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少し前から気になっていた楽器がある。
じつは、ワタクシ、学生時代はマンドリンクラブに没頭し、コンサートマスターも努め、アマチュアレベルではあるがマンドリンやギターなど弦楽器はけっこう弾けたクチなのだ。
で、30年まったくやってないので今は弾けない
ところが私の前にそれを習っている人が現れたり、ウクレレが妙に気にかかる・・・
奥さんや周りの人に話すと、
「あ~、あの牧ナントカという人がやってた、ア~ア~ア・ヤンナチャッタ~っていうアレね」
という反応が必ず帰ってくる(ノ゜ο゜)ノ
そうそう、たしかに漫談で使うアレですよ。
でもね、漫談専用楽器ではないのですよ。
私は以前からハワイアンの音楽が好きだ。癒しの音楽だと思う。
そしてジェイク・シマブクロの演奏などを聴くと独奏楽器としての可能性も感じていた。
3日前に地元の新聞にハーブオオタという人のコンサートの小さな記事が載っているのを目にしてしまった。広島市立大学でチャリティーで行うという。その人のことはまったく知らなかったがハワイ在住広島県からの移住の親を持つ2世の74歳でウクレレを独奏楽器に高めたと人いう。さっそく電話して申し込んだ。
昨日がその当日。
腹の出た老人がステージに出てきた。曲目を書いたパンフもない。
簡単な挨拶のあと、彼の手とその小さな楽器から繰り出される音、音楽、芸術に驚嘆の目と耳を向けることになった。
いきなりガーシュインのラプソディーインブルーに、始まりハワイアンはもちろんのこと、ショパンやドビッシーなどのクラシック、ビートルズや映画音楽、ボサノバやタンゴ、そして客席に向かって「リクエストしてください」と
「みんな静かですねぇ~。客席が静かだとキンチョーするんですよ」
と笑わせたあと、リクエスト曲を即興で弾きはじめた。
その即興音楽はそれまでに弾いた用意された曲と全く同質の音楽性、いや芸術性の非常~~~に高いものだった。
何度も体中鳥肌が立ち、目には涙が浮かんできた。
すごい、すごすぎる・・・
この小さな楽器の可能性をここまでに高めたこの人はいったいなんなのだろう。
楽器奏者というのではなく、音楽の神さまが降りてきているのを感じた。
事前になんの予備知識もなく目に付いた記事で直感的に行ったコンサートだったが、ものすごい感動と幸福を受け取った夜だった。