ナイル川の上流にあるエチオピアがダムを作って
いる。水力発電が主な目的だ。
人口の半分が電気を日常的に使えない現状に、
電気が行き渡れば経済の発展につながる。
ところがナイル川の下流に当たるエジプト、スーダン
が怒っている。とりわけエジプトはナイル川の水が
少なくなると困る。
農業や生活用水の殆どをナイル川に頼っている。
水争いは日本でも昔から多々あった。
ことに農業用の水争いである。
小さな集落の中でも組に分かれてどちらが先に
田んぼに水を取り込むか、喧嘩になったところも
あったらしい。
現在は潅漑事業が進んでそういうこともなくなったが
渇水が続くと飲み水にも影響し、飲料水まで制限
されることもある。
昔、エジプトを訪れた。
目的はナイル川クルーズ。
関空からロンドンに飛び、まず大英博物館でエジプト
研究。
夫とわたくしは以前英国を旅した時ゆっくり大英国博物館
を見学していたのでエジプトはざっと見てほかのところを
見て回った。
ヒースローからエジプトギザへ、ピラミッドやスフインクス
などを見学、ピラミッドの中へ入って登ったりした。
ギザで2泊。
翌日から居間、寝室、トイレ、シャワー室のある客船で
クルーズが始まる。ルクソール、ネクロポリス、・・・
長くなるので省略するけれど各地に停泊しながら馬車に乗ったり
帆船に乗り換えたり、ラクダに乗ったり、飛行機に乗ったりして
アスワンハイダムまで。船中4泊。
カイロに戻って考古学博物でツタンカーメンのマスクに再会
した。
当時日本で一番のエジプト学者だった吉村作治氏の
旅行案内記を読んで見てきたものを味わっていたが、
「ナイルに死す」(アガサ・クリスティー)の文庫本を持って
行って客船のデッキで再読したりした。
丁度ラマダンで船員たちも自分たちは日のあるうちは何も
飲食しないけれどルームサービスもしてくれて楽しい旅
だった。
もう、各国の旅行案内書はすべて捨ててしまったが今も
「ピラミッドの謎」は残してある。
エチオピアとスーダン、エジプトとのナイルを巡る争いは
どのように収まるのか。
ドナウ川は沿岸の国々が合同で国際的に管理している
そうだけれど、ナイル川もやはり話し合って解決するしか
ないのだろう。
水問題は深刻である。