青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 6

2024-05-26 09:00:00 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 6



【10‐11】を青山(2014)では〖4‐9〗と同じ【Group Ⅲ】に含めたが、「中国植物志」では〖1‐9〗の「根葉群」とは異なる「長茎群」に含められる。また青山が【Group Ⅳ】とした【12‐13】も、同じく「長茎群」に所属する(系の段階で異なる)。



1-1-2-2-1-2羽状葉の裂片は大きく、下唇の中央片はごく小さい

1-1-2-2-1-2-1嘴状上唇は立ち上がる

〖10A〗 Pedicularis geosiphon地管马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae






四川省黄龍渓谷alt.3300m付近 Jul.5,2005

〖10B〗 Pedicularis.macrosiphon大管马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae




四川省ミニャコンカalt.3100m付近 Jul.2,2009




雲南省梅里雪山雨崩 alt.3300m付近 Jun.12,2009

写真が不鮮明なため断言はできないが、とりあえず同一種〖10〗とした。いずれも渓流沿いの林床の湿った苔上に生える。〖4~9〗同様に草丈が低く、花筒は細長く伸び、上唇は嘴状になるが、複葉は全裂し、各小葉は幅広く、互いに離れて位置し、羽状複葉に近い状態になる。葉面は比較的滑らかで、小葉の重鋸歯は鋭い。花は余り集まって咲かず、通常一株に1~数花。花色はピンク、喉の周辺が僅かに白い。下唇は平開し、中央裂片は側裂片より小さな楕円形、側裂片は幅広い。下唇の中央線に沿った部分が盛り上がる。嘴状上唇は、一度立ち上がって中間部でやや膨らみ、順次細まって下後方へ向けて突出する。後半部は濃い赤褐色を呈する。

**〖10A〗と〖10B〗を青山は同一種としたが、尹民の指摘に従い別種とする。



1-1-2-2-1-2-2嘴状上唇は下唇の上に寝る

〖11〗 Pedicularis muscicola 藓生马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae








陝西省秦嶺山中の渓谷沿いalt.1500m付近. Apr.21,2010

全体として〖10A〗Pedicularis geosiphon/〖10B〗Pedicularis macrosiphonに似るが、植物体が頑健な印象で、全裂する羽状葉は長さ10㎝を超し、長い柄を持ち放射状に開出する。その間から数本が集まって伸びる花茎状の花筒とともに、毛を密生する。萼片・苞葉片は未確認(〖10AB〗も)。寫眞で見る限り、花筒基部には小さな葉のようなものが集まっていて、それが苞葉片に相当するのかも知れない。下唇は中央裂片が小さく、全体のプロポーションは〖10AB〗と共通するが、側弁は上下により幅広く、縁は内側へ軽くウエーブする。嘴状上唇の基部は、余り顕著には立ち上がらず、順次細まりながら、向かって右に曲がりつつ下方に伸長する。基部の膨らんだ部分から、盲腸のような小突起を派出する。上唇も下唇同様のピンク色。本種は、四川省・雲南省には分布しない。



1-1-2-2-2花は葉腋につく

1-1-2-2-2-1茎は立ち上がらず花は長い筒部を欠く【Group Ⅳ】

1-1-2-2-2-1-1花は一様にピンク

〖12〗 P.axillaris 腋花马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 腋花系 Ser. Axillares






雲南省白水台alt.2400m付近. Jun.2,2009

1-1-2-2-2-1-2花は白い斑がある

植物体の大きさは〖4~11〗と同程度、花筒は伸長せず、萼片は花冠基部の葉腋から伸びた花茎の上部に存在する(花期の後期になって花筒が伸長する可能性もあるが、チェックした個体に於いては全てが萼片から直接花冠が開いていた)。茎は地を伏せ、多毛で重鋸歯をもつ全裂した羽状葉を多数対生する。萼筒は長毛に覆われた短い紡錘状で、上縁から濃紫褐色~濃褐色の5枚の葉状鱗片が開出する。花は一様にピンク色、下唇は幅広く、中央裂片と側裂片の分離が不明瞭(互いに重なっているのか未分離なのかの判断は写真では困難)。嘴状上唇は基部から斜めに立ち上がったのち中央付近で屈曲し、細まりつつ下方に向かう。基半部の背方は濃色でやや凌状に盛り上がる。

〖13〗(same species as the 12)






雲南省麗江玉龍雪山山麓alt.3100m付近. Aug.1,1995

〖12〗に似るが下唇は白とピンクの斑で下縁が広がる扇状、全体としてやや発達が悪い。

**〖12〗と〖13〗を青山は別種としたが、尹民の指摘に従い同一種とする。






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