つぎは、少しまえにNHKでやっていた連続ドラマ「しずかちゃんとパパ」です。
主人公しずかちゃん(28歳)は、小さな写真館を営なむ全聾の父親と、ふたりで暮らしています。
父親の手話通訳者として、やはり、小さいころからヤングケアラー的立ち位置で育ってきました。
いま恋人ができて、父親からはなれる決断をせまられるしずかちゃんですが...。
笑福亭鶴瓶演じる父親は、健聴家族に生まれたたったひとりの聾者でした。
手話でなく口話を強制されて孤独な子ども時代を過ごしたあと、妻と出会って手話の自在な表現力に目ざめます。
(妻の家族は、祖父母にいたるまで全員が聾者。)
鶴瓶の母親はとても教育熱心なひとだったみたいなのに、けっきょく口話はまったくものにならなかった?
いま初老となった鶴瓶は、手話(これは娘の通訳が必要)と筆談で、周囲とのコミュニケーションをとっています。
「コーダあいのうた」とちがって聴者俳優のつけ焼き刃的手話なので、あの目の覚めるようなカッコ良さはありません。
第7話がすごく良かったです。
恋人青年(かなり変人)のお母さんが写真館をおとずれます。
「○○の母親です」と名乗るお母さんに、遺伝のリスクをつたえるしずかちゃんのパパ。
それをそっとさえぎるお母さん。
(やりとりはすべて筆談です。)
そのあと、「子どもに親がしてあげられることって、けっきょくひとつだけなんですよね」と、お母さん。
お母さんがボードに書いたそのことば(3文字)を見て、心がふるえました。
エンディングテーマの「You are so beautiful」(上田正樹が歌っている)も、胸にしみ入る美しさです。