1月17日。
地震が起きることがないと信じていた
神戸で突如大きな地震が起きた。
神戸で生まれ、神戸で幼少期を過ごした
身にとっては驚きの出来事であった。
あの朝、震度3を感じて飛び起きたが
あの懐かしい神戸があのように酷いこと
になっていようとは思ってもみなかった。
あれから28年の年月が流れた。
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この時期になると思い出す友人がいる。
彼は中学校の同級生だった。
家庭の事情は知らなかったけれど
中学校をでると東京に働きに出た。
昔風に言うと藪入りなのかお正月が
過ぎて働き先が暇になったのか
彼は帰省すると高校生になっていた
わたくしの家に毎年やってきて少し
話して帰っていった。
それから何十年も過ぎたころ突然
わたくしの職場にやってきたのだ。
大学を出て就職し結婚して住所も
姓も変わっているのにどうして
分かったのか仰天した。
仕事中でもありその日の夕食を
ホテルでとろうということになり、
いろいろ話を聞いた。
確か最初働いていたのは繊維の
問屋さんだった記憶があるけれど
今は東京駅の前でゴルフ関係の会社
を経営していると言っていた。
苦労しただろうけれど成功したのだと
うれしかった。
彼の連れ合いが
「ぜひ会っていらっしゃい」というので
思い切って会いに来た。
ということだった。
それが 最後となった。
その後高校の同窓会で彼の仲良しだった
友人が「若くして亡くなった」と
教えてくれた。
結局わたくしは彼の住所を一度も知らない
ままだった。
最後まで中学生の時のように
彼は一方的に話して、話し終わると
去っていった。