黄鶴楼送孟浩然之広陵
故人西辞黄鶴楼 煙花三月下揚州・・・・(李白)
中国の新型肺炎は患者数がどんどん増え、亡くなった方の
数も増えてきた。日本でも2人目の患者が出た。
中国は住民に武漢から外に出るのを禁じたという。
嘗て夫と長江くだりをした。重慶で乗船して各港で停泊
しながら名所旧跡を観光する船旅で豪華客船の中で
何泊かした。
その時武漢でも下船して黄鶴楼を見物した。
わたくしはこの黄鶴楼と重慶長江三峡にある白帝城に
大いに期待していたのだった。
正直に言うと期待外れであった。やむを得ない。
三国志の時代の楼ではないし、中に描かれた絵も
想像していたものとは違っていたのだ。
白帝城も同じで唐詩の中の世界を頭に思い浮かべて
いたのでいささか拍子抜けであった。
わたくしは国文専攻なので漢文学の知識はほとんどないが
高校や中学で教わった唐詩は折に触れて親しみ、岩波新書の
「新唐詩選」や岩波クラシックスの「唐詩選」は愛読書の
ひとつである。
そんなわけでそこに詠われている情景に触れたくて西は
ウルムチ、トルファンまでシルクロードも旅をした。
楼蘭などはほぼ想像通りであった。
長江くだりを思い出すとき、あの「大地の子」(山崎豊子)で
仲代達矢が演じた日本人の父に向かって中国に置き去られた
息子の上川陸也が「わたしは大地の子です」と言ったせりふが
印象深い。
わたくしたちの長江くだりはこのTVが放映される前のことで
ある。