Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 8
☆Pedicularis chamissonisヨツバシオガマ
(撮影データ確認中)
北アルプス白馬鑓温泉 Aug.24,1993
北アルプス穂高岳沢 Jul.25,1986
(撮影場所確認中) Aug.3,1992
(撮影データ確認中)
岩手県早池峰 Jul.27,1993
ヨツバシオガマは日本の亜高山~高山帯で最もポピュラーなシオガマギク属の種だが、分布は日本列島(本州中部以北)と北の延長地域(サハリンなど)に限られ、中国大陸には分布していないように思われる。所属するとすれば轮枝群 Grex Cyclocladus 短唇亚群 Subgrex Brachychilaで、中国植物志のリストの中から対応種を当たってみたが、現時点では特定できないでいる。日本産のヨツバシオガマ自体も、近年のDNA解析に拠って、エゾヨツバシオガマP. chamissonisとヨツバシオガマP.japonicaに分割される傾向にある。ほかにも、レブンシオガマ、クチバシシオガマ、ハッコウダシオガマなどの下位分類群が知られているが、ここではそれらの区分は行わず、暫定的に全てをヨツバシオガマP. chamissonisとしておく。
1-1-2-2-2-2-2-2花序に粒状の塊は混じらない
1-1-2-2-2-2-2-2-1茎が多数に分岐する
1-1-2-2-2-2-2-2-1-1下唇はエプロン状に垂下する【Group Ⅷ】
〖26〗Pedicularis moupinensis 穆坪马先蒿
轮枝群 Grex Cyclocladus 短唇亚群 Subgrex Brachychila 穆坪系 Ser. Moupinenses
〖26〗穆坪马先蒿Pedicularis moupinensis
四川省西嶺雪山alt.3200m付近. Aug.6,2009(1/3枚目写真左と2枚目写真右個体は〖25〗Pedicularis davidii)
撮影地の四川省西嶺雪山の稜線沿いでは、後ほど紹介する〖25〗Pedicularis davidiiと常にセットで生えていた。全体のサイズがほぼ共通し、花がやや歪で、一見〖25〗の異常形か、開花末期の個体のように見えるが、これが正常な姿である。直立した一本の茎に総状の花序を付ける〖25〗と異なり、茎は良く分枝する。葉は羽状に全裂し、小葉も深裂、4枚づつ茎に輪生する。葉腋から伸びた各茎の上部に、総状に10前後の花からなる花序をつける。苞葉は一対で緑色。先端が掌状に広がる。萼筒は紡錘形、茎とともに赤紫色を呈し、上縁の鋸歯はごく短い。花は筒部を欠き、薄紫色。下唇の形は特異で、3片が分離しないままエプロン状に垂れ下がり、中央裂片に当たる部分が凸出する。嘴状上唇は中央より基部に近い部分で下方に折れ、やや膨れたのち細い棒状となって前方に伸長する。個々の花の形は日本のヨツバシオガマによく似ている。
1-1-2-2-2-2-2-2-1-2下唇は平開する【Group Ⅸ】
轮枝亚群 Subgrex Cyclocladus 纤细系 Ser. Graciles Maxim.
〖30〗纤细马先蒿Pedicularis gracilis
雲南省玉龍雪山(山麓の草原)alt.3100m付近. Aug.4,2004
花は小さくて目立たないが、草丈が高く1m前後になり、茎の途中に4~5枚が輪生する羽状葉の葉腋から、輪状に4~5本の側枝が分岐し、草原の中にあってひときわ目を惹く。萼片は茶褐色。花は主茎の上半部や側枝の葉腋ごとに輪生し、淡紅色、嘴状上唇を持つ種の一般型で、下唇は丸く3裂、上唇は立ち上がったあと先端に向かって余り捻じれることなく下降突出する。
**輪枝亜群には、ほかに青山の仮分類では舟形群として扱った〖34〗多花马先蒿Pedicularis floribunda
(山萝花系 Ser. Melampyriflorae)、および日本のセリバシオガマPedicularis keiskeiが含まれる。それらについては青山の検索リストに沿って、後ほど紹介する。