5 息子の自立が親の夢
E母: この春、息子が進学のため家を離れました。浪人もしていたので、最悪のこと、例えば受験しないかもしれない、また落ちたら勉強を続けられなくなるかも知れない、とか考えました。そして、「ダメだったら、息子と二人で喫茶店でもやろうか。何とか生きていけるかも」とか、通信制の大学もあるし、などと考えました。
A母: Eさんは、息子さんと一緒に何かをしようと考えておられますね。私は、一緒にではなく、息子一人で自分でやってほしいという気持ちが強いのだと思います。息子に任せたいけど動かない。
B : 「任せたい」と「待てない」のは矛盾してませんか。「信じて待つ」というのには覚悟が必要なんでしょうね。
A母: 息子は以前「おれは信用されてない」と言ってました。私は息子を信じていないのかなと思って、信じなきゃと思っている。母の夢は息子の自立です。
D父: うちの長男が溶接の仕事をやっているんですけど、休みの日は家から殆ど出ないし、ゲームばっかりしているから、大丈夫かなと心配だったんですよ。だけど、あるとき息子とこたつを片付けようとして裏返したとき、「しっかり溶接してある」と息子がつぶやいたんです。それを聞いたとき、初めて安心しました、この子はちゃんと仕事してるなと。
E母: いずれは子どもが一人になるので、その時までに「この子は1人でも大丈夫」と親は思いたい。
進行: 1人ずつ時間が違うし、動き出すまでの時間も違う。
B : うちの息子が、親は一人の人間として自分の人生を楽しんでほしいみたいなことを言ったことがあります。親が子どものことであれこれ悩むときは、子どもを一生懸命見ているときですよね、この子が生きていけるようにしなくてはと。
A母: 以前にくらべれば、息子との距離がとれていると思います。以前より出来ているけど、時々へこむことがあります。ここで「大丈夫」と言ってほしくてお話ししているのかも。
C父: Aさんは、息子さんが家を出て行くと言ったら喜ぶよね?
A母: 私は喜びます。ここから出て行くというのは嬉しいです。
E母: 私は地元に残ることを希望したけど、うちは自分で決めて出て行きましたね。