「そう、あなたはもういないのね」

2008-04-30 00:02:15 | 日々思うこと
「そうか、もう君はいないのか」(城山三郎)が図書館から回ってきて読んだ。
彼の作品はかなり読んでいるのでこれが最後の作品(小説ではないけれど)かと思うと感慨深かった。
帯に「五十億の中でただ一人{おい}と呼べる妻へ--]とある。

あなたは生涯わたしを「おい」と呼んだことは一度もなかった。ただ名前で呼ぶだけ。

以前、ICUに入ったとき、朦朧とした中でもあなたはわたしの名前を呼び求めたらしい。
看護師さんが「奥さん、~~さんというのですか」と言うので「ええ、呼んだのですか」と
尋ねると「名前を呼んでばかり」といわれたことがあった。
あなたがわたしを頼っているとじんときたものだった。

有名人であろうとなかろうと連れ合いを亡くすことの哀しさ、寂しさに変わりはない。
あなたが突然倒れて7ヶ月。その間、あなたのそばで顔を見つめながら、次第に
覚悟をしなければならないときが近じかやってくると悟らねばならなかった。
あのままあなたが逝ってしまっていたら、わたしはなかなか立ち直れなかっただろう。
今でもつらく、悔しく、誰にと言うのではなく怒りの気持ちが抑えきれないでいるのだから。

わたしたちは有名人ではないから本にはならないけれど「そう、あなたはもういないのね」と
題していくらでも書けそうに思う。
わたしたちはわたしたちなりに二人の歴史があったのだから。
波乱万丈の歴史というほどではなかったけれどね。
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しまなみ海道への旅から帰って

2008-04-17 22:46:24 | 日々思うこと
「しまなみ海道」の旅から戻った。
尾道で1泊し、生口島、大三島へ渡り、平山郁夫美術館、大山祇神社などを訪れて
大三島でバスを乗り継いで四国、松山に向かった。
道後で2泊して、内子まで足を伸ばした。

尾道の千光寺までタクシーを使ったが、桜がまだ残っていてしゃれたコーヒーショップで
ワッフルやアイスクリーム、フルーツ、それにコーヒーを楽しんで山を降りた。
昔訪れたときには「文学の小径」を降りたけれど。
耕三寺も余り変わっているようには思わなかったが、遠い記憶なので確かではない。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あなた。
帰りは、松山から徳島、鳴門へ出て、大塚美術館に立ち寄ったの。
数年前に寒霞渓の紅葉を見るために小豆島へ行ったとき、神戸から淡路島へ渡って
洲本で1泊したわね。
そして、鳴門を通って高松から小豆島に行き、そこで2泊して帰ってきたでしょう?
そのとき、大塚美術館に寄ろうかって言ったら、心臓の手術のあとだったから
あなたは疲れるからやめとこうって言ったのね。

だから今度ひとりで行ってきたのよ。確かに広くて疲れた。
でも、あなたと原作を見た世界のいろいろな美術館の作品の陶板画が、二人で行った旅
のことを思い出させて辛かった。
本当によく行ったよね。世界のあちらこちらの美術館へ。
いい思い出と言えるのかしら。やはり辛い思い出になってしまったね。


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「しまなみ海道」へ行くことに

2008-04-10 22:11:00 | 日々思うこと
天気予報を見ていても、余りよい日が続かないようだけれど、運を天に任せて
「しまなみ海道」へ出かけることにした。
再来週はいろいろ予定があって、身動きできないから。
今日はホテルの予約や定観の手配などに追われた。
結構遊ぶのも大変で、近ごろ増えてきているとはいえ、お一人様を泊めてくれるホテルは、
ことに温泉地では少ない。

尾道、生口島へ行くのは久しぶりだし、しまなみを通って愛媛まで行くのだから
これもずいぶん久しぶりに道後まで足を伸ばそうと欲張ったので計画を立てるのは
楽しみだけれど、時刻表と首っ引きをし、インターネットで調べたりとちょっと時間がかかってしまった。

でも今日は雨間もあったけれど大方雨が降って、どちらにしてもうっとうしい一日だったから
かえってこういうことをするのにふさわしい日だったかも知れない。

どうか来週は晴れますように。
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辛かった手術を思い出して・・・

2008-04-07 13:11:04 | 日々思うこと
あなた、3年前の今頃、あなたは生死の境をさまよっていたのね。
覚えている?意識がなかったのだからあんなに辛い手術を受けたのに、痛いって表情も
しなかった。
本当はやはり相当痛かったのじゃないかと可哀想になってくる。
わたしも手術の説明をお医者様から聞くたびに、胸がつぶれるのではないかと思うほど
どきどきしていた。耐え切れない思いだったのよ。
頭から骨を取り出して冷凍しておき、やがてそれを元へ戻すだなんて、とても信じられないような
恐ろしいことだったの。

あなた、辛かったね。あなたもわたしも。いまでもそれを思い出して涙をこぼしているの。

まだ「おひとりさま」ブームが続いているようで、雑誌やTVで取り上げられているらしい。
昨夜もあなたより少し前にご主人ががんで亡くなった友人からの電話に、「おひとりさま」の話題があったの。

未婚、離婚、死別といろいろな形があるだろうけれど、誰でも人はひとりになる。
結婚していても概して女のほうが若いし、女性の方が統計上も長生きなのだから
女性がおひとり様になるケースが多いだろう。

高齢者をめぐる話題が次々と出てくるこのごろ、子供が一人でそれも遠くにいるわたしの
場合、考えなくちゃならない切実な問題なのだと思う。
後期高齢者などと呼ばれる前に。
でもまだしばらく、のんきにのんびり過ごすことにするわ。

お花も、旅もわたしを待っているものね。

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あなた いったい どうして・・・

旅先のホテルで夫が倒れた。 それから12年の年月が流れた。 わたくしは・・・