お茶のお点前に「貴人点」というのがあります。
身分の高い方にお茶を差し上げるときのお点前です。
現代では実際にそのようにお点前をする場面は、
私たちの生活の中ではありませんが。
ですから、このお点前をすることで学ぶことは、
「お客様は皆貴人」という気持ちで丁寧におもてなしをする「心」と「所作」でしょう。
お茶碗は貴人台という白木の台に乗せて扱います。
台も茶碗も新しいものを使い、一回きりの使い捨てで、
次の茶会のお客様に使いまわすことはしません。
貴人がお二人だったら、別々の台に別々のお茶碗ということになります。
貴人様同士の濃茶でも回し飲みはしないということです。
(貴人様のお茶を頂かれる姿など拝見したことがないのでわかりませんtが・・・)
ただし稽古事では、回し飲みをすることもありますが。
というより、このお点前は稽古でしかやれないですね。
もちろん貴人台も何度も稽古で使いますよ。
もう何十年も稽古で使っていますから、台はお湯や水のシミだらけです。
それでも稽古でしか使いませんから、大事にこれからも使っていきます。
お茶碗を乗せる台は年代物で我慢ですが、
去年の暮にふと寄った漆器屋さんで、「高坏」を見つけました。
ずっとほしいと思っていましたが、たまにしか使わないので、
代用の道具で済ませていて、後回しになっていました。
貴人点の時は、貴人にはお菓子は高坏でお出しします。
「高坏」は薄茶用で、
正式には濃茶は足つきの縁高を使うと教えていただきましたが、、
とてもそこまではまだ手が回りません。
「高坏(たかつき)」お菓子は「粋甘粛」(源吉兆庵製)
これくらいは何とかしましょうと、手に入れました。
これでお点前の気分を盛り上げていただきましょう。
以前勉強会で、貴人点のことで質問をなさった方がいて、
「あなたのお家には貴人様はまずいらっしゃらないと思いますから、
そこまで心配しなくてよいです。心を学んでください。」と教えられたとか。
もっともといえばもっともです。
でも教える立場になると、色々と知っておきたいことがありますものね。
貴人点の正客で貴人の座に座った時は、
恭しくもてなされて、少しいい気分を味わえますよ。
今年はこれをたくさん使って楽しんでください。
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