会報から 一部
活 動 報 告 平成30年度思春期精神保健対策専門研修会
日時u平成30年8月2日10時~16時 場所uやつしろハーモニーホール 大会議室A・B
主催/熊本県精神福祉保健センター・熊本こころのケアセンター
第1部 『若者のための自殺予防 ~教育機関における自殺問題を中心に~』
講師 NPO法人自死遺族支援ネットワークRe 代表 山口和浩 氏
【略歴】1981年生れ。長崎大学教育学部卒。現在、社会福祉法人カメリア大村椿の森学園学園長。中学2年の時、父親を自殺で亡くし、奨学金を受け大学へ。学生時代、あしなが運動を中心にボランティア活動。自殺問題では、2000年作文集「自殺って言えない。」(あしなが育英会編)、2001年首相陳情、2002年「自殺って言えなかった。」(サンマーク出版)に参加。2006年、長崎県で自死遺族の分かち合いの会発足。翌年2月NPO法人自死遺族支援ネットワークReを立ち上げ、2008年「自殺実態白書2008」などに関わる。
報 告 江藤圭子
夏休みの終わり前後、この頃に命を絶つ青少年の報道を見て、毎年、胸が締め付けられる思いでいます。不登校のそばにいるものとして自殺対策のお話を聴けるとのことで研修会に参加しました。深刻な内容で整理できてない部分がありますが、私にお伝えできることがあるかもしれないので抜粋して書いて見ます。
お話をされた山口和浩さんは自殺した父親の第一発見者で、自分を責めてずっと誰にも話せなかった、20数年経った今も鮮明でその後の辛い日々を語られました。そして遺族や近しい所にいた人の傷つきとサポートについて語られました。
遺族のリスクは周りの人の2倍以上。心の変化は見えない。体の変化を。見えない心よりも見える体をサポートする、そして生活が安定することが大事。
自殺する人は心理的狭窄になっている、周りが見えなくなって、もう、死んで終わりになる以外方法がないんだという考え方に支配されてしまう。
自殺に関する大事な事として
自殺に関してよく言われる次のことは誤解である。
①死ぬと言ってる人に限って死にはしない ②自殺の危険度が高い人は覚悟している、今さら何を言っても無駄でしょ ③未遂に終わった人は死ぬつもりはなかったんでしょう ④自殺の話をする事は誘発につながる ⑤自殺は突然起きるので不可能である
子どもの自殺は
命を大切にしないから自殺が減らないのではなく、命を大切にできない状況に追い詰められている。
学校的背景、家庭的背景、個人的背景などいろんな問題が重なり合う中で亡くなっている。
子どもにはその状況でどう生きるかを知ってほしい。助けを求める、ひとりで抱え込まないこと。
子どもたちへの自殺予防教育が大事。
アメリカではSOSプログラム、「ACT」「 STARS」などの自殺予防教育がある。
日本でも、阪中順子さん(臨床心理士)は "きょうしつ"という言葉をキーワードにして自殺予防プログラムをやっている。 き 気づいて よ よく聴き う 受けとめて し しんらいできる人に つ つなげよう
日本財団が2016年に全国二千人を対象にやった調査では4人に1人が死にたいと考えたとの結果がある。また未遂は全国推計53万人と言われ、そして5人に1人は身近な人を自殺で亡くしている。自殺は身近な所にあるはず。
お話は不登校の問題と重なり合う事が多く、問題を抱えた子どもをサポートする時は一人ひとり、背景が違う、受け取り方、感じ方、生活基盤によっても変わる、心の変化はわからない、身体の変化は分かりやすい。見えない心をサポートする時は見える身体の変化を見ることから、と話されました。
私は「学校に行けない苦しみ」を子どもの身体の変化から感じ取る事が出来ていただろうかと、思いました。
こうして報告を書いていても佐賀で中学生が逝ってしまいました。この時期だけとは言いませんが、身近な子どもたちの様子を、より気にかけてみてはどうでしょう。