23日の最高裁判決から。
(朝日から抜粋)
法定速度を32キロ超えて乗用車を運転したとして道路交通法違反の罪に問われた秋田県男鹿市の翻訳業の男性(41)に対する上告審判決が23日、あった。二審・仙台高裁秋田支部は自動速度取り締まり装置(オービス)に「測定誤差があり得る」として公訴棄却(起訴無効)としていたが、最高裁第一小法廷(涌井紀夫裁判長)は「審理を尽くさず事実を誤認した疑いがある」と述べ、二審判決を破棄。審理を仙台高裁に差し戻した。
検察側は、装置は実際の速度よりも低い数値になる「マイナス誤差」しか生じないと主張したが、二審判決は「プラス誤差がないという客観的な裏付けがない」とし、測定値が正確とは認められないと判断。男性の違反は反則行為(30キロ未満の違反)と認定した。反則行為について起訴するには道交法上、反則金の通告などの手続きを経ることが必要だが、それがなかったため、起訴そのものが無効だとした。
しかし、第一小法廷は、有罪とした一審段階では、装置の取り扱い説明書や証人の供述などから「プラス誤差は生じないことが一応立証されている」と指摘。「検察官の立証がなお不十分だと考えるなら、追加立証の請求を促すなど審理を尽くすべきだった」と述べ、第1回公判で結審して判決を言い渡した二審判決は「破棄しなければ著しく正義に反する」と結論づけた。