Sydney Yajima


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TPP 2

2011-11-10 01:05:10 | 政治
人生には、何度か 岐路が来る。
右に行くか 左に行くのか それは、後になって 「今思えばあのとき、右だった。」とか、「左にすべきだった」などと後悔したりもするものだ。
それは、個人の場合でもそうなのだから、ましてや、国の未来となると、それこそ、複雑な条件が絡み合い、「正解」などは、なかなか見つからないかもしれない。

日本の利益について、考えてみよう。

もしTPPに参加すれば、それだけで、多くの日本の中小企業の工業製品にかかる関税が、アメリカの場合8.5%~10.5%も安くなるだろう。オーストラリア向けの車の輸出においては、なんと100%の関税がかけられているのだから、半額で売ることになりうるし、その価格競争は、とても強いだろう。オーストラリア人も、日本製品 (メードイン ジャパン)を信奉しているので、喜んで買うはずだ。

タイなど 洪水の影響で 現在 多くの工場が封鎖しているが、今後、関税がなくなると日本国内で製品を作り販売しても、極端な円高に襲われない限り、日本の製品はもっと 効率的かつ安定的に世界に供給できうるはずだ。製品そのものの競争力は、世界のどこに比べてもまだまだある。もちろん、その差は縮まってきてはいるが、それでも 日本製品は、頼れる品質を持っている。そしてこれは 雇用を促し、日本経済を活性化させる。

では、日本の不利益について考えてみよう。

まず農業は世界の大きな産地 たとえばオーストラリアとの競争を強いられる。
現実的にどう太刀打ちするのか といえば、たとえば、京野菜として京都の料亭で食されるような形などは、ひとつのモデルとして考えられるかもしれない。オーストラリアの小麦や、アメリカの大豆と対抗することは、今でもすでに やっていない。従って日本は、大きな畑で大量に作るといういわゆる コスト フォーカスのビジネス形態ではなく、あくまでディファレンシエーションの形を目指さなければならないはずだ。だが、日本の米が次々とブランド化していく現在の様子などを見てみると、日本の農家もブランド化という過程をたどって、正しい方向性を探っているように見える。もちろん、毎日の食生活に安全とおいしさは、とても重要なのだから、それを追求していけば、日本の農家の将来の形がおぼろげながら見えてくるはずだと思う。しかし、歴史が証明しているように、駄目なところに、いくら国や自治体が 手厚く保護をしても、駄目なところは駄目なのだ。それに、日本が、「農業立国」を目指すのであれば、別だが、その方向性を持つことはまずありえないし、現実的でもないだろう。自給率を上げるという意味において農業の保護が大切だという議論は、理解できるが、すでに農家の後継ぎもなく、農地の荒廃も進んでいるのは、もう過去50年間継続的になっている。そんななかで、今急にTPPの問題が出てきたことで、これを機会に農家や農地の補償を求めようとしていることは、地方の票田を持つ議員のエゴイズムもかなり入っていると言えるだろう。無論、彼らが弱者であることは 否めない。しかし弱者がその弱いことを武器に主張を始めた時点で、彼はすでに弱者ではないということも、また真理ではないだろうか?

次に金融についての不利益。
郵貯が狙われるという言葉が、出始めている。そうかもしれない。しかし、具体的に、どのような形で、TPPによって、郵貯の貯金が世界に流れ出ていくのかというシナリオを、納得できる形で見せてくれた人は 今のところいない。私自身にもまだ分からないことばかりだ。
保険などの分野での自由化での話ならば、ある程度理解できる。しかし、これについても、すでに多くの海外の保険会社は日本に入ってきており、それぞれのマーケティング展開もしているので、具体的に何を失うのか?という議論は、見えてこない。日本の保険会社もあるいは銀行も世界に出て行っているので、自由化や法律の障壁を取り除くことは、本当に不利益になることなのか あるいは、利益になることなのかは、専門家のうちでさえ、意見が真っ二つに分かれるところだ。
私は、損をするところも出てくると思うし 利益になるところも出てくると思う。
しかし 一般市民にとって、生活を左右するほどの脅威にはならないだろうと ある程度私は高をくくっている。

さらに、忘れてはならないことは、前回にも書いたけれど、日本がアメリカと同盟国であるという大前提である。
これだけは、忘れてはならない。
たとえあなたが、中国を死ぬほど恋焦がれて愛していようとも、また、ロシアや北朝鮮、それに韓国が大好きで狂い死にしそうであろうとも、日本のもっとも重要な友人でありパートナーである国は、アメリカ合衆国なのである。
このアメリカが「一緒にTPPをやろうじゃねえか」と誘ってきているのだ。
核の傘で守ってもらい、多くの米軍基地を日本中に持っていて、それで、アメリカに、断ることなど、まず不可能だ。
どうやって、アメリカ合衆国に向かって、「私は反対です」というつもりなのか、むしろ 私はそのほうに興味がある。
軍事バランスや、多様かつ多岐的にわたる歴史的なアメリカと日本との歴史という 重い関わりが過去70年近くもあるのだ。
日本が憲法9条を変えて軍隊を持ち、自前の基地で日本国を守るという形ができて、さらに、同盟国という対等の立場で、アメリカと対等に話し合いをする、そのためには、米軍基地を全部撤退させた上で、日本の利益にならない場合には戦争をしてでも守るというほどの国力を持った上で、「私の国は反対します」と言うならば、それはそれで、アメリカ合衆国も一目置いて、日本の意見に対して、敬意を払うだろうけれども、今の状態では、言えそうもないと思うよ。言うだけ ちょっとかっこ悪いことになるんじゃなかろうか。鳩山さんの「最低でも県外」みたいなふうにね。