩施市、3枚目と4枚目:浙江省舟山島、5枚目:広西壮族自治区龍勝県、右端:湖北省建始県
二段目と三段目:オナガシロゲンゲ
二段目:湖北省恩施市、三段目左2枚:湖北省建始県、右4枚:湖北省巴東県
四段目左2枚:ユンナンシロゲンゲ
左端:雲南省騰沖市、左から2枚目:雲南省大理市
四段目3~5枚目:ユンナンベニゲンゲ
雲南省屏辺県
四段目右端:雲南高黎貢山産の小型種







【写真Ⅳ】種子

上左:レンゲソウの若い果実(湖北恩施)、上右:オナガシロゲンゲの若い果実(湖北恩施)下左:ユンナンベニゲンゲの若い果実(雲南屏辺)、下中:ユンナンベニゲンゲの熟した果実(雲南屏辺)、下右:ユンナンシロゲンゲの若い果実と熟した果実(雲南大理)



【付記】
以前にも説明しましたが、Astragalus sinicus(漢字名:蓮華草/中国名:紫云英)に対しては、「ゲンゲ」「レンゲソウ」の2通りの和名が、ともに日常的に使用されています。ちなみに、正しい和名はこの2つのどちらかで「レンゲ」と呼ぶのは間違い、という指摘もありますが、何の根拠もないと思います(権力者とか教科書とかの柵で、いつの間にかそうなったのでしょう)。私見では、「レンゲ」「ゲンゲ」「レンゲソウ」どれで呼んでも良いのではないかと思います。当ブログでも、まちまちの名で呼んでいますが、別に意味はありません(一応、今回のまとめの項に於いては、A.sinicusの種名を「レンゲソウ」、属名と近縁3種の新称和名語尾、および漠然とした対象については「ゲンゲ」と統一しています)。

少し前に、コメント無しで写真だけを羅列した、ゲンゲ属(と思われる)の各種の中にも、四川省ミニャコンカ中腹産の白花種や、陝西省秦嶺山脈産の白花種のように、外観の印象がレンゲソウに良く似た種が幾つかあります。氷河末端の高山的環境に生育する前者や、花序が明らかな総状となり、小葉が小さくて幅広くならない後者などについては、(雲南高黎貢山産の小型種共々)項を改めて検証していきたいと考えています。




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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 15

2011-03-02 10:04:29 | 湖北 恩施 長江ほか



(第15回) 追記

このシリーズの冒頭にも記したように、2009年5月初頭の湖北省への探索行は、3部作として紹介していく予定でいます。すなわち、武漢・宣昌から恩施に向かう、作りかけの高速道を縫っての苦行ともいえるバス紀行(帰路についてはこのあと続けて紹介していきます)、探索第1日目の、建始県猫児坪での、野生バラを中心とした観察記、そして、今回の、絶壁の山の麓の「白いゲンゲ」観察記と続くわけです。

白いレンゲソウ、すなわち“オナガシロゲンゲ”は、この恩施北郊の絶壁の山の下で始めて目にした、と第3回目の項に記しました。しかし、今写真を整理していたら、前日に訪れた「猫児坪」で、すでに撮影・観察していたことが判明。どうやら、その時は単に赤いゲンゲに混じって生える(赤花種の)白花の変異と思っていたようです。改めて確認するに、これも“オナガシロゲンゲ”でした。と言うわけで、ここに付け加えて紹介しておくことにします。




道路の奥が猫児坪の集落。左の畑がレンゲソウの生育地。右の岩で、第二回に紹介したムシャクロツバメシジミの撮影を行っています。






浙江省舟山島のレンゲ畑にも水牛がいました。レンゲ畑と水牛はセットになって存在しているようです。








赤いゲンゲの中に、一輪だけ白いゲンゲが見えます。どう考えても、赤花種の白化変異個体。






ためしに拡大(実際にはここに示した写真よりずっと大きく拡大)して確かめてみたら、これもやっぱりガク裂片が長く伸長する“オナガシロゲンゲ”でした(赤花はもちろん普通のレンゲソウ)。






二つ並んだ白花もありました。






左端の赤花は普通のレンゲソウ、右の2つはオナガシロゲンゲです。








ガク裂片の長さを比べて見て下さい。








恩施北郊の個体も、改めて確認し直しておきましょう。拡大してピンボケ写真になったけれど、白花群落に混じっていた貧弱な赤花は、まぎれもなくガク裂片の短い普通のレンゲソウ。白花はもちろんオナガシロゲンゲです。










一方、ツートンカラーの群落の中の白花個体は、どうやら赤花種の白花変異のようです。すなわち、ツートンカラーの花同様、普通のレンゲソウ。拡大写真では、ガク片や花茎に随分毛が多く見えるのが気になりますが。







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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 14

2011-03-01 09:18:56 | 湖北 恩施 長江ほか



(第14回)



やっと反対側の民家に出たけれど、最初に行った畑よりは、ずっと上のようです。








道路は遥かに下方、日も暮れて来たし、早く下らねばなりません。











途中、あちこちに白花種ゲンゲ(新称“オナガシロゲンゲ”)の群落があります。








シロツメグサの群落もときどき出現。






オナガシロゲンゲ。改めてゆっくり見ると、(花色とガク裂片の長さ以外は)完全にレンゲソウそのものです。






日が完全に暮れかかった頃、道路に辿りつきました。田んぼの畦にも“オナガシロゲンゲ”の群落、スローシャッターで、かろうじて撮影した写真です。







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2009.5.4 湖北恩施 白いレンゲソウ 13

2011-02-28 09:22:14 | 湖北 恩施 長江ほか


(第13回)



山の斜面にも、白いゲンゲの群落が。











白いゲンゲ(白花種ゲンゲ)と、クローバー(シロツメグサ)。遠目には良く似ています。シロツメグサは、もちろん帰化植物(ヨーロッパ原産)。










同じく帰化植物のアカツメクサ(ムラサキツメクサ)も同じところに。花序の中に2重に花序を生じた奇型。






花を比べて見ました。花色以外の明確な差異は、白花種ではガク裂片が著しく伸長し、小花も前後に長いこと。後者は、詳しく言えば、伸長したガク裂片に押さえつけられることから、翼弁がより後方で外側へ折れ曲がるために、筒状様の基部もより長く見えるということでしょう。なお、上の写真の下方の花は、ツートンカラーの個体。基本的には赤花種と同じ花形です。













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