嘗てはこんな本も読んでいた。
沢山の「花作り」「ガーデニング」の本を捨てた。
街中の狭い庭しかない家から、夫が畑仕事がしたいと
ここに家を建てた。
150坪の敷地の約70坪を宅地にして残り80坪を畑にした。
たくさんの土をトラックで入れてもらい、赤レンガや
ブロックを買い込み夫は野菜(茄子・トマト・ピーマン)
を植え、わたくしはお花を植えた。
ワイルドフラワーガーデンにしたり、ハーブガーデン
にしたり季節ごとに花作りに励んだ。
農家の人を頼んでの野菜作りだったので耕し肥料を入
れ見事な野菜が取れた。
しかし何しろ初心者、各5本づつ植えたので2人暮らしに
は手に追えずおおよそは熟れすぎて捨てることになった。
その時初めてマルチという黒いビニールの覆いの名も
覚えた。
ケイカル、鶏糞・その他いろいろを農家の人が鋤こんで
くれたので出来過ぎだった。
道端に置いて誰にでも持って行ってもらおうかとも
話し合ったけれどまだ地元では新参者で押しつけが
ましいかと遠慮した。
結局3,4年でやめたと思う。
わたくしの花壇はきれいなお花であふれていた。
通りがかりの人に褒めてもらえるほどだった。
ところが夫と2人、2泊の予定で行った温泉のホテルで
フランス料理のデナーを済ませベッドに入ったその
深夜突然夫が倒れた。
救急車で運ばれそのまま入院、急性硬膜下血腫。
7か月余りその病院で過ごした。
わたくしは病院近くの民宿を定宿にしてそこから
病院に通った。
結局生きて帰宅することができなかった。
葬儀など一連の行事を終えても立ち上がれなかった
わたくしがやっと荒れ放題の畑を見て草の刈り取りや
草抜きをしてもらって少しずつまたお花を植えだした。
それから数年が過ぎ、今度は自分の胸に胸部動脈瘤が
見つかり、日本で唯一の動脈瘤センターがある川崎まで
行ったりして、地元の病院でもう限度の大きさだという
ので東京慈恵医大に外来で通い、そこに入院して手術を
受けた。
3月に東京に行き入院の手続きをして病室に送るための
段ボール3箱を作り、息子の家に送るための2箱を作った。
瘤が難しいところにできているということだったので1/3
くらいのリスクは覚悟して、残ったものが分かるようにと
いろいろ手配りすることもあり、花畑まで手が回らなかった。
入院は46日間。5月半ばに退院してきた。
やはり花畑は草の覆われていた。
それ以降、わたくしは草1本も抜かない。
すべて人に頼んでいる。
お花は買ってくるものと決めた。